いつも行くレンタルビデオ屋さんがつぶれていました。突然の閉店。
ちょっとショックだ。でも、暑かったので、まあいいかという気分になりました。
今日はバイクなので、止まると暑いのです。
ビデオ屋がつぶれたなら、新しいところを開拓するまで。
かくしてはるばる、自分のテリトリーからはおよそハズレたビデオ屋に行きました。
借りました…岡本喜八「ブルークリスマス」。
レンタル一本目がこれかよ、と思いながらも、借りました。
誰にも借りられておらず、テープも綺麗です。今日、私に借りられるため、存在してきた、ビデオ。
家に帰って、シャワーを浴びて、エアコンつけて、ビールをトクトクトクとついで、のんびりビデオ鑑賞。
あまり期待してなかったのだけれど、「ブルークリスマス」、よかったです。
岡本喜八監督、倉本聰脚本のSF。1978年。スター・ウォーズ前夜。
特撮ほぼなし。異色作…SFとしても、喜八作品としても。ヒットせず。
「青い血」もの…というのが、マンガや映画など映像作品を中心に存在するはずですが、これもそのひとつ。
UFOを見た人間は血が青くなる。青い血の人間を排除しましょう、という話。
前半は仲代達矢でXファイル、後半は竹下景子の恋愛劇。ときおり画面を横切る天本英世+岸田森が、まるでシスの師弟のようです。
前半が素晴らしい。後半はダレました( ;´Д`)
前半の青くて淡々とすすむ話が、じつに心地よいです。
京都・東京・ニューヨーク・パリと、70年代後半の都市を旅していくのも、きもちいい。
会社の応接ソファとか、ホテルのロビーとか、飛行場とか、タクシーとか。事務的な世界。星新一の世界。
そうだ、私は70年代の事務的な応接ソファが好きなんだ。
どこかでこの青い静かな気持ちを知ってると思って考えてたら、見知らぬ天井…そうか、エヴァだ。
庵野カントクは、新文芸坐の岡本喜八特集で、トークショーのゲストだったらしい。
およそSFと名のつくものなら何でも見てる人だから、「ブルークリスマス」から喜八作品に入ったんでしょうか。
エヴァでは、青い世界はもっと過剰で、そこから抜け出すこと、抜け出せないことの悪戦苦闘に力点は移っていくけれど。青い初号機。青い髪の女。青い血を流すシト。イカみたいな。
というわけで、またしても全然関係ない前置きになりましたが、今夜の九十九夜は、「地動説」。この題名はまちがっている。。
地動説
1.論証
コロンブスが
インドだと思った島は
新大陸のそばに
不器用な入れ歯のように
三々五々と並ぶ諸島であった。
いくら西へ西へと赴いたところで
インドに到達することはない。
無数の未知の大陸が
次から次へと現われるだけ。
コロンブスはこうして
世界は閉じた球体ではなく
無限に広がる平面であることを
証明した。
「水平線がまるく見えるのは?」
「それは永遠がまぁるいためだ」
2.実証西へ東へ南へ北へ。
どのかたへどれほど
おもむこうとも
世界は広がるばかり。
マゼラン以下
コロンブスの遺志を継ぎ
すべての無限を旅する者。
一周して故郷に戻っても
その代わり果てた姿を憂い
これは別な国と考える。
死を迎えるとき、それは
旅の途上での客死とみなした。
郷愁は胸のうちにあるのみ。
彼らの子々孫々に至るまで
ただ変わり果てた世界で
客死しつづけた。
3.反証アキレスは世界一
足の速い男。
もっとも早く駈けた場合には
自分自身の背後にまで
追いつくことができたという。
地球が平面ではなく
閉じたる球の外面
あるいは内面であることの
これまで知られる唯一の証明である。
「なぜ追い抜かなかったのか」
「世界の縮小を予感したから」
4.六畳一間からの反証世界の無限に耐え切れず
みずからを六畳一間に
閉じ込めた男は
ふと考えた。
誰もここに訪れない。
誰も俺を知らない。
それはここがいまだ
知られぬ新世界。
俺が未知の
異邦人だからだ。
極所に閉じ込められたものこそ
世界の無限を証明するという逆説。
集合住宅のそこここで
穴をうがつように
無限世界への扉が開く。
ところが彼は
世界の限りなさに耐えられない。
その時ノックの音がした。
5.海からの反証セイレーンは歌い続けた。
このところ
ちっとも男が来ない。
もう男という男を
征服してしまったか知らん。
歌い続けるセイレーン。
聞くのはみずからの歌声ばかり。
自身のエコーと合唱しながら
彼女はタバコに火をつけ
37歳にして初めて喫煙した。
煙を吸って
立て続けにくしゃみをすると
世界がくううっと音を立てて
縮小した。
その瞬間、歌声のように
自死の誘惑が
彼女自身を捕らえた。
こんばんわ
バイクを走らせると風を感じますよね
でも停まりたくないとも感じますね。
九十九夜「地動説」
読みました。
とても深いなぁと感じます。
地動説とか天動説ということを
指しているわけじゃなさそうですね。
なんだか個人が作り上げた人生を
世界観というファンタジーのような場所で
動いているように感じました。
的外れでしたらとても申し訳ありませんね。
37歳にして初めての喫煙
とても現実味を帯びていて
別な面白みを感じました
あとの言葉で凍りつきましたが・・・。
「ブルークリスマス」、新文芸坐で鑑賞しました。
あの後、地球はどうなっちゃったのでしょう?
劇中、「はて? このシーンは笑うところなのかな」といぶかしむ箇所もあったのですが、
劇場はシーンとしていましたので、じっと口を噤みました。
天本英世&岸田森のよくわからない黒幕コンビを見れただけでもよかったです。
深夜でいいからテレビ放映して欲しいものですが、
たしかタクシーの運転手が放送禁止語を発するシーンがあったので駄目でしょうか。
>persianさん。
いつもありがとうございます。
「地動説」…といいつつ、
内容的には地球平板説?でしょうか(;・∀・)
どっちかいうと、天動説の世界です。
無限をめぐるストーリーは、それこそ無限のバリエーションがあるはずですが、
有限なもので無限を表さねばならないため、
形式だけ取り出すと、意外とどれも似てるのかもしれません。
有限な何かが、繰り返し繰り返し現われて、無限になる。
でも、それは同じことの繰り返しでつまんないので、まったく別なものに憧れる…。
これは、たぶん、誰もが日常で経験してることで、
そのためにいろんなバリエーション、生き生きと生きてくための懸命なバリーションが生じてくるように思えます。。
…ちょっと、何の話だかわからなくなりましたが(汗
Posted by:>SugarCheapさん。
記事、拝見しておりました。
「ブルークリスマス」は近所のビデオ屋になくて、私も見たいなあと嫉妬しておりました(笑)
ようやく、遠くのビデオ屋で発見。見れてよかったです。
この映画、かなり不思議です。
オールスターキャストに近い感じで、有名な人がいっぱい出てきますが、通りすがりが多い。
この映画の主題は「通りすがり」ではないかと思えるほどです。
場所も、ホテルロビー、会社応接セット、タクシー、墓地、喫茶店と、
不特定多数の人が行き来するところばかり。
シスの師弟(天本・岸田組)にいたっては、まさに画面を「横切る」という形で、数度、通り過ぎていきます。
これって、けっこう斬新かもしれません。グランドホテル形式のもっとも解放されたスタイル。
ああ、でも、ゴダール「アルファビル」がこんな感じかも。
あと、「呪怨」の映画じゃなくて、テレビでやってたほう(最初の赤と青の二巻)も、
「通りすがり」方式だったと言えそうです。
ホラーなのに、見てると気持ちよくて、環境ビデオみたいでしたヽ(´ー`)ノ
こんにちわ
なんとなくわかります
いえ わかる気がします・・・。
螺旋みたいなんですよね
グルグル同じように廻りながら
それでいて向上していく
(しようとしているのかもしれませんけど)
あ、そうなるとタイトルじたいと関連が
みえなくなりました。
あは〜 混乱しちゃってます。
でも様々な展開が見られて面白いです
また読みにきます。
コメントを書きすぎました><
Posted by: persian : June 28, 2005 2:04 PM★persianさん。
ほんと、螺旋みたいですよね。
新しいことをしたと思っても、前の繰り返し。
でも、前の繰り返しでいけるかと思えば、新しいものに取って代わられ。
向上と下降も、紙一重で(笑)、
上がってると思えば下がってたり。。
今週は、九十九夜、お休みしますが、
また来週から、あと十六夜、やってみます。
いつも、ほんと、ありがとうございます☆
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