AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: 京都映画祭、激しいちゃんばら

京都映画祭、激しいちゃんばら

written by overQ
September 26, 2004

京都映画祭今日も京都映画祭へ行ってきました。
会場は、京都文化博物館別館
この建物、もとは1906年(明治39年)に完成した日本銀行京都支店。京都には、歴史的建造物を再利用した施設がけっこうありますが、その代表的なもの。内装の木のデザインがすばらしいです。

今日は、「誰も知らない」の是枝裕和監督が来られてました。蓮実さんとはちがい、是枝監督は私の後ろの席に。いい人です(座席が基準)。

今回の京都映画祭はちゃんばら特集。
ちゃんばらだと、お年寄りのお客さんがかなり多いです。おじいさんばかり。おばあさんは少ない。ちゃんばらというのは、今で言うロボット物みたいなもので、少年たちが熱狂するものだったんでしょう。
今日上映された映画は、フィルムが断片的にしか残ってないものもありました。その手のものって、ちゃんばらシーンだけだったり、逆にちゃんばらシーンだけがなかったりします。
ロボット物の戦闘シーンみたいなもので、ちゃんばらの部分だけに熱狂するファンも多く、需要があったということらしい。
じいさんの観客はマナーがあまりよくなくて、タバコ吸ったり、食べたり飲んだり、大声で話したり。でも、たぶん昔はそれがフツーだったのではと思います。映画はいちばん手軽で、いちばん人気のある娯楽だったはずだから。戦前のフィルムがあまり残ってないのも、同じ理由によるのでしょう。庶民のありふれた娯楽とみなされていた。

coverサイレントのチャンバラ映画には、非常に長いチャンバラシーンがよく出てきます。
今、テレビ時代劇などで見る、少人数でカタをやって、洗練されたちゃんばらとは、かなりちがう。
走る、回転する、飛ぶ。つねに動く。そして、とにかく長い。延々と戦い続ける。人数もすごく多い。何十人も斬り続けます。どこまでも逃げ、どこまでも追われます。
つねに体が傾いていて、正気の人間には見えません。何が何でも突破していきます。
「カリオストロの城」の有名なカーチェイス、林の中をボロボロになりながらフィアットで突破していくやつ、あれを人間でやってるような感じです。(宮崎監督は、阪妻のファンらしい)
有名なのは、阪東妻三郎の「雄呂血」。
今日上映された「長恨」という作品は、最後の13分間だけが残されているフィルムでしたが、この13分は、一続きの長大なチャンバラシーンでした。
何十人に取り囲まれながら、斬りに斬って逃げる。すごい距離を逃げるので、家の中から始めたチャンバラも、外へ出ていろんな場所に展開していきます。
しかし、最後は追い詰めれられて、殺される。とはいえ、なっかなか死にませんがw

是枝監督の次回作は時代劇だそうです。
でも、時代劇を作るシステムは、もうほとんど残ってないのだそうです。
むかしは、森や城や田んぼだってセットで作ったりした。また、ロケをする場合でも、国宝や重文クラスのお城の中で、馬の大群を走らせたり、屋根に上ったり、刀を振り回したり、好き勝手できたようです。
ふすまや湯のみ、提灯ひとつにしても、今ではちょっと用意できそうもない、凝ったものが当たり前のように使われてます。
殺陣師も、スター俳優なら十数人くらいは住み込みのお抱えの人がいて、いつも練習していたらしい。
脚本だって、定番のストーリーがあって、それを崩したり、はずしたり、組み替えたりして、面白みを出していたようですが、もう定型自体が存在していない。
是枝監督は、「買ってもらえないのが初めからわかっている高価なおもちゃは、欲しいと言わない」と書いておられます(京都映画祭公式パンフレットのエッセイ「時代劇と僕」)。

貧乏裏長屋を舞台にしてはいるが、山本周五郎的なヒューマニズムはそこにはない。侍は登場するがチャンバラはない。仇討ちがテーマだがマッチョではない。タイトルは「花よりもなお」。
失われたものに対する憧憬でも、嫌悪の表明でもないことはたしかである。僕は僕自身の中にある「映画」というもの、「時代劇」というもの、そして「虚構」というものに対する屈折した愛情と思考を、この作品作りを通して見つめなおしたいと思っている。



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コメント

うらやましすぎて、うらめしいです。
是枝監督に、私の愛。
伝えていただけましたでしょうか?
こうなったら、長恨歌でも歌っておきます。ふふ

Posted by: pico : September 26, 2004 12:49 AM

是枝監督、たいへん控えめな人でした。
席も端っこの、いちばん後ろのほうに座られます(w
パンフレットに書かれてたエッセイがなかなか面白くて、長めに引用しましたが、へりくだってるけど卑屈じゃなく、傲慢じゃないけど威厳があるという感じ。
マッチョなものがすごく嫌だけど、「力」を用いないで問題を解決する具体的な方法が見出せない(ヒントはある)…というのが、是枝さんがいま取り組んでおられる課題のようです。

Posted by: Site icon overQ : September 26, 2004 10:34 AM
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