今回は、みらくるさんからのお題で、
今回のお題は、「爽やかな」というところもポイント。
「暗い」とか「悶々とした」とかいう青春も多いのです。近代文学の起源でしょか。
若者って、存在しない悩みを悩むことができるもの。古くは、ハムレットとか。自分が存在してることを悩んでますから、しょうがない人です(笑)
また、こんなのも。
なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。小使に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。
考えてみると、三国志やアラビアンナイトにでも登場すれば、いくらでも生きる場所が見つかった人たち。生涯青春の世界。
でも、市民社会ではいかんともしがたい。出現する場所をまちがえてるのです。
で、世界と衝突して、たいていは木っ端微塵。
ただ、ときどき、さぁっと青天の春風のようなものが吹く。
大げさに言えば(青春は何でも大げさだから)、天使の感触、真理の予感、革命の希望。
これが、たぶん、青春の爽やかさなんですよね。一瞬で過ぎ去るんですけどね(笑) まぼろしですから。
小松左京「日本アパッチ族」
小松左京の最初の長編小説。1964年。
青春の妄想は、たいていは木っ端微塵に終わります。しかし、この小説はちがう。
青春は勝利し、世界のほうが変わってしまう。
SFですが、元になったのは、実際の出来事。終戦後の大阪で、もと軍需工場だった廃墟から、鉄くずを掘り出して売りさばくという、アパッチ族と呼ばれた集団が実在しました。
戦後の社会自体が、この時期、青春だったのかもしれません。
また、この作品から、日本SFの青春も始まる。
感動的なまえがきから、鉄くずを喰い、うんこで製鉄するという、すさまじいエネルギーのホラ話がはじまり、たくみな展開で、いっきょに読ませます。
この野蛮さが、青春。
この作品の直系の子孫は、大友克洋「AKIRA」かな。
さて、実在のくず鉄泥棒集団アパッチ族。
最初にこれをブンガクにしたのは、開高健「日本三文オペラ」(1959年)。
しかし、90年代に入ってから、元アパッチ族という著者が、すばらしい青春小説を書き上げます。
梁石日の作品は、「血と骨」「タクシー狂躁曲」(月はどっちに出ている)なども映画化されてますが、この「夜を賭けて」もそう。
映画版もすばらしいですよね。どちらかといえば、映画のほうがおすすめかも。
主演の山本太郎がいいです。撮影もすばらしく、セットで再現されたスラムがリアル。けんかシーンも斬新。撮影たいへんだったろうなぁ。映画をまず見て、その続きを小説で…というのも手かもしれません。
+
さて、青春の主題といえば、もうひとつは、性。
自分の中の性の目覚めにとまどう。
でも、相手を見つけることができない。子供同士の友情よりほかに、付き合い方を知らないので。
そこから生まれる悲喜劇。自分の中でぐるぐる回って、迷路化する性。
和田芳恵「暗い流れ」
よしえと読みますが、男性です。樋口一葉の研究者。
小説「暗い流れ」は70歳になってからの作品(翌年、亡くなられます)。
編集者から「ヰタ・セクスアリスの現代版みたいな自伝風のもの」を依頼されて書いたそうです。
ハレー彗星と大逆事件の明治43年、母の背中でわざとおしっこをもらした記憶から始まり、20歳前まで。
コドモのポルノグラフィとでもいいうか、青春の内側とでもいうか。
わざと眠ったふりをして、母の背中へ小便をした。じっくりと丸裸の私も濡れてきて、母の背中から両脚を伝わって小便が逃げてゆくらしかった。子供は無垢じゃない。器官がととのってないせいで、やりたいけど、できない。また、思春期の若者は、器官はととのったけど、相手の見つけ方がわからない。
母の背中に触れたままの私の筒先から尿がほとばしるのは、いい気持ちであった。
overQさん、こんばんは。
エントリーお待ちしてましたヽ(´▽`)ノ
読んだことないんですが、小松左京さん気になってました。
『日本アパッチ族』タイトルからして読みたくなります。
しかも、元になってるのは実際の出来事ですかΣ(´Д`;)
しかも、しかも→この作品の直系の子孫は、大友克洋「AKIRA」かな。
これは、本当ですか!なら読まねばなりますまい。
開高健さん、釣りエッセイしか読んでおりませんがいつか小説をと常々思っておりました。
釣り好きな人に悪い人はいない。。。本当かなー。
ひいひい、やっとここまでたどりつきました_| ̄|○
たら本も回を重ねるごとに人数が増えてまいりましたね。
トラックバック数が40とかになったらどうします?(笑)
>青春は何でも大げさだから
確かに!確かに!
若さとは些細な事で一喜一憂できるエネルギーの事かもしれませぬ。
今、急に自分が老け込んだような気がしました…
小さな事を喜ぶ日々を大切にしようと思います。
本のコメントがなくてすみません(^^;
このTB企画に参加しておりますと、読んでない本の記事へのコメントが
かなり苦しまぎれになっております(笑)
>みらくるさん。
主催者さまご苦労さまです!
アパッチ族は、小松左京の最高傑作だという人も多いです。
大江健三郎とか開高健とか、
あるいは石原慎太郎、小田実など、
同世代・同傾向の人たちが、たくさん出現した時代。
戦後日本文学の青春です☆
その中でも、「アパッチ族」は突出してる気がします。
SFということで、ちょっと軽んじられたふうもあるし、
逆にSFファンからは「文学的」すぎるところがちょっと気に食わなかったので、
ややオイテキボリになったところもあるのかもしれません。
今回のお題は、私はむずかしかった〜(;・∀・)
なにせ、ここのところ、アラビアンナイトを旅してるので、
青春が何か、よくわからなくなっております。。
>LINさん。
ふっふっふ。
たら本は、危険水域に近づきつつある予感がいっぱいです☆
リンクの遠くのほうからやってきてる人も、けっこうおられますよね。
どこか大きいブログがひとつ参加すると、爆発する可能性もあります。
最近、ネットのことって、他力本願がいいんだと深くさとりました(笑)
プログラミングでもオブジェクト指向というのがあり、
ビジネスでもアウトソーシングなんて言われてます。
どれも、要するに他力本願。
ひとりで全部やろうとしても無理だし、
全体を見渡すことさえできないです。
いろんな人が寄り集まって、責任も利益も分散して、
小さく軽い個人個人で持ちつ持たれつ、
ごちゃごちゃとやるのが、ネット流。
王さまはいらない…みな奴隷( ;´Д`)
こないだ、たら本DB作ってもらったときも、そう思いました。
主催者さまの負担軽減のアイデアも、
きっとそのうちどこかから出るんじゃないかなと
ひそかに期待しています☆
そういえば、最近、ブログの話題が、テレビや雑誌で取り上げられることも多いです。
万が一、たら本もそうなったら((;゚Д゚)
大事件になるだろうなぁ。。どうなるのかなぁ。。w
overQさん、こんばんは。
>世界と衝突して、たいていは木っ端微塵。
>天使の感触、真理の予感、革命の希望。
青春の形容が、いつもながらすさまじく楽しいです。
小松左京・・・日本沈没を書いたへんなおじさんのイメージしかありません。(^_^;)いいのかな・・
でも、アパッチ族って、overQさんの記事読んでたら、子供の頃聞いたような気がしてきました。関係ないですが、私も土や砂や小川に磁石をつけて、くっついてくる砂鉄を探してましたよ。(磁石で遊んだの懐かし〜。笑)
ちっさい時って、笑い声とか遊びまわったり駆け回る姿とか永遠に心の中に残ってますね。これもせいしゅんですよね。
overQさんのアラビアンナイトの世界に、私も未だどっぷりつかってます。・・イスラム世界の余韻が、スペイン・ポルトガルへと続いていってますー。
overQさん、こんばんはです。
開高健の『日本三文オペラ』にでてくるアパッチ族がSFになっているんですね。
しかもずいぶんとトンデモなホラ話のようで。
アパッチ的な原動力があればなんでもできそうな。もしかしたらこれからの日本に必要…って妄想です。
>うるとらまりんさん。
こんばんは。
なんだか、今頃になってから寒い夜などありますね。
うちもセラミックファンヒーターつけたり消したりしています。
灯油の値段、今すごいことになってますね。春になってから高くなって、まだ良かったです。
来冬が恐ろしい。。
>ワルツさん。
この記事を書いてて、思い出したことがあります。
小学生の頃。在日の友人のひとり。お父さんが何度も変わるので、小学六年間で苗字が四回変わった子でした。
その子が四年生くらいのとき、「ええバイトがあるで」と持ちかけてきた話が、鉄くず拾いでした(笑)
これって、おそらく、アパッチの伝説が流れてきたものかも…とふと気づきました。
アラビアンナイトは、あと二回ほど書く予定です。
文学の伝統の由来を解明したかも(笑)
ややむずかしめの内容なりそうなので、
面白く、わかりやすく、それなりに説得力もあるように書ければ、アップしてみたいと思っています☆
>nyuさん。
こんばんは。
小松左京「アパッチ族」は、開高健ご本人も感動したらしく、
「文学的スノビズムで毒殺されかかっている本能に活性剤として注入されたハイカラな野蛮さ」
と絶賛。
この時代、青春が勝利しかけて、結局は古いものに敗北していく…というパターンの作品は、いっぱい。カムイ伝でも、岡本喜八の映画でも。
でも、「アパッチ族」は負けない(笑) あれよあれよという間に勝っていきます。これは、すごく珍しいw
小松左京自身、以降はこの水準を維持できなかったかもしれません。
荒いところもあるのですが、一度読むと忘れられない作品です☆
OverQさん、こんにちは
「アパッチ族」、随分昔に読みました。もうだいぶ記憶が薄れてますが、破壊的なエネルギーに溢れていてまさに「青春」だったと思いますね。小松左京の小説の登場人物達(特に初期の)には結構偏執狂的情熱を感じることがあるんですが、この小説のイメージはやっぱりすごい。そして勝っちゃうんですね。これは最近の日本で作られる物語(SFや小説やマンガやアニメや映画等)の世界ではなかなかお目にかかれませんね。
小松左京は「日本沈没」や「さよならジュピター」より前の時期の作品が好きですね。後になるほど理知的な傾向が勝って「作り物」な感じになり、物語としての面白さが激減しているような気がしてます。理性はあるけど野蛮さも垣間見える初期〜中期の中長篇が好きです。人類がまだ若くて希望を持っていた時代の、人類にとっての「若恥」「若気のいたり」みたいなものを書いたりして、熱かったように思います。でも短編はひんやりさせられる怪談物が結構好きです。
AKIRAもそうですね。最近の大友さんはなんだか「健康優良不良少年」的アナーキーさが減ってしまったみたいなのが寂しいですね。AKIRAはその辺が爆発していたから好きです。少年達が最後までしぶといし。
他の本は知りませんでした。機会をみて探してみます。
いつも素敵な楽しい記事を有難うございます。
rokuさん。
こんにちは。いつもありがとうございます!
小松左京は、むかしはほんとによく読まれていたけど、
今はかなり沈滞してます(笑)
文庫本も、各社を点々としてます。
大ブームの後って、こんなもんなんでしょうか。宮崎駿もこんなふうになるのか(;・∀・)
小松左京は、でも、やっぱりいい作品がたくさんあるので、
どこかで大きくリバイバルする気がします。
たぶん、そのときは、「アパッチ族」や「女シリーズ」のような、
従来のブームだった小松左京のイメージでは捉えきれないあたりが、起爆剤になるはず。
小松左京の名前も知らない世代も出てきてるはずなので、
そろそろ新しい小松左京が出現してもよさそうな気配。
大友さん、マンガに戻るって言ってたけど、
まだどこにも新作出てませんよね。
出るとしたら、ヤンマガなんでしょうか。
スチームボーイは、他の人の絵で連載が始まるらしいですが。
スチームボーイは、出資会社が転々としたので、
出資するお偉方を説得するため、企画がだんだん「品行方正」になってったらしいです(笑)
このインタビューがわりと正直で面白いです。
http://streaming.yahoo.co.jp/special/otomo/index.html