昨日の夜、エントリーしようと思っていたのだけれど、ご飯食べたら眠くなって寝てしまいました(*゚ー゚)
というわけで、今日は、朝から六十六夜。
「田村幸子」です。
全国の実在する田村幸子さん(何人くらいいらっしゃるのだろう?)とは、何の関係もございません。
ここに登場する田村幸子は、「田村幸子」の田村幸子です。
この作品、何を書いてるのか、自分でもぜーんぜんわかりません。
作者が作品を支配している、という考え方がある一方、じつは作品が作者を支配しているのでは、とも思えるふしがあります。
そういうものとしての、「田村幸子」。
夜になったら、また次のやつをエントリする予定。眠っていなければ…(´∇`)
田村幸子いつの頃からか
ぼくの部屋には
ぼくのほかにもう一人
田村幸子という女が住んでいる。恋人とか妻とか
そういうのじゃない。
話をしたこともないし
体に触れたりとか
一緒にお風呂に入ったりとか
そういうことは一切ない。まったくの他人だ。
親戚でも友人でも
知り合いですらない。
なぜ彼女がぼくの部屋にいるのか。
それはよくわからない。
気がついたらそこにいた。
特に邪魔になることもないので
そのままにしてある。
トイレと風呂の掃除は
ときどきしてくれるようだ。
まったく不定期にやるので
あてにはしていない。
ぼくが掃除した次の日に
懸命に便器をブラシでこする田村を
見かけたこともある。
義務としてではなく
発作のようなものとして
掃除をしているのかもしれない。食事は田村幸子の場合
いつも外食のようだ。
冷蔵庫に入ってるものでは
ウーロン茶のペットボトルだけが
彼女のもの。
タムラと書いてある。
カタカナだと
怪獣の名前みたいだ。何かを盗られたり
貸してと頼まれたり
そういうこともまるでない。
そもそも会話もない。
田村幸子はテレビを見ないので
チャンネルを争うこともない。
田村の私物は
田村専用の小さなタンスに
すべて収納されており
その周囲の一畳あまりの空間が
田村の主な生息場所である。田村幸子という名前も
教えてもらったわけではない。
郵便物が来ていたので
その宛名を何の気なしに見て知った。
本当に田村幸子かどうか
確かめてみたこともない。
不思議と興味がわかないのだ。ただ、いちどだけ
外出する田村の
あとをつけたことはある。
まったくの暇つぶしだ。
あとをつけられていることは
わかっているはずなのに
田村は特にいやな顔もせず
ふつうに歩いていた。
この偵察により
田村幸子が
総菜屋でバイトを
していることがわかった。
以来ときどき
その総菜屋で
コロッケを買って帰る。
店員田村は何の愛想もないが
愛想が悪いというわけでもない。
ふつうの客に
ふつうの店員が
ふつうに接するように接している。
それが田村幸子である。家賃は折半
というわけではない。
すべてぼくが払っている。
この部屋はぼくの部屋である。
彼女は冷蔵庫の下の大きな蜘蛛と同様
ただの単なる間借り人。
本人にどんな自覚があるかは
さだかではない。田村幸子のことを
人に話したことはない。
話してはならない
ことのような気がしている
…というわけでもない。
話すと悪いことがおきるとか
思っているわけではない。
また田村幸子が座敷童子か何かのように
幸をもたらしてくれるわけでもない。
とくに人に話すようなことではないと
思っているだけだ。
田村幸子は田村幸子だ。
それだけのものである。
話題にするようなことは
何ひとつない。田村幸子がいなくなったら
悲しいかな。
田村幸子がべつな人
たとえば高橋昭雄とか
樋村小百合とか
エドワード・クランシップとか
そういうのに変わってしまったら
どうだろう。
喪失感とか爽快感とか
何か特別な気持ちがわくだろうか。
それもそのときになって
みなければわからない。ひょっとすると
ぼくだけではなく
たいていの人にも
田村幸子のような同居人がいて
ただ何となく
人に話すようなことではないと思って
話さないだけなのかもしれない。そういえば
一度だけ
こんなことがあった。
田村幸子が熱を出して倒れたので
ぼくが看病したのだ。
看病といっても
布団を敷いて
薬を飲ませ
寝かせただけのことだが。
翌朝には
もうけろっとして
総菜屋のバイトに
出かけた田村幸子だった。
ただその日は
帰ってくるとポストに
500円分の図書券が入っていた。
田村のお礼だったと思う。
微妙なお礼である。田村ともっと話したり
すべきなのだろうか。
そう考えることはたしかに
ないわけではない。
でも部屋で
田村を見かけると
なんか全然
そういう気持ちがわかない。
視界の中心に
もって来ようという気にさせない。
だまってその端のほうに
いさせてやればいい。
というより何の気持ちも
特に起こらない。
田村幸子とは
そういう女だ。いっそ田村幸子に
求婚してみるというのは
どうだろう。
面白いかもしれない。
どんな顔をするだろう。
驚いたり怒ったり
嬉しがったりするかもしれない。
…いや。
どんな顔も
しはしないのだ。
田村幸子なのである。
求婚などしても
特に何がどうなるわけでもない。ポストの表札には
小さい字で
タムラ幸子と書いてある。
最近、発見した。
少しずうずうしくなっている。
でもたぶん田村幸子とすれば
これで精一杯だろう。
よほど困った事情があり
考えあぐねた結果の行動だ。
一人悩む田村幸子は
じつに田村幸子らしい田村幸子である。逆に
田村にとっては
ぼくは
どんな存在かな。
田村がぼくにとって
何でもないように
ぼくも田村にとって
何でもなければ
それがいちばんいいと思う。
田村幸子的な生き方は
ある種、理想の生き方だ。
田村幸子らだけで出来た
もうひとつの国が
この国に重なるようにして
そうっと存在している。
人がそれと気づかずつくり出した
ひだのあいだに、ひっそりと。そうだ、もうひとつだけ。
先週、昔勤めていた会社で
よくお世話になった先輩が
亡くなった。
まだ若造だった自分の
面倒をずいぶん見てもらった。
いい人だった。
五十をすぎたばかりだったのに
突然倒れたという。
このところ仕事が忙しく
ろくに睡眠もとってなかったらしい。
残念なことだ。先輩は独身だった。
二十代の頃いちど
結婚したことがあると
いっていたが
どんな事情によるのか
すぐに別れてしまったという話。
子供もなかったそうだ。
そんな先輩のお葬式の最中
ひとりだけ喪服も着ず
隅のほうで何か
書類の整理のようなことをして
すぐ出て行った女がいた。髪が長く
少し太っていて
田村幸子とはぜんぜん
違う体形なのだが
なにか田村的なものを感じた。たぶんあれが
先輩にとっての
田村幸子だったと
思っている。
葬式のあとしばらくして
あの家は売りに出されたと聞いている。
あの女はどうしたのだろう。
また別な新しい間借り部屋を
見つけたのだろうか。田村幸子のような人は
ほかにもたくさんいるのだろうか。
どうやって
住む部屋を見つけているのだろう。
彼らには彼らのルートがあり
斡旋業者のようなものが
いるのだろうか。
それとも何か
呼吸のようなものがあり
おのずと住処を
感じ取ることができるのだろうか。
同じ家にあの女はあのままずっと
住み着いていることも
考えられる。
不動産屋もたいへんだろう。
客には
「あれは何でもないんで」
とか説明しているのだろうか。
しかし、たしかにそれで
何となく納得させられそうな気もする。
たしかにあれは
「何でもない」のだ。田村幸子がいるといないとでは
でもやっぱり
田村幸子がいたほうがいい。
そうぼくは思っている。
今夜は帰りが遅いが
特に心配などしているわけではない。
田村幸子のことで
これ以上考えることは
何もない。
これまで考えたことも
たいへん無駄であった
ような気がしてきた。
それでも田村幸子
いないよりは
いたほうがいい。
その理由はない。あ、田村。
そこにいた。
帰ってたんだ。
気づかなかった。
明日になったら
三人くらいに増えていたりして。
ふ。やなこと考えた。
くわばら、くわばら。
たむら、たむら。
いつもながら、すごいです。
その中でも、私もこのお話すごく気に入りました。
感覚とか、あまりに素晴らしくてoverQさんって、有名な作家なんですね!実は。(ミステリアス〜〜♪)
田村幸子さんは死体なの?
お化けなの?
怖い〜〜〜
あっ!実は藤原紀香なんでしょ?( ̄∀ ̄*)イヒッ
詳細はこちらの「友達」編で・・・
http://www.leopalace21.com/corporate/cm/index.html#
ミナサン、コンバンハ。
タムラデス。
タムラハ、キョウ、カマボコヲカイニ、スーパーヘイッタノデスヨ。
ソウスレバ、キョウハ、コウコクデハ、トクバイビダッタノデス。
ゴゴノヨジゴロデス。
ソレガ、モウウレキレデスッテ。
ソレガ、モウウレキテデスッテ。
ソレガ、モウウキキキデスッテ。
シツレイシマシタ。
タムラトシマシタコトガ、スコシコウフンシマシタ。
ウレキテダッタンデス。
デモネ。
タムラハゲンキデスヨ。
ソノコトダケ。
ホント、ソノコトダケ、ミナサンニ、ゴホウコクイタシタクテ。
overQサマ。パソコン、カッテニカリマシタ。
ジツハ、モウダイブマエカラ、ニチャンネルトカ、ヤッテマシタ。
アナタノナマエカリテ、カッテニヤリマクッテマシタ。
イマ、ココデ、ソットコクハク。
タムラ。
ピイエス。
タムラハ、フジワラノリカサンヨリ、チョットカッテマス。
トオモイマス。
アト、タムサチ、ッテ、ヨンデクダサッテモ、ソンナニハウラミマセンヨ。ウフフ。
タムサチさんこんばんは。(早速呼ばせて頂いてます)
お話できるなんて光栄です。
>タムラハ、フジワラノリカサンヨリ、チョットカッテマス。
私の友達に「田中幸子」って子がいるんですが、
可愛くて、賢くて、バスケがうまくて、藤原紀香さんの様に、格闘技が好きな女の子です。
彼女だいぶ前に、東京に行っちゃいました。
だから、私の中では、タムサチさんは、田中幸子の顔で、田中幸子の声で出て来てます。
勝手にイメージしてお許し下さい。
それから・・
タムサチさん、カマボコの特売買えなくて残念でしたね。
特売と言えども、わざわざお出かけになるとは、カマボコがお好きなんですね。
それから、overQさんは、優しそうな方でよかったですね。
Posted by:ワルツさん、こんばんは。
タムラが何か書いたようで、ご迷惑おかけしております。
これを書いたことでかなりプレッシャーを感じたらしく、田村は私の視界には入ってこないようにしているようですw
田村幸子の顔かたち、立ち居振る舞いは、じつはまったく記憶に残っておらず、
>タムラハ、フジワラノリカサンヨリ、チョットカッテマス
といわれても、そうなのか、そうでないのか、どうしても思い出せません。
田村を目の前にしても、たぶん、そんな具合です。
フジワラノリカさえ、なんか、あいまいになってきました(笑)
今回の収穫は、田村幸子の好物がカマボコだとわかったこと。
何を食べているのかは、ずっと謎でした。ウーロン茶だけで生きているのかと思ってました。あと、わさび。
ワサビも、冷蔵庫に入っていて、「タムラ」名義になっています。
思えば、ツーンとしたような、困ったような、おいしいような、なきそうな、うれしそうな顔をしていた気がします。気のせいかもしれません。
ワサビ。カマボコ。これからは、このふたつで、田村の餌付けをこころみたいと思っています。
大学時代の友人にいましたよ、田村幸子。
タムタムと呼んでいました。
小林幸子という先輩もいて、
当然コバサチと呼ばれていました。
コバサチ先輩。
私の知っている田村幸子は、超マイペースで、
宗教の勧誘とか断れないタイプだったです。
でも、絶対に周りの人間が助けちゃうのですね。
さすが田村幸子。
そうか!
タムサチは、こばんだったのね。
時々、姿をかくしてみあたらない時や、
熟睡してる時は、そこにいたんですね。
最近、かまぼこ食べないからおかしいなと思ってたんです。
どうりで・・・
ne_sanさん、picoさん、こんばんは。
それにしても、いたるところで、田村幸子の噂が。
各地で増殖しているとしか思えませぬヽ(ヽ´Д`)
日蝕にじょうじて、田村幸子の逆襲があるかもしれません。
たむら、たむら。