昨日は、花園大学でおこなわれた夏目房之介さんの講演に行きました。
マンガ夜話でよく着ておられる深緑色のジャケット姿で登場。すうっとそっけなく壇上に上がられたんで、観客は拍手する間がなかった。
「前日も半日講義をやって、かなり疲れてます」なんて話から始まりました。夏目さんのブログに書いてあったのと同じだったんで、妙に感心。
でも、夏目さん、マンガ夜話のときと同じように見えました。いつも疲れておられるのかもしれませぬ。
観客は六七十人くらいか。クーラーがすごく効いてました。花園の大学生さんたちは、出席カードをもらってました。
内容は、マンガ論の発展。
マンガ夜話でよくやられるような、個々のマンガの分析ではなく、もっと全般的な、マンガの歴史と研究史の話。
かなりむずかしめの講義だったかも。寝てる人もちらほら。一時間半くらい。
マンガの歴史について、大きなランドスケープを描く名講演でした。道筋と地形の全般、どこがまだ未踏のジャングルかなど、おおよそ概観が得られました。同時に、マンガ夜話の面白さの分析にもなっておりました。
まず、マンガ夜話成功の秘密は、夏目・いしかわと、岡田・大月が、ちょうど十年ほど世代がちがう点にある、ということから始めて、マンガ発展の歴史を語っていきます。
マンガが大きく変貌した六十年代終りから七十年代、青年だった世代と子どもだった世代。団塊の世代の末尾と、オタク世代の先頭。
この二つの世代のぶつかり合い、避け合いがマンガ夜話の面白さ。最近では、もうベテランのバンドみたいになっていて、なかなかほかのメンバーを入れにくい…
非常に多様な話で、なかなかかいつまんで書くのが難しいです。もうすぐ出る夏目さんの本「マンガ学入門」が、たぶんこの講義とパラレルなもののよう。
面白い話はいっぱいあったんですが、ひとつだけ。
著作権の話です。マンガは誰のものか。
マンガは作者のものという考え方もあるし、読者のものという考え方もある。販売者のものという考えもありえる。
ヨーロッパでは、作家主義が強く、アーチストが大きく保護される傾向にある。
アメリカでは、みんなのもの、読者主体・マーケット主体の考え方が強い。
マンガ夜話では、いしかわじゅんは、作家主義的。といっても芸術至上主義というわけじゃなくて、市場にも目配りはある人だけど。
一方、岡田斗司夫は読者主義的。本人も自覚的にそうらしい。アニメ世代だから、原作マンガから二次的に作られたマンガを、原作より先に見てたりしたせいでしょうか。
このかみ合わない視点が存在するのも、マンガ夜話の面白さの秘密か。
…と、番組では傍観していることも多い夏目房之介は分析している、と。
それにしても、やっぱり、ものすごく理論家肌な人だなあと思いました。肌じゃなくて、プロなんですが。
講演後は、西院ミュージック・フェスティバルへ。
一箇所で大々的にやるんじゃなく、同時多発的に西院の各所で。
街に溶け込んでて、なかなか味わい深いものでした。
八月三日も、私は、友人のライブに西院(Ooh-La-La)に行くのであった…
[その他、面白かった話題]
・石子順造へのエディプスコンプレックスとその克服の話。
・夏目房之介、呉智英、村上知彦、中島梓といった世代が、マンガをリアルタイムで読んできた初めての世代で、「私のもの」としてマンガを語ることができた、という話。
・マンガの売り上げは95年をピークに下降を続けていて、それと平行してマンガやマンガ論も変貌しつつある、という話。「私のもの」という方法でとらえきれなくなってきた。
・お金のある人は現代マンガ図書館を支援してあげて。このコレクションがなくなるとたいへんだ。
・中野晴行「マンガ産業論」は、地味だけどいい本です。まだ研究されてない領域がマンガには多い。
・漫画研究者、大募集中とのこと。まだ、始まったばかりのマンガ学。人材が不足してるので大募集中。今なら先駆者になれる!