AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: たら本17「子どもと本」

たら本17「子どもと本」

written by overQ
September 30, 2005

たら本17は、「イーライがやって来た」のマーヤーさん主催
お題は「子どもと本」です☆

今回、取り上げてみたいのは、ラドヤード・キップリングの二冊の小説と二冊の絵本。
(ずいぶん長くなってしまいましたが…キプリングについて、力説してみたかったの(゚ー゚*)

★ジャングル・ブック

ジャングル・ブック―オオカミ少年モウグリの物語〈第1部〉偕成社文庫

まずは、何といっても、ジャングル・ブック
非常に有名な本ですが、じつは私は最近になってから、キップリング作品の一冊として、この本を読んだ口。名前は知ってたけど、読んだことなかったです。
英語圏では、「不思議の国のアリス」と並び、王座に君臨する児童書だという本書。ディズニーアニメもあり。

狼に育てられた少年の物語
狼、黒豹、熊、虎、大蛇、猿など、動物たちがふつうにしゃべります。
動物が言葉を話す、というタイプの児童文学は無数にあるけど、この作品のヒットの影響が大きいのじゃないかと思われます。ターザンとかジャングル物もそうなのかなぁ。

ジャングル・ブックという題名がステキ。およそ結びつきがたい、ジャングルと本。
でも、いったんこうやってくっつけられてみると、読書とは言葉の森にさまようことであり、ジャングルはケモノや木々の言葉を読み解く場所…そんな気がしてくる、魅惑の題名。

アニメでは動物たちとの関係がわきあいあいと描かれているようですが、じつはギスギス
主人公の少年は、虎にさらわれ、狼に育てられる。人間だけど、けものの言葉を解し、森の掟を理解している。
でも、やっぱりもとは人間なので、動物たちに完全に受け入れられるわけではない。仲間になってくれるものもあれば、敵対するものもある。ややこしい精神構造を持った動物たちばかりが現われます。力関係が微妙すぎ。むずかしいヒトばっかり。
でも、子どもはかえって、このビミョーを素直に理解するような気がします。

そして、少年は、けっして完全にはジャングルの住人になれない、という話。
人間の村に帰るエピソードもあるけど、当然のように、そこでもちゃんと受け入れてもらえない。
ジャングルにも村にも住めない存在。アイデンティティがあいまいな存在。自分を探しまわる少年。これが、キップリングという作家の主題です。

残虐なシーンも多い
村人からは魔法使い呼ばわりされ、老猟師に命を付け狙われます。猟師が、自分の「村いちばんの猟師」というメンツを守るため、少年を魔法使い呼ばわりして追い出すんですが。
少年の本当の両親らしき夫妻は、村で監禁され、拷問を受けます。あとで村長が事故として報告すれば、うやむやにできるから、どんな無茶も可能。
これに対抗すべく、少年は動物たちを煽動し、村はジャングルに呑み込まれます(;・∀・) もののけ姫?
日本の少年漫画に通じるような、ある種の殺伐感があり、これが意外と子どもからアダルト・チルドレンにまで受ける原因だったかもしれません。暗いパワーがあるのです。

ボーイスカウト運動の元になった作品なんだそうです。
でも、貼られたレッテルとは裏腹に、実際の作品は健全とは程遠い。主人公は暗い目をして、内なる残虐性を秘めた、一匹狼。どっちかいうとテロリスト系(´ヘ`;) 子ども(あるいは、オトナの中の内なる子ども)は、熱く暗く、これに自己同一化してしまうんでしょうか。

いくつか翻訳がありますが、金原瑞人(ひとみのパパ)さん訳がわりと新しめ。

[参考]
The Jungle Book…絵つきの英語テキスト。

★少年キム

ジョセフ・ラドヤード・キプリング
1865年、インド・ボンベイ生まれ。大英帝国植民地時代の申し子。
イギリス本国で教育を受けた後、インドに戻ってジャーナリストをしています。日本にも来て、旅行記を書いてもいる。
二十代半ばくらいから、時代の寵児として、絶大な人気と影響力を持つようになります。
1907年には、ノーベル文学賞を受賞。
大英帝国の精神を象徴する国民的大作家と目され、シェイクスピア、ディケンズ、キプリングという並びで語られてもいました。
日本でも、漱石や鴎外、またラフカディオ・ハーンなど、同時代の文学を学んだ人たちは、キプリングをきわめて熱心に読んでいます。

しかし、その後、反動が…。でも、その話はあとにしましょう。

少年キム

少年キム
これは子ども(高学年)から大人まで楽しめる、大傑作冒険活劇。スパイ物ともいえるし、ユーモアもペーソスも、オリエンタルな宗教的深遠さもあります。

またしても、少年が主人公、インドが舞台の物語。
少年キムは孤児。父は在インド軍の軍人だったが、それを知らずに、インドの巷で浮浪児として育つ。
そして、シャカを信奉する老僧との出会い。偽善と詐欺が横行する世界で、ひとり「本当のこと」だけを話す僧に、キムは魅了され、いっしょに旅することになる。
僧は、伝説の聖なる河を探している。輪廻から解き放たれるために。
一方、現実世界では、大英帝国が勢力を広げようとするインド。そこにロシアが南下しようとしていて、両者の間にグレートゲームと呼ばれる、スパイ戦が起きている。
キムは、やり手の商人マハブフこと、その実体はM25・1Bなる秘密諜報局員に出会い、スパイの道へ。
老僧と旅をするという隠れ蓑で、スパイ活動をおこなうこととなる。
スパイとしては天才であるキム。「大佐」に見込まれ、諜報部員としての記号を与えられ、名前を剥奪される。また、変装の名人でもあり、性も人種も職業も階級も横断して行く。

「あーあ! あっちに行かされ、こっちに行かされ。これじゃあまるで蹴られるボールだ。これがおれの運命なのか。運命じゃしょうがないか。でも、こらからミリアムさまにお祈りをすることになって、おれはサーブ(インドの特権的な白人階級)だということになる」キムは悲しい目で靴を見つめた。「いや、おれはキム。この広い世界で生きている、ただのキムだよ。キムって誰だ?」自分は何者かなどという、今まで思いつかなかった問題を考えあぐねたすえ、彼の思考は大海に流れ込むように薄れていった。

運命と世界の混沌に振り回され、自分を見失いそうな、それでいて、内側から湧き出る生命力や気転で、なんとか生き延びて行くキム。それは、われわれの内なる子どもではないだろうか。
キムの実際社会での冒険の充実と虚無が、輪廻からの解脱を願う老僧の空の思想と、うまくシンクロするように書かれています。それが、この作品の文学的な醍醐味。

生活力がなくて、いつもキムに助けてもらう老僧。しばしば師弟の関係が逆転しがちな、二人。孫悟空と三蔵法師を彷彿とさせるものがあります。
でも、僧は最後に聖なる河を発見する。僧はさとる。僧だけに見える、その河が。インドの、世界の混沌というその河が。あらゆる人々が生き、流されあう、その河が。

[参考]
Words - Rudyard Kipling, Book, etext


★ちょっと文学マニアな話

「少年キム」は、小説としては最高の水準にある傑作ですが、翻訳は97年にやっと出ました。
英国文学の頂点に立ったことのあるキップリングですが、その後は帝国主義者のレッテルを貼られ、ジャングルブックをのぞいて、ほとんど読まれなくなりました。読まれなくなったというより、帝国主義の象徴として批判するためだけに読まれるようになった。
阪神優勝→飛び込み、という反射があるように、キプリング→帝国主義者という紋切り型が成立した。サイードのような超強力な論客に、めった斬りにされ、ローラーで延ばされ、ミキサーで粉砕され、跡形もないありさま。無惨です(笑)

そんな中、ひとりキプリングを擁護し、政治的に読むべきではないと主張し続けていたのが、ボルヘス。

キップリングの晩年の短篇は、カフカや(ヘンリー・)ジェームズのそれに劣らぬ謎と人間的苦悩にみち、できばえの点ではむしろ優っているとさえ思われる。しかしその彼も、ラホール滞在中の1885年にごく短い直截な作品を書きはじめて、1890年にそれらを一巻にまとめている。そのうち少なからざるもの−「スドフーの家にて」「囲いの外で」「百の悲しみの門」−がいわゆる珠玉の佳編である。−−「ブロディーの報告書」まえがき
つまり、キプリングは最高の小説家だと言っているわけです。

不思議なことに、キプリング再評価の機運は、ポストコロニアル文学の隆盛から出てきた。
コロニアリズムの象徴であるキプリングを、逆説的にも、名目上はその敵対者であるはずのポスコロさんたちが再発見する。
ポスコロ・キングたるサルマン・ラシュディは、ジャングル・ブックなんか読むに耐えないと思いながらも、実際にキプリング作品を読んでみると猛烈に魅了されてしまう一節がある、というアンビバレントな気持ちを語っています。

あってはならないことなのに、ポスコロ作品はキムに似ている。似てしまう。
「南アフリカは白人が統治すべきだ、それは白人の責務である」とまで主張した、ごりごりの主義者キプリングの作品に、似てしまうということ。
…なんとも悩ましい(笑)
主義者である前に小説家であり、小説家である以上に人間であるキプリング。

[参考]
『キム』ラドヤード・キプリング著


★おまけに、絵本を二冊

これは、キプリングを書こうと思って調べてるうちに見つけました。
で、さっき図書館で借りてきて、読んでみました。
衝撃でした。めちゃめちゃ面白いです。絵も素晴らしい。深いです。
ここからキプリングを読み始めるのが、子どもにとっても、大人の中の子どもにとっても、子どもの中のオトナにとっても、正しいかもしれません。

ちなみに、これらは「なぜなぜ物語」という寓話集の一部。
キプリングが息子と娘のために作ったお話だそうです。
息子は第一次大戦に「大英帝国の威信をかけて」出兵し、戦死。ほぼ同時期、最愛の娘ジョセフィンも9歳で亡くなりました…キプリング当人から感染した、スペイン風邪のせいで。
主義者である前に人間なのです。

ラクダのこぶはなぜできた?
ラクダのこぶはなぜできた?

アルマジロがアルマジロになったわけ世界の絵本
アルマジロがアルマジロになったわけ
高橋源一郎訳

[参考]
キプリングの猫のように…「赤毛のアン」のモンゴメリとキプリングのこと。
THE CAT THAT WALKED BY HIMSELF…ひとりで歩いて行った猫



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コメント

overQさん、こんばんは。TBさせて頂きました。
僕も今回たら本企画に初参加させて頂きました。子供時代にほとんど児童文学を読んでこなかったせいか今になってあれも読めば良かった、これも読めば良かったと後悔しております。
>子どもにとっても、大人の中の子どもにとっても、 子どもの中のオトナにとっても
この表現なんだか良くわかる気がします。僕が子供の頃に本を読んでこなかった後悔というのが、「子供の中のオトナ」という部分を感じたかったからというのもある気がします。ちょっと大人の世界を覗き見るワクワク感というのでしょうか。まあ、でもこれからは自分の中の「大人の中の子ども」を感じるために読んでいきたいと思っています。ジャングルブックや少年キムもとても面白そうだなあ。

Posted by: Site icon kyokyom : September 30, 2005 10:38 PM

こんばんはoverQさん
「ジャングルブック」(未読です)に、そういう意味があるのは初めて知りました。児童文学でも、非常に優れたものになるとそういう深さを持つようになるんでしょうか。
「蠅の王」を思い出しました。

「少年キム」もおもしろそうですね!

Posted by: shosen : September 30, 2005 11:06 PM

手元の「ブロディーの報告書」にて確認。
確かに言ってるわ、ボルヘスさん。
ってことで自罰として読み直します(笑)


Posted by: Site icon ne_san : October 1, 2005 2:20 AM

わー、キプリング。
実は全然読んだことないんです。「ジャングルブック」も「少年キム」も。

「少年キム」ね、以前読んだダイアナ・W・ジョーンズの「九年目の魔法」に名前が登場して、気になってたんです。
この「九年目の魔法」、児童文学が30冊ぐらい登場するんですけど、「どんな人もこれを読まずに育ってはいけない、と本屋が教えてくれたものばかりです」という言葉と共にプレゼントされた、という設定なんですよ。そんなこと言われたら、やっぱり気になっちゃいますよねえ。(笑)
でもその30冊のうち、私が既読なのは半分以下…。(^^;
大傑作冒険活劇と聞いて、ますます読みたくなりました。早速探してみますねー。

Posted by: Site icon 四季 : October 1, 2005 5:50 AM

ジャングル・ブックからボルヘス、ポスコロへ話が膨らむなんて
さすがoverQさん。
読み応えありました。
アルマジロの話、覚えてます!
サイの皮の話もあったと思うんだけど、
あれもキプリングでしょうか?
そういえば、舞台がインドっぽかったような…
ジャングル・ブックの少年のアイデンティティが曖昧という箇所で
overQさんが以前、書いていらした「七人の侍」の記事を
なぜか思い出しました。
記事を読み返したら
「あいだに立とうとするものの悲劇喜劇としてのサクリファイス」と
書いてありました。
これはoverQさんの永遠のテーマ?

Posted by: LIN : October 1, 2005 11:12 AM

こんにちは!
>読書とは言葉の森にさまようことであり
私も子ども心に、なんで「ブック」ってつくんだろうと思ったことがありましたが、こういう解釈もあるのか!
しかし実は、「ジャングルブック」自体は、映画(実写版)は見たことあるんですが、未読なんです。(映画では主演の俳優さんがかっこよかったー!)でも、どうやら原作とは違うストーリーになってるらしいことが、overQさんの記事でわかりました!やっぱり原作読まなくちゃなぁ!
>キプリング
はじめて名前を耳にしました!
でも、最後のふたつの絵本は図書館で見かけた記憶があります。
今度手にとってみます♪

Posted by: Site icon マーヤー : October 1, 2005 11:42 AM

★kyokyomさん。

こんにちは。
私も子供の頃は、文学ものはあまり読まなかったほうで、
恐竜とか宇宙とか科学物をよく読んでました。

子どもって、外から見ると、めちゃめちゃコドモですが、
内側から見ると、そうでもないのかもしれません。
自分のことを思っても、そんなに変わらないものもたくさんあって、
子供の頃の記憶の多くも、ふつうに今の自分につながっているようです。
成長してないだけかもしれませんが(;・∀・)

「少年キム」は大傑作で、かなりおすすめです。
絶版になっちゃいそうな予感もありますが(笑)

Posted by: Site icon overQ : October 1, 2005 3:13 PM

★shosenさん。

ジャングル・ブック、有名なわりには、読んだ人が少なめで、私も未読でした。
最近になって読んでみて、内容がぜんぜんコドモコドモしてなくて、むしろ殺伐・荒涼(笑)だったので、衝撃でした。

当時の英国では、スチーブンソン「宝島」なんかの後を受ける形で、
ジャングル・ブックが登場して、大ヒットしたようです。
ターザンは同時期でライバル作品。
この直後に、コナン・ドイルとかH・G・ウェルズが出てきます。
小説の読者がすごくたくさんいて、非常にめまぐるしく流行が変化していったみたい。
ちょうど今の日本のマンガのような感じでしょうか。

そういう流行の積み重ねがあるので、ジャングル・ブックもいろんなところが、とてもよく考えられてできてます。
かなり読み応えがありました☆

Posted by: Site icon overQ : October 1, 2005 3:21 PM

★ne_sanさん。

ボルヘス先生は、やっぱり反動的(笑)
あのまえがきは、キプリングをたんにほめるだけでなくて、キプリング批判者の読み方の浅さを指摘したかったのではないかと思います。

キプリングは、政治的な発言はかなり短絡的だけど、小説は逆に非常に回りくどくて、いろんな見方を拾い集めていきます。
ジョイスの文体は、キプリングから直接的な影響を受けています。

モダニズム以前の、単刀直入な作風で売ってたキプリング。
でも、晩年はジェームズやカフカに近い。
表面的な前衛形式をもてあそぶんじゃなくて、人間の苦悩がにじんだ表現になっている。
それは、モダニムズで売ってた同時代の作家よりも、じつは「新しい」のじゃないか…とボルヘスは言いたいようです。

Posted by: Site icon overQ : October 1, 2005 3:37 PM

★四季さん。

キプリングの小説って、あまり翻訳がないんですよね。
ものすごく多作な作家なんですが、ほとんど訳されてません(涙
ジャングルブック、少年キム。あとは、岩波文庫の短篇集、バベルの図書館シリーズの短篇集。
ほかは、怪奇とか幻想のアンソロジーに、ポツポツとあるだけ。

「少年キム」はたいへんな傑作で、広く読まれないのがとても残念です。

キプリングは、神秘とか幻想の要素も、とても強い作家です。
インドの魔術師のようなものも、よく出てきます。
人間の不幸や幸福、運命とか偶然とか、そういうものの背後に、神秘がほのかにただようような作風。
目で見えないはずのものを、文章の力で、ビジュアルに表現する…とでもいったらよいでしょうか。

例えば、ジャングルブックだと、黒豹を描くとき、
「水に濡れた絹のように、光の加減で、黒い地のなかに、斑点が浮かび出る」
と書いたりします。
文字では書けるけど、絵や写真では、ちょっと表現できないです(笑)
そういうものが、「見える」作家なんですね。

Posted by: Site icon overQ : October 1, 2005 3:54 PM

★LINさん。

サイの皮の話もありますね、なぜなぜ物語。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0887080839/qid=1128151012/sr=1-3/ref=sr_1_8_3/250-1439797-0138634
日本語版もあるのかなぁ。

Just So Story というのが原題で、ほかにも猫とか象とか鯨とか、12話あるようです。
短いので、訳してみたいです。

あいだに立つもの。

少年キムも、ジャングルブックのモウグリも、
読んでると、最後は悲劇的に死ぬような予感がします(´ヘ`;)
「最後」までは描かないので、はっきりとはわからないけど、悲劇の感受性に充ちていて、
途中の楽天的なシーンも、ちょっと物悲しい感じも。

キプリングは晩年、神秘主義に心ひかれたと言います。
仏教的な感じもすごくあるように思います。
それは、批判されてる帝国主義者の顔とはちがっていて、この人自身、アイデンティティが揺れてる人だなと思いました。

Posted by: Site icon overQ : October 1, 2005 4:58 PM

★マーヤーさん。

主催者ご苦労さまです!

ジャングル・ブックという題名は、すごくいいですよね。
本を開いたら、ジャングルが広がるようで、ビジュアルなイメージがあります。
キップリングは、小説の文章も、すごくビジュアルで、イメージが広がるタイプの作家です。

ラドヤード・キップリング Rudyard Kipling という名前も、かっこいいです。

二冊の絵本は、なぜなぜ物語という、動物を主人公にした12話のうちの、ふたつ。
どうやら、洋書では、12話全部の絵本があるらしいです。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0887080839/qid=1128151012/sr=1-3/ref=sr_1_8_3/250-1439797-0138634

Posted by: Site icon overQ : October 1, 2005 5:10 PM

こんばんは、初めまして。
大学で1期に使用した英語の教科書に、キップリングの著書の一節が引用されていたのですが(「東は東、西は西。決して両者が出会うことは無い」といったような文章でした。「東と西の歌」という詩だったと思います)、引用されていただけで、作品の内容に触れるものではありませんでした。恥ずかしながらキップリングの名前をそこで始めて知ったような私ですので、とても興味深く読ませていただきました。
「ラクダのこぶはなぜできた?」というタイトルに惹かれます。本屋で探して読んでみよう…。

Posted by: あさひ : October 1, 2005 7:50 PM

overQさん、こんばんは!

『ジャングル・ブック』私もアニメと映画では見ましたが、原作本は未読です。
キプリングという作家の名前も今回のoverQさんの記事で初めて知りました。。。と思っていたら『ラクダのこぶはなぜできた?』は子供の頃読んだ覚えがあります!!学校で先生が読んで聞かせてくれたのだと思います(>_<)

『少年キム』はoverQさんがおっしゃる通り大人も楽しめそうな本ですね!
>彼の思考は大海に流れ込むように薄れていった。
このあたりとか私が小学生の時に読んでいたら「(;´Д`)?」って感じになっていそうです(笑)

Posted by: みらくる : October 2, 2005 12:06 AM

おー!
ジャングルブックだーー!!!
小学校の貸し出し本を読んでいて、
読んでいる最中に、気持ち悪くなって吐いてしまい、
それを告白するのにものすごく葛藤した変なトラウマが。
でも、内容が気持ち悪いとかではなかったように思います。
興奮しすぎたのかしら?笑
ジャングルブックもインドなんですね。
びっくりしました。
ちびくろさんぼもインドだし。
インドって、ふところが深いですね〜。

Posted by: pico : October 2, 2005 1:03 AM

狼少年といえば真っ先に思い浮かべるのが
フランソワ・トリュフォの厳しく哀しい映画です。
動物と生きるほうが幸せだったかもしれない少年を
見識のある先進国の人間が、「彼のためを思って」
近代化させる。
帝国主義を揶揄しているように読めますが
キップリング自身はそういう考えの人だったのですか…。
理想と感動の間で揺れるアンビバレントの気持ちを持つのが
人の当たり前な姿なのかも。
主義者である前に人間である。というoverQさんの言葉が
とても印象的です。

Posted by: Site icon ねる : October 2, 2005 8:29 AM

★あさひさん。

こんばんは。
こちらこそ、はじめまして☆

「東は東、西は西」の詩。
両者が出会うことがない、と歌ったもので、キプリングの作品では、
ジャングルブックについで、日本でいちばん知られてるものらしいです。
この詩は、男同士の友情を語ったもので、よくよく読んでみると、ボーイズ・ラブなんです(;・∀・)
東と西、この二人がけっして結ばれないのも、ラブを盛り上げるための、必須要項。

この詩も、帝国主義者キップリングを代表するものとして、やり玉に挙げられるのですが、
ボーイズ・ラブという観点を入れることで、大きくちがった見方ができます。
東と西の対立は、愛が燃え上がるための、必然的な葛藤だった、ということに…(* ^ー゚)

Posted by: Site icon overQ : October 2, 2005 8:43 PM

★みらくるさん。

キムは、いいですよ〜!
これは、すごいおすすめの作品。

高校生とか大学生とかで、初めて文学的なものに目覚めた人が、
自分で自覚して小説を読むとき、すすめたい一冊です。

読みやすいけど、ものすごく深い作品で、
生涯をかけて読むような読み方も、本当はできる作品だと思います。

キプリングは、評価が天から地獄にまで落ちてしまった人で、
少年キムもあまり言及されることがないのですが、
本来なら、文学のいちばん上のほうに位置して居るべき作品かもしれません。

Posted by: Site icon overQ : October 2, 2005 8:47 PM

★picoさん。

ジャングルブック。
よくよく読んでみると、この作品で出てくる女性は、母親くらいのもの。
登場人物(動物)は、男ばっかりなんです。

主人公の仲間になってくれる動物、たとえば黒豹などは、「肉体の美しさ」の描写が、非常に細かい。

つまり…ボーイズ・ラブ。

これに「あてられて」、幼少時のpicoさんは、吐いてしまったのかもしれません。

ちびくろサンボは、ジャングルブックの大ヒットの影響で書かれた作品の可能性が高いです。
有名な差別問題論争も、よく考えてみると、キプリングの帝国主義問題の、代理戦争みたいなものだったかも。

Posted by: Site icon overQ : October 2, 2005 8:54 PM

★ねるさん。

トリュフォーとキプリング。
ねるさんのご指摘で思いをはせてみると、このふたり、とてもよく似てるかも知れません。

十代の頃、キプリングも不幸なんです。
インドで生まれたイギリス人が、本国に帰って教育を受けるとどうしても差別されるようなのです。
下宿先ではそうとうつらい思いをしたようです。

「少年」という主題にこだわるのが、トリュフォーとキプリングの共通点ですが、
それはあきらかに十代での、人に言われぬ屈辱のせいだと思われます。

キプリングは、二十代で成功し、30代40代では、ほとんど神のようなスーパースターになる。
文学・政治、一般大衆への浸透度、すべてにおいて、王座をきわめる。
彼が「帝国主義」的になるのは、もう二度と十代の頃の屈辱に戻りたくなかったからではないでしょうか。

彼は、表向きは差別する側になっても、差別される側のことが、とてもよくわかってるんです。
政治的に自分の見解を述べる時は差別的でも、
小説では全然そうではなくて、むしろ差別される側に共感してしまう。
このアンビバレントが、キプリングの魅力であり、
文学的なすごさにもなっているようです。

今後は、もっと大規模に再評価される時が来ると思われます。

Posted by: Site icon overQ : October 2, 2005 9:07 PM

overQさん、こんばんは。

キプリングのジャングル・ブックは、大学の授業の教材で習ったような(しっかり勉強してなかったしうろおぼえ)記憶があります。
overQさんがおっしゃるように、そしてpicoさんが、読んでて気持ちが悪くなった言われてますが、過酷な復讐譚のような・・。ディズニー映画の可愛い男の子(えっと、あの子、モウグリ??)となんかイメージ全然違いますね。
改めて、overQさんの記事を読んで思い出しました。
ところで、overQさんは、子供の頃、どんな本を読んでらっしゃったのでしょう?不思議な少年っぽいイメージが膨らみます。
またいつの機会にか教えて下さいね

Posted by: Site icon ワルツ : October 2, 2005 10:05 PM

★ワルツさん。

キプリングって、そういえば、学校の英語でときどき出てきましたよね。
一昔前までは、リーダーでよく使われる素材だったみたいです。

ジャングルブックは、映画のイメージとは違って、かなり過酷なお話でした。
イギリスでは、それまでにスティーブンソンとかターザンとかあって、
ジャングルブックはひとひねり加えたジャングル物として、登場し、それで受けたんじゃないかと思われます。

…わたしは、子どものころは、恐竜とかアポロとか、深海探査艇のバチスカーフとか、科学物をよく読んだ…と記憶していたのです。
でも、今回、みなさんが紹介されてるのを見てると、けっこう読んだことあるのがあって、
思ったよりもずっと文芸系も読んでいたかも。
でも、お話はごく断片的にしか、おぼえてないですが(;・∀・)

なんか不思議なので、今、ケストナーとか、コロボックルシリーズとか、岩波少年文庫とか読んでみています。
記憶の中にあって、何がもとかわからなかったものが、幾つか見つかります。
とても不思議で、ちょっと不気味な感じもします(笑)

Posted by: Site icon overQ : October 4, 2005 7:02 PM

overQさん、こんにちは!
「少年キム」読みましたよー。
当時の世界情勢やら何やら深遠のものも含まれてると思うんですけど
すっかり冒険物として楽しんでしまいました。(^^ゞ
キムとお師匠さまの関係がいいですねー。
後半、どんどん山をのぼって行く場面とか
最後の河を見つける場面がすごく好きです♪
何度か読めば読むたびに新しい発見がありそうな気がする作品ですね。

ギャリコは、ジャンル分けがしづらい作家さんだそうで
実際、どれもまとめてギャリコ節、みたいな感じです。(笑)
今まで読んだ中では、「ジェニィ」「トマシーナ」が特に好きでした。
もし未読ならぜひぜひ。
チャペックも大好きです♪

Posted by: Site icon 四季 : October 9, 2005 7:05 AM

四季さん、こんばんは。

「キム」は、最後の三章が絶品。
人間が書いたものとは思われないくらい、うまくできてます。

「河」も結局、他の人には見えない、というのがすごいです。
ラマが悟ったことすら、他の人にはわからない。
これは、すごく仏教のホンシツをついてるなぁと感じました。

高山のシーンでは、あの世俗的な少女の出現が、素晴らしいです。
すごく世俗的だけど、すごく魅力的で、
ラマの解脱などまったく価値がないと思っていて、
でも、キムは彼女にキスするんですよね。
あの乱暴なキスが素晴らしい。
あれが、ラマが死んだ後も、キムがこの世界で生きていくことの始まり、オトナの始まり、
第二章のはじまりみたいになってて、感動的でした。

ずうっと未来になって、いろんな冒険のあと、きっとキムはふたたび師のことを、本当に思い出す。
師があのとき「河」を見つけていたことも、確信を持って気づく時がやって来る。
この「再会」が予感される点で、この作品は奇跡のような傑作だと思いました。

同じように仏教的な背景を持つ、ミシマの「豊饒の海」は、
逆に「再会」がないことで終るのですが、
「キム」のほうがずっとすぐれた作品だなと思っています。

Posted by: Site icon overQ : October 11, 2005 7:12 PM

サイードがキプリングを厳しく批判したというのは、
賛成できないんですよ。反対に、評価したといったら
良いんじゃないのですか。リベラルなフォースターよりも
キプリングに好意的じゃないでしょうか。(むしろカミュには手厳しい)。

第一に、ポストコロニアル批評や文学は、反植民地主義の
ような思想に基づいておらず、その書き手自身が植民地
化、西欧化を受容している。

第二に、サイードが一番惹かれる作家はコンラッドなわけで、
実は植民地主義における異文化どうしの出会いを描く文学
が好き。ナイポールをあれだけ非難するのも、共産党員が
自民党を非難するのとは少々異なった意味がある。なにしろ
小説家としての文才を高く評価しているのですから。
気になってしょうがないのがナイポールであり、キプリング

第三に、ポストコロニアル作家というのは、ほとんどPCとは
言い難い。ラシュディ、ナイポール、クッツェー、オンダーチェ
ラシュディはナイポールやキプリングを批判するけれど、
同じアナのムジナなんですから。

Posted by: shakti : October 22, 2005 2:04 AM
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