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澁澤龍彦邸、毒キノコ事件

written by overQ
August 29, 2005


それは70年代も終わりのある春の日のこと。
北鎌倉の澁澤邸の庭に八重桜の古木がある。
種村季弘さん、出口裕弘夫妻、巖谷國士夫妻が招かれ、お花見とあいなりました。

この庭には、桜のほかに、キノコも生えている。
アミガサタケ
澁澤氏は平凡社大百科事典に「外国では上等の食菌」とあることを示し、
牧野富太郎の図鑑まで持ち出して、高級食材であることを強調。
塩コショウでちゃちゃっと炒めて、食卓に。

毒薬の手帖」の著者のすることだもの、仮に中毒しても解毒剤くらい作ってくれるはずと信じて、恐る恐る味見する面々。
形状は、梅毒にかかった男根。
こりこりと美味しい。中身は中空で、それも病気っぽい感じ。。

種村さん、皮膚に紫の斑点が出てないことを確かめて安心した瞬間、急に笑いがこみあげてきた。
みると、ほかの人々も、妙に唇のあたりがたるんだ、妖しい表情。
幻覚作用なのか…。

あとで、中井英夫さんに話すと、アミガサタケにはトガリとシャグマの二種あり、特にシャグマアミガサタケの方はしっかり毒抜きしないと即死、と教えられる。。

…以上、北鎌倉澁澤邸、毒キノコ事件の顛末。

種村季弘「食物漫遊記」に出てくるエピソード。
ほかにも、ウナギ地獄事件、幻の日本一うまい焼き鳥事件、魯山人フランス高級レストラン醤油事件など、食にまつわるお笑いネタが満載。
文筆家の食べ物の本は、美食に走りがちだけど、怪人タネムー、この本では、徹底してお笑い系です。
食欲はそそらないけど、みょうに満腹感のある、かなり暴走した本です。

そして、教訓。
よいこのみんなは、アミガサタケは半生で食べないように気をつけよう!
それと、立派な本を書いた人でも、実用面ではちょっと…ということもあるので、うかうか信じないようにしようネ!

種村季弘のネオ・ラビリントス〈6〉食物読本渋沢さん家で午後五時にお茶を

世界のアミガサタケ切手 Morel stamps in the World



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