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六十六夜 第46夜 「夜の中の夜」

written by overQ
September 16, 2004

NHK・BS2の、いつもは映画をする時間帯で、「コナン・ドイルの事件簿」というのをやってます。
BBCで2000年に放映されたテレビドラマシリーズ、全5回。
期待せずに見始めたのですが(笑)、これがけっこう面白い。脚本がとてもよくできてて、ユーモアもあり、人生の苦さもあり、推理物としてもなかなか。時代の意匠も面白いネタが出てきます。
俳優さんもストーリーも今ひとつ華がないので(涙)、大ウケすることはないでしょうが、細かいところまで気配りが行き届いていて、見ごたえあります。当たりでした。明日が最終回。

今夜の66は、「夜の中の夜」。六十六夜の中では、ちょっと感じがちがうかも。失敗作ともいう。

なぜかベンヤミンだ
夜の中の夜

イスラム圏といわず
中央アジア一帯に古くから伝わる伝説で
「夜の中の夜」
というものがあります。
不定期に、たいていは数百年に一度
訪れる特別な夜。
絶対無欠な新月の夜
天上の扉がひらかれ
壷の水は甘くなると。
目醒めていられる者はごく少数であり
多くは泥のような眠りの中で
自分が眠っていることにも気づかない。

目醒める者には天上の真理が告げられる。



この大切な夜は最近では
2001年某月某日
アフガニスタンのカンダハルにおとずれました。
心静かに神の口から出る言葉を待つべきその夜
アメリカ軍はディエゴ・ガルシア島より
トマホークミサイルを発射
月のない夜にスティルス戦闘機を飛来させた。
かつてアガルタと呼ばれた神授の土地で
真理の人の誕生が告げられるはずであったといいます。
われわれは時を逸したのです。

しかし、さいわいにも
「夜の中の夜」はすぐさま再訪しました。
2003年某月某日。バグダッド。
語り部たちはこの夜にそなえ
千年来の強い珈琲を調合して
睡魔と闘う算段をととのえたと。
三つの異なる宗教が
三つの異なる名前をもって
神とあがめる唯一の存在は
その夜、地上に真理を知らせたといいます。
しかし、目醒めた者の頭上には
真理が告げられるより前に
クラスタ爆弾が投げかけられたのです。

…と、とばりの向こうで、語り女は語るのだった。



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