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諸星大二郎マイ・ベスト10

written by overQ
November 13, 2005
「おらといっしょに ぱらいそさ いくだ!」
というわけで、諸星大二郎の驚愕の短篇マンガ「生命の木」が映画化されました☆
奇談
監督・脚本:小松隆志
原作:諸星大二郎「生命の木」
プロデューサー:一瀬隆重
音楽:川井憲次
出演:藤澤恵麻、阿部寛、ちすん、柳ユーレイ、神戸浩、堀内正美、白木みのる、一龍斎貞水
11月19日より全国で上映されますだ。みんな、映画館さ、見にいくだ!(ちょっと不安はあるだが by 重太)

undefinedしかし、このように書いてみたものの、このギャグを理解してくださる方は、かならずしも多くないとも思われ(;・∀・)
たら本18では、多摩のいずみさんが諸星作品をあげておられましたが、知ってる人はめちゃめちゃ熱狂してるけど、知らない人は全然知らない諸星大二郎
とくに若い人は、知らないかた、多いみたいです。布教を意図しつつ、ちょっと諸星大二郎のことを。

  +

諸星大二郎。
70年にデビュー以来、現在も書き続けている漫画家で、数年前は手塚賞もとりました。
が、本格的にブームなったことは、一度もない。単行本も現われては消え、現われては消え。
でも、私はいちばん好きな漫画家。

undefined70年代半ば、「暗黒神話」「孔子暗黒伝」を連載。
幻想マンガの極北をいく、すごい作品です。さらにすごいのは、連載雑誌が、少年ジャンプだったこと。ジャンプは懐が深い。邪道こそ王道路線は、このころから連綿と続いています。

ジャンルは、幻想・ホラー・ファンタジー、といえばいいでしょうか。
諸星大二郎、というジャンルがある、といえるほど、一貫した作風。
中国の志怪小説や柳田民俗学などから取材し、きわめてユニークな着想と絵で、ひそかに熱狂するマニアは少なくないのです。幻想というジャンルでは、小説における泉鏡花と同様、至宝と呼べる存在です。

undefined基本的に短編作家。手塚賞受賞作「西遊妖猿伝」は16巻の大長編(未完)ですが、それ以外はだいたい短篇と連作短篇ばかり。
そのせいか掲載雑誌も、あっちこっち。いろんなところに、突然出没します。雑誌がなくなってしまうことも(笑)
単行本も出ては消えの繰り返し。短篇はいろんな本に重複して入ることがしばしば。未収録作品もあり、全作品を読んだ人は、ごくわずかなマニアだけでしょう。


70年代半ばから現在に至るまで衰えることなく、ほんとに傑作ぞろいです。作風も絵柄も一貫してる(ご当人は変わってるつもりかもしれませんがw)。

絵はね…微妙です。
ちょっと見ると、すごいヘタに見えるかもしれませんが、読んでみると、この絵がとてつもなく重要なことがわかってきます。
マンガ力はすごくあって、コマの運びとか、最初からすごくうまい人。諸星さんも絵には自信があるらしく、自分はあえて大友克洋とは別な道を歩んだ、というようなこともおっしゃってます( ・∀・)

線が変なんですね。ためらいがある。何か気がかりなことがあるような線。
世界が少し、かしいでいる。そのせいでできる隙間から、異界の風が入りこみます。
初期の作品「生物都市」や「アダムの肋骨」ですでに、諸星絵以外ではこんなに面白く、すごく表現することはできないものが、つかまれている。あの絵のせいで、世界と世界のあわいが、じわじわ広がってしまうのです。

以下、諸星大二郎の短篇から、マイ・ベスト10を(順浮動)。

  +

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・「生命の木」
映画化された、この作品。諸星のベストにあげるマニアも多そうです。かくれキリシタン物、とでもいっておきましょうか。衝撃の傑作です。多感なエヴァンゲリオンにも影響してるそうです。みんな、読むだ!
海竜祭の夜―妖怪ハンター


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・「生物都市」
初期の傑作。掲載は少年ジャンプ(74年、31号)。諸星絵のすごさが爆発。SFとしても秀逸なアイデアで、筒井康隆が絶賛しています。
・「アダムの肋骨」
これも初期作品。青年誌に掲載され、エロチックな内容。絵がすごい。
失楽園

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・「不安の立像」
ホラーの傑作。子どもの時に読んで、プラットフォームの端には立てなくなりました。
不安の立像

・「感情のある風景」
感情を絵で表現する。この主題をパロディに近いようなアイデアで処理して、悲哀に充ちた傑作にまで仕立ててしまう天賦の才。
夢見る機械

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・「カオカオ様が通る」
遠い国からシリーズのひとつ(らしい)。宇宙のオアシス都市を、パナマ帽の男が旅する。オリエンタルな雰囲気がただよい、妙にほのぼのしています。ギャグのような味わいも。
夢の木の下で


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・「六福神」
七福神ならぬ六福神。題名からして、すでに禍々しい予感がします。宝船の中がすごい。妖怪ハンターシリーズの一篇。「生命の木」も妖怪ハンター物です。稗田礼二郎という、長髪の山岡士郎のような民俗学者が活躍(いやあまり活躍しないが)。このシリーズはたぶん、今も継続中。いろんな雑誌に出没します。ベアーズとかコミックトムとか(マイナーすぎ)。
汝、神になれ鬼になれ―諸星大二郎自選短編集


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・「異界録」
「諸怪志異」シリーズのひとつ。諸星大二郎は蒲松齢の生まれ変わりなのかもしれません。アクションに途切れ途切れ連載。再刊した今もあるいは連載中なのか。阿鬼ちゃんがかわいいシリーズですが、この一篇には阿鬼も五行先生も登場せず。ちなみに九十九夜「モテモテ」は、一見そうは見えませんが、この作品に影響されています。
諸怪志異 (1) 異界録


・「無面目」
これも中国物。ちょっと長めで読みごたえあり。そして、もっと長大なストーリーが読みたい向きには、大長編「西遊妖猿伝」が待っています。
無面目・太公望伝

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・「塔を飛ぶ鳥」
オリエンタルな雰囲気のある異界の物語。諸星作品に登場する若い男性は、この世界になじめない悲哀を帯びていることが多いですが、これもその代表的なもの。初期の「アダムの肋骨」と同様、鳥のモチーフ。
私家版鳥類図譜

あー、あと会社もの(「会社の幽霊」「詔命」)やギャグっぽいの(「猫パニック」)、それに「栞と紙魚子」シリーズも入れたかったのに!
ほんとに傑作ばかりなのです。なぜブームは来ないんだ(笑) 古本、プレミアついて、買えません( ;∀;)
諸星大二郎は、世界の縫い目をほどいてしまう。神はそれを恐れているにちがいないです。


[参考]
諸星大二郎ファンのページ…充実した作品リスト。でも、更新が2000年で止まってるのがザンネン。
諸星大二郎の世界…単行本を中心に解説したファンサイト。



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妖怪ハンター / 諸星大二郎
概要 漫画と映画の話を二題。 諸星大二郎の「妖怪ハンター」シリーズの中でも、僕は最高傑作だと思っている「生命の木」がいつの間にか映画化されてたんですね。 稗田礼二郎(この怪奇漫画シリーズの主人公の民俗学者)役が阿部寛というのは悪くない気もしますが、どう...
ウェブログ: 夏庵`s nest
時刻: November 14, 2005 4:28 PM
コメント

 こんにちは。
 僕はねえ、諸星大二郎の絵が嫌いなんですよ、絵柄もそうだし、グニグニした気持ち悪い描写とかもかなり嫌い。
 しかし同時に「絵柄での食わず嫌いがいかに損か」を教えてくれた漫画家でもありますね。オカルトと、オカルトが存在する必然性というか、そういう物をちゃんと表現しているのが良いです。
 「暗黒神話」が大好きです。

Posted by: LSTY : November 14, 2005 10:31 AM

うわ〜。映画化ですか〜。ハリポタより先に見にいきたいですぅ♪

「生命の木」を読んで以来、芥川龍之介「おぎん」の
「お父様! いんへるのへ参りましょう。お母様も、わたしも、あちらのお父様やお母様も、――みんな悪魔にさらわれましょう。」(芥川龍之介「おぎん」1922(大正11)年9月「中央公論」初出)
の感動の場面が、なんとなく、
「おらといっしょに ぱらいそさ いくだ!」
の場面にかぶさって困っていますw


Posted by: Site icon 美頬 : November 14, 2005 3:27 PM

そうですか、やはりお好きでしたか、諸星大二郎。
今回の映画化を期に隠れ諸星ファンが一斉に立ち上がってくれるのではないかと期待してるのですが。
しかし「生命の木」の映像化はどうなってるのでしょうか。あの話こそ諸星絵があってこそ成立する世界のような気がするな。
もし諸星作品を映像化するなら、「真夜中のプシケー」とか、「不安の立像」などのホラー系をTVの深夜枠とかVシネとかの低予算で作ったらかえってはまるような気がしますね、しかも監督はなにげに黒澤清とか。

Posted by: 夏庵 : November 14, 2005 4:46 PM

★LSTYさん。

あの絵は、やっぱり、最初は、ねぇ。
人にすすめたとき、絵を見たとたん、「あー」ってため息顔されて、ショックでした。
チーズとか臭いのキツい食べ物といっしょで、一度味をおぼえると、癖になるんだと、力説しておきましたが。。

こないだ、スラムダンクをトレースして、本を回収された漫画家がいましたが、
諸星大二郎をトレースしたら、逆に業界で尊敬されるでしょうw

…なんか、自虐的なことを書いてしまった気がする(;・∀・)

Posted by: Site icon overQ : November 14, 2005 9:42 PM

★美頬さん。

稗田礼二郎は阿部寛です。なんだか最近、飛び道具的な役どころが多いです。島田久作と顔つきが似てきました。きっと諸星マニアにちがいないです。

「おぎん」はすごい作品ですよね。名前が、マリアおぎんとか、ミゲル弥兵衛とか、インパクトがあります!
思えば、イエス・キリストも、ギリシャ語とヘブライ語の混成だそうですが。

日本は、文物の吹き溜まりで、人間・集団はちょっとしかやってこないけど、モノは集積される。
思想も、ヒトじゃなくて、テクストの形をとって、輸入される。
だから、いろんなものをごった煮にしようとすれば、わりと楽にできるはず…言語的に。漢字かな混じりだし。

だから、日本で、日本語を通じて、諸宗教が渾然一体となったものを作ることって、たぶんできるんじゃないかと思うのです。
宗教も神も、ただひとつの多数多様体であり、争い・対立は無意味であることを、言語上に達成する…。
というような使命が、いっけん宗教的にはぞんざいな極東の島国に、課せられている…かもしれないです。

Posted by: Site icon overQ : November 14, 2005 10:18 PM

★夏庵さん。

こんばんは!
こうやって見ると、やっぱり諸星マニアにしかアピールしない記事を書いてしまったような(笑)

映画のサイトでの諸星大二郎の紹介の仕方も、「ダ・ヴィンチ・コード」にたとえたりして、たいへん苦労してるようですw

読んだことない人に、諸星をすすめるのは、すごく難しいと、あらためて思いました。
短篇だし、あらすじを書いちゃうと、ネタバレになっちゃうし。
あの絵も、紹介すると、かえって興味をそぐような効果が…(;・∀・)

これだけ長期にわたって、ブレイクらしいブレイクがないのも、珍しい人ですよね。
水木さんや楳図さんとは、何かが違っているのか。
今までやめずにこられて、ほんとによかったです( ;∀;)

Posted by: Site icon overQ : November 14, 2005 11:01 PM
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