映画「スチームボーイ」がまもなく公開の大友克洋。
アキラ以降のここ十余年、漫画はほとんど描かず、アニメ一筋に取り組んでおられました。
blogもできてるスチームボーイですが、スポンサーがバンダイに落ち着くまでは転々として、もうダメなんじゃないかと思いました。バンダイになってからも、何度も公開延期になって。アニメ界の江口寿史になっちゃうのかと、ワクワクハラハラしてましたよ(w
「十歳の少年に見てもらいたい科学と希望と勧善懲悪のストーリー」のようなので、ファンが大友に期待してるものとはずれちゃいそうな予感もあり。怖い。
絵はきれいけど、ストーリーが…と言われてしまわないことを、祈りつつ。
祈りつつ、話は大友の絶版本へ。
「ヘンゼルとグレーテル」という暗黒絵本。
1980年前後に、「ロッキンオン」などに連載した、童話のパロディ集。
大友克洋の中でも異色な作品。豪華な装丁で、でっかい緑色の本です。
大友といえば、アキラと童夢のイメージで、長編SFの人みたいに思われてますが、じつは短編のほうが、ずっと斬新でかっこいい漫画家ではないのか。そう思うことがあります。
その証拠のひとつがこれです。裏返しのキリストを描いたINRIがすごい。
なぜか絶版を続ける「ヘンゼルとグレーテル」ですが、この系列の作品を、大友克洋はもうひとつ作っている。
オムニバス映画「MEMORIES」、第三話「大砲の街」。
MEMORIESって、意外と人気ないみたいなんだけど、かなりの傑作…じゃないのかなぁ。「彼女の思い出」「最臭兵器」「大砲の街」からなるオムニバスアニメ。三話とも大友の原作。監督は、森本晃司「彼女の思い出」、岡村天斎「最臭兵器」、そして大友克洋「大砲の街」。
作品の傾向がバラバラなのがよくないのか…
MEMORIESは、攻殻機動隊と同時上映でした。
攻殻のほうは、その後、アメリカですごく売れ、さらにはマトリクスの監督が影響を受けたと言い出して、すごくメジャーになりました。
でも、同時上映を見た当時の印象は、どっちかというとMEMORIESのほうが良かったんだよなあ。
特に、第三話「大砲の街」には、腰が抜けるほど驚いたんです。
「大砲の街」は、いわば、カフカの映像化。
といっても、カフカの原作というわけではありません。ただ、カフカの作品の中にこんなのがあってもおかしくはない。
どこかと戦争をしている街。敵の正体は不明…どころか敵が存在しているのかどうかもわからない。ただ、街は、戦時下にあって、やみくもな目標に向けて、大砲を撃ち続けている。それだけが、街の存在理由のようになってしまっている…という話。
ワンカットって、カメラでカットを入れず、ちがうカメラに切り替えたりもせず、ひとつカメラでずうっとそのまま流して撮っていくこと。
ワンカットの作品は、映画のような長い映像作品ではめったにありません。有名なのは、ヒッチコック「ロープ」。非常に実験的な作品だといわれました。
アニメでワンカット。
セルアニメです。
カメラが移動していくのが、ワンカットを何とか映画的にするための必須条件。でなければ、一幕の演劇みたいになっちゃいます。
ところが、セルアニメの場合、背景というものがある。舞台の書割と同じです。セルに描いた絵は動かせるけど、背景は動かせない。
この厳しい制約の元で、大友は、巨大な地図のような背景画を描き、その上にセルとカメラを移動させるという手法を実現させました。神業です(・∀・)
この暴挙をやりたいがため、大友克洋はMEMORIESを作ったといってもいいでしょう。
ともあれ、スチームボーイ、当たるといいですね。
いや、当たらなくて、大友さんがマンガに帰ってくる、それも悪くないんだけど…ね。
律儀に手塚道を踏襲しなくても、大友は大友でいいはずなんだもの。
はじめまして。
overQさんのこのブログ
すんごくデザインセンスがいいので思わず勝手にリンクしておりましたです。
スチームボーイ、この目で確かめたいです。
ああ、MEMORIESまた見たくなってきた。。
Posted by: またべぇ : July 14, 2004 12:14 AMまたべぇさん、こんにちは。
デザイン、おほめいただき、ありがとうございます。
じつは、自分ではぜんぜん自信なくて、いつも何とかしたいなと思ってるんです。でも、CSSいじるのは、たいへん面倒なんで、放置プレイになっております。
スチームボーイ楽しみです。
レンタル屋に販促用のDVDが出回ってますが、かなりネタばれ気味なので、見ないほうがいいかもしれませぬ。
ともかく、絵はすごい。
脅威のデジタルです。ぜんぜんデジタルくさくないけど、デジタルでしかできない映像でした。カメラが回り込んで、背景もぐるっと回転しておりました(驚
大友さん、押井守に、時間かけすぎだと怒られたらしいです。
たしかにCSS、面倒ですよね〜
ほうほう、背景もぐるっとな。
大友作品で、こういう壮大そうな映画になるとどうしてもAKIRAレベルを期待してしまいますよね。。
今回のスチームボーイみられた方の話を聞くと、変化球と思ってみると、ど真ん中直球、豪速球で見逃し三振してしまうそうです。それも清々しく(笑)。かなり期待出来ると感じました。メモリーズ、私もこちらが好きでした。攻殻機動隊はあれで、あの監督嫌いになったし、、、(笑)
Posted by: zin : July 15, 2004 2:28 PMまたべぇさん、zinさん、こんばんは。
>ど真ん中直球、豪速球で見逃し三振してしまうそうです。それも清々しく(笑)。
おお。なんか期待できそうな感じです!
「AKIRAレベル」も超えてくれそう。
鈴木杏ちゃんもがんばっちょるようですし。この子、なんかSFに好かれますね。
杏ちゃんは声の収録のころ、別な仕事で北海道に行ったんで、大友さんにお土産を買ってきたそうです。
で、お土産を渡すと、大友さんから、「なんで、カニじゃないんだよ!」と怒られたとか。
アフレコのときはほとんど何も言ってくれないのに、いきなり大柄な態度に出られて、ビビったらしい。
たぶん、大友さん、いしかわじゅんと親しいから、いしかわ氏の「妙に偉そう病」が感染したにちがいない…
「大砲の街」ですが,確かにカフカっぽくもあるんですが,
星野 之宣の「イワン・デジャヴュの一日」ともソックリなんですよね.
どっちが先だったか不明ですが,“あれ?この話,どっかで見たぞ?”と
思った記憶があります.
大砲さん、貴重な情報ありがとうございます!
「イワン・デジャブの一日」というと、あの雪かき戦車(戦艦?)ジークフリードが出てくるやつですね。
言われてみると、たしかに、似てます!1986年、ビジネスジャンプ掲載のようです。
最初の、一家団欒が少年の視点を意識して描かれてるのも似てるし、大砲がちゃちなような、それでいて大切なような役割で出てくるのも、感じがあります。
星野さんの絵だと、「寓話」っぽくならないのが、また面白いですね。
「大砲の街」を見たあとで、読み直すと、かえって寓話的に読めたりするかもしれません。
「イワン」は、ロシアもどきの世界を舞台にしていますが、これを現代の日本にして、毎日通勤電車で会社ごと戦争の前線に送られ、時間が来ると「退社時間」が来て、また日常に帰る…という話にすると、面白いかも…なんて、思いました。
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