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無音の曲

written by overQ
February 7, 2004

音のない曲って、いくつかありますよね。
私がすぐ思いつくのは、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「暴動 There's A Riot Goin' On」という0分08秒の曲。
あと、ジョン・ケージの「4'33"」。四分三十三秒間、無音を奏でます。これは、最近、BBCでBBC交響楽団が演奏しました。

調べてみると、「Silence」という題名で無音の曲が複数存在します。Ciccone Youth、Slum Village、それからProject Grudgeの「One Minute of Silence」。

こういう作品って、著作権どうなるんでしょうね。
作品そのものは同じでも、享受する側がちがう作品として受け取れば、それはちがう作品といえるのだろうか。では、享受する側はどのように、それらをちがうものとして認知するのか。
私は著作権関連の訴訟に興味をひかれがち。法律的な興味じゃなくて、パラドクス的な性質が面白いから。なんかカフカみたく、人間を支配している謎が透けて見える。

ボルヘスの短編に、「ドン・キホーテ」をセルバンテス以外の人が書いてしまう話があります。

一字一句同じものなのですが、パクリではなく、たまたま書いてしまう。しかし、それは、別な時代、別な作者、別な環境の中で書かれ、また読まれるため、別な作品として、別な価値を持つ、というもの。
こういうことって架空のことじゃなくて、「読む」とか解釈するとかいうのは、こういうパラドクスとともに在るということなのでしょう。
作品そのものだけで、作品を読んだり、価値をはかったりすることはできない。たぶん、作品そのものだけが存在するなら、それは暗号のようなものになるでしょう。

  +

スピルバーグは長い間、非常に多くの映画作品を撮り続け、多くのヒット作を生み出しており、知らない人はほとんどいない、ハリウッドの超有名監督。
私はいつも思うのですが、スピルバーグの作品って、作品そのものとしてよりも、まずスピルバーグの作品というレッテルから入って、評価されますよね。
あまり評判にならなかった「A.I.」という作品。これ、例えば、新人監督が撮ったものだったら、評価はどうなっていただろう、と考えてみたりします。まったく同じものでも、評価は変わる。作品そのものだけ価値は存在できないのでしょうか。
スピルバーグ、一度、仮名を使って、別な監督の作品として、発表してみると、どうなるかなあ、なんて思ったり。

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無音の曲も商品として買うことができるんですが、そのとき、通貨は無を単位とし、ゼロと他の実数が等価で結ばれるような演算で計算されるのでしょうか。なんかオノ・ヨーコとジョン・レノンの出会いみたいです。 *1
スライの「暴動」は、日本の若い音楽家に今ぜひカバーしてもらいたいですね。理不尽な戦争に際し、日本ではデモも抗議行動もほとんど行われてはいませんが、それは実は沈黙と静寂をもって粛々と遂行されているのかもしれません。 Imagine,all the people…

cover
スライ&ザ・ファミリー・ストーン『暴動』
Between You & Reality
ザ・ホワイティ・アルバム
4'33"

  +

さらに調べていくと、こんな記事が。

☆4分33秒もの間、全く無音が続く「ピアノ曲」があるのを、ご存じ?一応、全3楽章のピアノ曲。勿論、観客はこの間、じっと黙って「鑑賞する」訳です(笑)。これを巡って、訴訟が起こされていたのですが・・米・前衛作曲家の故ジョン・ケージ氏が50年前に作曲した作品「4分33秒」をめぐる著作権訴訟が、和解に達したという。訴えを起こされていたのは、斬新な作風で知られる作曲家マイク・バット。最新アルバム「Classical Graffiti」に、「A Minute's Silence」と題した無音
の曲を収録し、クレジットにはバット/ケイジと記載していた。報道によると、この度、バットは相当額の和解金をジョン・ケージ財団に支払ったという。【Reuters】

現実はえぐくて、イマジン…というようにはいかないようですね。四分三十三秒以上黙ってると、ケージ財団から著作権侵害で訴えられるかもしれません。

伝奇集(岩波文庫)


*1 : ジョンが初めてヨーコの個展を訪ねたとき、釘を板に打ち付ける作品があり、ジョンが「釘を売ってもいいですか」と訊くと、ヨーコが「5シリング払ってくれるなら」と答えた。するとジョンは「じゃあ、想像の5シリングを払うから、想像の釘を打ってもいい?」といって、ヨーコが「もちろん」と答えたという話。この個展のコンセプトが、のちジョン・レノンのイマジンを生み出す。


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