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三十三夜 第20夜 「斧を握る手」

written by overQ
May 27, 2004

柳楽くん、誰かに似てると思ってたんですが、大覚様アキラに似てますね。十四歳になれば、ちょうどあんな感じ。

は。…また、アニメの話をしそうになってる(-。ー;)
もう、海馬がだめなんで、新しい人は古い人に結び付けて覚えるしかないんです。
そういや、柳楽くん、「誰も知らない」での役名もアキラだそう。是枝監督も海馬をやられているのかもしれない。いい意味で。

というわけで今夜の怖い親父は、「斧を握る手」。

grip

斧を握る手

ある朝目覚めると
世界が文字化けしている。
新聞もテレビも
街の看板もなにもかも
文字化けしている。
ふと気づいて
パソコンを立ち上げると
苦労して書いた論文が
文字化けしてまったく読めない。



弱ったな。
とりあえず
今回の原稿は
間に合いそうにないと
社に知らせるが
電話の言葉がまた意味不明。
こちらの言葉も
まるで通じない。
どうなってるんだ。

見渡せば街は
まったく見知らぬ風景。
どれもこれも文字化け。
何もかも意味不明。
とてつもなく
不吉な気分にとらわれる。
足早になる。

ひと気のない道を選んで歩く。
すっかりさびしい場所に出てしまう。
冷たく細長い虫のような
さだめない恐怖が背筋を走る。
振り払うように歩き続ける。
闇の中を棒一本突き出して行くように
丈高い草野原をわけもわからず
進んでいく。
遠くで波の音がする。

足に何かぶつかった。
人が倒れている。
頭には斧が突き立っている。
握りをつかむとまだ暖かい。
熱いくらいだ。
笛が鳴る。

取り囲まれている。
男たちがなだれ込み
取り押さえられる。
俺が殺したんじゃない。
しかし無罪の主張など無意味。
彼らには何も通じない。
はめられたのだ。
殺された男は父らしい。
なるほどたしかに
見覚えのある顔だ。

おそらくすべて
父の仕組んだことだ。
父は生きている。
この世界そのものとなって。
文字化けしているのも道理だ。
もとより父には何ひとつ
言葉が通じなかった。
俺を陥れるためだけに
用意された世界だ。
腕が重い。
握られた斧のせいだ。
音楽が聞こえてきた。
俺は立ち上がる。



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