AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: ハルキ

ハルキ

written by overQ
July 18, 2004
春金魚

ハルキ

ハルキ、という音の
すこしさみしい響き。

春の樹木
と文字では書いて
未来や希望と
結んでみる。

ところが
かえって
さみしさが
言葉の外で
うずくまる。
桃色の花の向こう
水色に広がる空のかなた
風がごうごう鳴っている。

神の棲む山は
今では丘と名を変えて
四角く区切られ
住宅地となった。
プールと芝生に影はない。
人の姿さえ
影を生むからと
取り払われた
光の中にひそむのは
透明な闇。
影を失った闇
Hallucinosis。
切り離された影たちは
埋められた古井戸の底
子どもの姿でうずくまる。

叫ばれているのに
聞き取れない言葉。
郊外の新築にすむ
過去を持たない幽霊。
市街地の排水溝に
そっと流された悲しみ。
静止した笑顔の奥で
止まらない絶叫。

もしもし
そこに
誰かいますか。

何の答えもない。
けれども、そこには
誰かがいる。
だから待っている。
壁を背もたれにして
ひざを抱え
耳を澄まして
待っている。
ふと気づくと
抱えたひざの上で
悲しみが
拾われた仔猫のように
丸くなって眠っている。

ハルキ、という言葉は
そんな形をして小刻みに
震えていないだろうか?
世界を深みでつなぐ水脈と
かすかに共鳴しながら。



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コメント

美しい絵とハルキという言葉に魅かれてやってまいりました。
金魚の透明な赤と 透明な闇(黒)が、
overQさんの詩ととても美しく呼応してますね。

overQさんのハルキの詩は、さみしい音楽が奏でられているようです。
「切り離された影」・・・「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」ですね。

Posted by: Site icon ワルツ : July 18, 2004 10:55 PM

村上春樹を主題に詩を書いてみました。
ひょっとすると、春樹氏を主題にした日本語の詩は、これが唯一のものかも。
何でも詩にしてしまっております( ;´Д`)

各所に、ハルキ作品の面影をちりばめてみました。
ちなみに、金魚は、春金魚と名づけております(w

調べてみると、ハルキというのは、ラテン語で幻覚のことらしいです。
英語では、ハルシネーション。

Posted by: Site icon overQ : July 19, 2004 9:36 AM

こんばんは。
TBありがとうございます。
ばたばたひぃひぃあっぷあっぷしていたので、
ゆっくりと詩をあじわいたかったので、
ごあいさつ、大変おそくなりました。
水禽窟の音がきこえそうな素敵な詩。
赤い金魚さんも、きっと綺麗なお水で泳いでいるのでしょうね。
せつなくもここちよいイラストと詩。ありがとうございます。

ちょっとはずれますが、太宰はハルシオン中毒でしたね。
春樹さんは、ハルキの意味を知っていてネーミングしたのでしょうか?

Posted by: pico : July 22, 2004 8:52 PM

picoさん、こんにちは。
お忙しい中、お読みいただいて、アリガト!(´▽`)ございます。

ハルキ、の語源は、幻覚なので、派生語は、ハルシオン(睡眠薬)、ハルシノジェン(幻覚剤)と、すごいのばかり。
カンブリア紀にいた謎の生物もハルキゲニアと命名されてました。
http://www.gnhm.gr.jp/archives/inpaku/cambrian/haluki/chapter01.html

春樹さんの作風は、意識したわけじゃないだろうけど、なんとなく「幻覚」から派生する領域に入ってる感じがします。

太宰治と村上春樹は、作品的にはそれほど似てはいないのですが、太宰の人生、とくに少年時代は、村上春樹の文体で書くと、けっこう面白く書けたりするかも、と思います。
現実と幻覚の境界があいまいで、感受性が強いのに、全体的には浮遊しているみたいな感じ。

Posted by: Site icon overQ : July 23, 2004 12:57 PM
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