AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: 24、見終わって

24、見終わって

written by overQ
July 6, 2004

眠るのって気持ちがいいですね。

昨夜はようやくしっかり睡眠取れました。
ジャック・バウワーと一体化した数日間でした。

24はおすすめですが、おすすめしません
睡眠時間なくなります。
忙しいお友達に教えると、生涯呪われるかもしれません。

ただ、最後までたどり着いたあとの眠り
これは、至福だ…

さてと、きのう書けなかった、24についての個人的な感想、メモっときます。
早いうちに書いとかないと、すぐ忘れちまいますから。
自分用に書いたんで、ちょっと煩瑣になります。

以下は、ネタバレありです。

誰がストーリーを作ってる主体なのか。
これが、いつのころからか、かなり気になってました。

脚本家は二人。ともに80年代からこの世界で仕事をしてるベテラン。エグゼクティブ・プロデューサーも兼ねてる。
シーズン1の特典映像で監督が出てきましたが、なんかうさんくさい(w
このおっさんがストーリー作りの主体であるはずがないと決めつけました。

シーズン1は、終わりのほうで、エピソードの積み重ねがちょっととってつけたようになった気がする。
裏切り者がニーナなのも、あとづけに見えました。
もっとちがう終わり方も考えてたのか。
人気の出具合で、終わり方も変えねばならないでしょうから、いろんなところからいろんな意見・圧力があって、あの終わり方になったのか。
製作の裏事情に対しても、興味のわく作りになってました。
いろんな勢力が、物語作りに作用したように思えます。
たぶん、政府部内の陰謀渦巻く世界は、そのまま、ドラマ作りの現場の実情でもあったのでは、と憶測。

シーズン1は、ジャック、ニーナ、トニーの関係が、どのようにして出来上がったのか、それをほのめかしながらストーリーを進めれば、ドラマ的にも面白かったし、伏線も張れたかも。
あるいは、そういう展開も想定されていたかもしれませんが、いろんな事情であの形になったのかもしれない(要調査)。

   +

トラウマ的に繰り返す隠れた主題がある。作家への精神分析的興味をかき立てるような。

シーズン1では、土壇場が来てとつぜん切れる女
・最初に登場する、飛行機爆破の女テロリスト。そのレズビアンの相棒が、まず切れる。
・最初の内通者ジェイミーが、土壇場で勝手に自殺してしまう(のちに殺しとわかるけど)。
・選挙スタッフのエリザベス。彼女も突然暴走、彼女をだましてた暗殺者アレクシスを刺す。
テリーの記憶喪失もこの傾向にあるし、ニーナ、パーマー夫人も同様かも。
女性に対する脚本家の悪意は、シーズン2では、パーマー夫人を邪悪なサッチーイストにし、運命の名を借りてキムをサディスティックにもてあそぶことに。

シーズン2でのトラウマ的反復は、拷問
ジャック・バウワーの暗黒面としての、拷問。
最初っから拷問、そしてジャックの殺人で始まりますからね。
拷問は、シーズン2で、すべての局面とたどりつくした感じですかね。

拷問を、たとえそれがブラフであれ、おこなってしまったものが、物語的に贖罪されるには、自分が同じ目にあって、死ぬしかない。
それが、最終回的な主題ではなく、ひとつのエピソードとして消化されるのも、小気味よかったです。
テレビ番組としての都合、作家の個人的な主題の追及、現場の演出の困難など、矛盾しあう要素のせいで、独特のいびつさが生まれてるような。そこが魅力であるような。
ヒッチコックは「たかが映画じゃないか」といいましたが、それを思い出しました。
たかが映画だから…のあとには、いろんな言葉が続けられますが。

ヒッチコックといえば、シーズン2のキムのエピソード群は思いっきりヒッチコック風。階段の撮り方とか、地下室の男のサイコ的なキャラとか。キム役の人も、キム・ノヴァクに似てるのは偶然でしょうか。
作り手が楽しんでる様子も感じられました。

たんに、はらはらドキドキするお話を作ろうとしただけなんだろうと思いますが、成功すると、サスペンスのための謎や逆説が、ときおり深淵にさえ見えてくるという、好例です。

   +

なにより、キーファー・サザーランドあいまいな表情が、よかった。
始終一貫して、そう思いました。
善悪の境界は、彼の表情の中で、いつもあいまい化されてました。
脚本家がつねに、善悪の指標について、考えあぐねているのが、彼に仮託される感じ。

大統領は道徳的スーパーマンで、どんな倫理的難題も正面突破。
大統領の決断を現場でフォローするのは容易なことではなく、あらゆる方向から悪の可能性が侵入する。

善と悪の間でのぎりぎりの綱渡りが、このドラマの肝。
仮に、パーマー役とジャック役を交代すると、このドラマの迫力は台無しになってしまうでしょう。正義と悪のドラマ的なめりはりが漠然としてしまって。

シーズン1でいちばんいいシーンは、ジャックが、防弾ジャケットを着せたニーナに、弾丸を撃ち込むところでしょうか。クルマのほうから、遠景で写したショット。
愛人を撃つ、というのは、愛憎ともに象徴しますからね。
あそこは、ジャック=キーファーのあいまいな表情がすべてでした。それで、見てる側は、判断の仕様がない、宙ぶらりんな状態(サスペンス)に置かれてしまう。
現代的なキャラクターです。日本的に翻案すると、かなり弱っちいけど、役所広司?

   +

たよりないところもいろいろあるんですが、全体としてみれば、それもご愛嬌で、あんまりぴっちりしてるより、かえっていいくらいでした。
大長編ですからね。小説に比べての絶対的な利点は、登場人物がごっちゃにならないこと。
見た目も、区別のつきやすい配役でした。

人間関係やキャラクターの設定は、物語の都合としか思えない浅いものもあるかと思うと、ちょろっとしか出てこないけど思いのほか考えさせるものもあり、このまちまちぶりが不可解で、妙に興味を惹かれました。
最後のほうで出てくる、暴徒の諸君。
チップの正体が何かも知らないまま、目先の雰囲気と気分だけで行動する人たち。
彼らは妙にリアルで、しかもグループ内での役割もちょっとした会話でうまく描き分けられていました。
破片のような生き方をする人たちが、不思議とうまく描けてる。
マイ核シェルターを作ってたサイコ男もそう。
キムの恋人が、事故で片足になっちゃったことを彼女にさとらせまいと、別れ話を持ちかける、電話のエピソードも、端的でうまかった。

   +

シーズン2の九巻目あたりから以降の展開が圧巻。
「終わり」を迎えるために必要なものが、次々にダメになっていく。
切れそうな糸を、ぎりぎりいっぱいでたどっていく。

細かいアイデアの応酬です。これを作るのは、たいへん頭を絞ったのではないかと思います。
それとも、なんか、ギャビン・ライアルとかに、元ネタでもあるのかしら。
この終盤の引っ張り方は、見てるほうは、もう勘弁してくれと根を上げそうになりますが、ドラマ的には、まさに正攻法で、とんでもない力業。
引っ張り方としては、いちばん手間のかかるやり方を選んで、成功させてる感じ。感服しました。

   +

シーズン2の終わりも、無理やりシーズン3へと人を向かわせる、あくどいエンディング。
ただ、特典映像では、大統領はすぐ起き上がるみたいですが。

そう。DVDには特典映像がついてて、放送でカットされた部分が見れます。コメンタリー付きの映像もあります(しかし、レンタルでは見る時間があるまい)。
カットされたシーンは、意外と重要なものが多く、見ると見ないとでは、情報量にかなりのちがいが出そうです。

シーズン2、最初の釣りシーンだけしか出てこなかった息子ですが、カットされたシーンでは、大統領と電話してます(第20話かな)。
けっこういいシーンです。
息子役の人、カットされて、かなりむかついたでしょう。
その表情は、シーズン3できっと活用できるでしょう。



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コメント

すみません。私ばかりコメント書いて・・(恐縮しつつ・・)
overQさんの、「ちょっと煩瑣」とか、おっしゃいながら、深い読みに、唯々「へぇ〜」の連続です!!流石です!!
もう1度、これを読ませてもらった上で、「24」を観直したくなりました。(でもこれは、無謀・・笑)

(以下↓激しく「ネタバレ」してます。観てない方絶対読んじゃダメ!)
overQさんのおっしゃる様に、特典映像の中に、いろいろネタバレがありましたよね。
1stの方ですが、
脚本書いてた人がインタビューで、「ニーナを悪役にするのは、真ん中ぐらいで決めた。」って言ってるけど!じゃあ何が起こるか予測不能、仕方ないよね!作者もまだ決めてないのに・・(爆)って思いました。

私は、ニーナの あの瞳の色と長いまつげ、そして有能さがすごくすごく好きでした。
彼女はできれば、最後までいい人でいてほしかったです。
ジェイミーを殺した後モニターに映ってた「鬼のようなニーナの形相」が目に焼きついて忘れられません。
(ニーナ)>「もうやっていく自信がなくなっちゃった・・・。」ってトニーに言って、「君はよくやってるよ。」と慰められてる。その時のニーナに少しでも本心があったと 私は思いたいです。

ドレーゼン親子も何だか最後の3時間ぐらいは、いい人っぽく人間的な感じがしました。
それに比べて、一人で乗り込んで、ドレーゼン親子をはじめ全員やっつけたジャック、恐るべし!初めからさっさと、そうやれば良かったんじゃあ!ホント!!

Posted by: Site icon ワルツ : July 6, 2004 11:40 PM

ドレーゼン親子!
いいですよね。
まず、ドレーゼン息子(兄)の下がり眉毛がかなりきます。

父ドレーゼンは、友人の娘を殺しちゃいますが、あのへんのシーンは、ゴッドファーザーのテーマが鳴り響く感じ。
たぶん、父ドレーゼンは、あの娘の名付け親だったはず。
年をとると、何が正義で何が悪かわからなくなる、とカラマーゾフの兄弟に書いてありましたが、あの父もそれかもしれません。

ニーナ役の人は、演技、ほんと困ったでしょうね。
この脚本では、演技計画とか全然意味ないです。
ニーナを中心に24を見てしまうと、矛盾に満ち満ちています(w
それでも見せてしまう、24の強引な展開。
ストーリーを作るスタッフには、パーマー大統領もいれば、パーマー夫人もいること、まちがいなしです。

Posted by: Site icon overQ : July 7, 2004 8:21 PM
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