書店で見つけた瞬間驚倒しそうになった1冊がリンド・ウォード 『狂人の太鼓』。(中略) 冷酷な奴隷商人が暗黒大陸から持ち帰った太鼓。その不吉な叩音が商人一家に呪いをもたらす。なんて、絵で成り立っている物語を言葉で解説することの空しさよ、無意味さよ。とにかく実際現物にあたってほしい。ホント驚くから。――豊崎由美氏評(本の雑誌2003年1月号)



文字のない小説。
リンド・ウォード『狂人の太鼓』。Lynd Ward "Madman's Drum"
120枚の木版画だけでつづられた物語。
とにかく版画の絵がすごい。黒い光に照らされた世界。太陽まで黒い。不安な構図。不気味な表情。
ストーリーも奥深いです。男の数奇な生涯の物語。一回読んだだけでは、すっきりとはわからない。
でも、全然わからないわけでもないので、よけい謎が気になり、何度も読み返してしまうような仕掛けになってます。
リンド・ウォード Lynd Ward (1905-1985)は、アメリカの版画家。
Wardという名前を逆さにつづるとdraw(描く)となることから画家を目指したとか。
コロンビア大学卒業後、ドイツで木版画の技術を学び、帰米後、小説の挿絵とともに、「文字のない物語」のシリーズを刊行。アメリカの主導的な版画家に。
多くの作品が美術館に所蔵され、版画も高額で売買されています。
角川文庫「フランケンシュタイン」の挿絵が、リンド・ウォードのはず。「白鯨」「レミゼラブル」や「猿の手」の挿絵も手がけているそう。
Madman's Drumの初版本(1930年)は値打ちがあるみたいで、アメリカでは高額で取引されいます。現在入手可能な再版もないもよう。
また、リンド・ウォードの自筆サインが入った希少本は、1500ドルとカタログに記載されていました。
日本版の『狂人の太鼓』も、そろそろ残部僅少。プレミアがつくか?
本好きの人に贈ると喜ばれそう。日本語読めない人もOKだし。
[参考サイト]
■国書刊行会「狂人の太鼓」…発行元の国書刊行会さまの紹介ページ。絵もここから拝借。おそるおそる。でも、この本の場合、紹介するとなれば絵は必須だもん。
■書評 狂人の太鼓…読んでも全然ストーリーがわからんかった人はここで攻略。
■荒俣宏「挿絵入り本の魅力」…妖怪ありゃまたこりゃまた(水木しげる公認)様が自慢のゴージャス本を見せてくれます。
■Keith Sheridan Fine Prints - Lynd Ward