
以前、2ちゃんねるのオカルト板で盛り上がった「ニンゲン」。
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ニンゲンこれとよく似たものを、『今昔物語集』の中に発見しました。 *2
南極周辺水域で時折目撃される、巨大人型物体。全身が真っ白、全長数十メートル。
調査捕鯨関係者の間で「人型物体」と名付けられている。タイプがいくつかあり、人間の形(五体あり)とか、人間の上半身が二つ連結された形とか、数タイプあり、鯨と同じように水中から現れるらしい。
今昔物語集 巻三十一 本朝 第十七 常陸国××郡に寄りたる大きなる死人の語J.G.バラードの傑作短編「溺れた巨人」にもそっくり。バラードが今昔を読んでいた可能性は低そうなんで、なんだかちょっと気味が悪いです。[要約]
藤原信通朝臣という人が、常陸の守の任にあったときの話。
嵐の翌朝、東西の浜というところに、巨大な死人が打ち上げられた。全長15メートルあまり。横になって、半身砂に埋もれているのに、向こう側で馬に乗った人の、手に持った弓の先っちょしか見えないくらいの高さがある。
首と右手、左足が、ない。サメに食いちぎられたのだろう。うつ伏せなので、男か女かわからないが、身なりや肌の様子が、女のように見える。
大勢の野次馬が集まり、海辺はちょっとお祭り騒ぎ。
また、常陸国の海道というところで、国司が、巨大な人の死体が流れ着いたと聞き、部下を検分にやらせた。砂に埋もれ、男女の区別はつかないが、おそらく女ではないかと思われた。
「こんな巨大なものは、この世界のものではあるまい。阿修羅の国の女だろう」という僧もいた。
さて国司は朝廷に報告しようと思ったが、知らせを聞いて朝廷の使者がやって来ると、接待などが面倒なので、結局うやむやにしてしまった。
見物に来た武者は、「こんなやつらが攻めてきたら大変だ」と、矢を取り出し、巨人の死体に突き刺さるか試したら、見事に突き刺さり、周りの者たちを感心させた。
死体は、日がたつうちに腐り始め、あまりに臭くて、一キロメートル四方の町は、人が住めなくなった。
常陸の守が京に上ったとき、この話が漏れて、世間に広まった。

原文。
今昔物語集 巻第三十一 本朝 第十七 常陸国××郡に寄りたる大きなる死人の語今は昔、藤原信通朝臣と云ひける人、常陸守にてその国にありけるに、任果ての年四月ばかりのころ、風いとおどろおどろしく吹きていみじく荒れける夜、××郡の東西の浜と云ふ所に死人打ち寄せられたりけり。その死人の長五丈あまりなりけり。臥丈、砂に半ば埋もれたりけるに、人高き馬に乗りて打ち寄せたりけるに、弓を持ちたる末ばかりぞこなたに見えける。さてはそのほどに押し量るべし。その死人、頭より切れて頭なかりけり。また右の手、左の足もなかりけり。これは鰐などの喰ひ切りたるにこそは。本のごとくにしてあらましかばいみじからまし。またうつふしにて砂に隠れたれば、男女いづれと云ふ事を知らず。ただし身なり・肌つきは女にてなむ見えける。国の者どもこれを見て、あさましがりつ合ひて、見ののしりける事限りなし。
また陸奥国に海道と云ふ所にて、国司××と云ひける人も、「かかる大人寄りたり」と聞きて、人をやりて見せけり。砂に埋もれたりければ、男女をば知り難し。「女にこそあるめれ」とぞ見けるを、智ある僧なんどの云ひけるは、「この一世界にかかる大人ある所ありと仏の説き給はず。これを思ふに、阿修羅女などにやあらむ、身なりなどのいと清気なるはもしさにや」とぞ疑ひける。さて国の司、「かかる稀有の事なれば、いかでか国解申さではあらむ」とて、申し上げむとすでにしけるを、国の者ども、「申し上げられなば、必ず官使下りて見むとす。その官使の下らむに、扱い大事なりなむ。ただ隠してこの事はあるべきなり」と云ひければ、守申し上げて隠して止みにけり。
しかる間、その国に××と云う兵ありけり。この大人を見て、「もしかかる大人寄せ来たらば、いかがせむとする。もし矢は立ちなむや、試みむ」と云ひて射たりければ、矢いと深く立ちにけり。さればこれを聞く人、「めでたく試みたり」とぞ讃め感じける。さてその死人、日ごろを経けるほどに乱れにければ、十二町がほどには人え住まで逃げなむしける。臭さに堪へ難ければなむ。この事隠したりけれども、守、京に上りにければ、おのづから聞えて、かく語り伝えたるとや。
中央から地方に役人を派遣、中央集権制を確立した平安時代。でも末期になると、地方の生産性が上がり、中央から独立した動きを画策し始め、これが武士の台頭となる。
地方の生産性をあげたのは、おそらく大陸から伝播した農業工業さまざまなテクノロジー。これが、「海から流れ着く巨人」という不気味な、未知なものに象徴されてると、深読みできます。
それは、仏教の外側の出来事(ここで言う仏教は、古い平安仏教のこと)。
地方と中央の駆け引きの始まりも記述され、地方が、巨人の周りでお祭り騒ぎを始めるくらい、豊かさと力を備え始めていることも、注目に値します。
監察として中央から送られた藤原信通、この人の名前がわざわざ冒頭に置かれ、締めくくりにも登場することから、何か意味があるようなのですが、この人物について詳らかにせず、です。藤原信通の女、という名前は、百人一首に出てきます。
その後、いろいろ調べてみると、既出であったことが判明。「今昔物語」ではなく「藤原信通」で検索すると簡単に見つかりましたw
現代語訳も発見。なんだ、それなら、がんばって訳すことなかったよー( ;∀;)
http://www.currymania.info/log/ningen4.html
http://home.att.ne.jp/red/sronin/_koten/ooshinin.htm
http://www1.vecceed.ne.jp/~ognis/kakushi_ningen2.html