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JMB連携TB企画 祝 第50弾 『 Music For Sunset! 』

written by overQ
November 1, 2005

jmb
祝・JMB連携TB企画50回!
JMさん、おめでとうございます。いつもステキなお題ありがとうございます!

さて第50回のテーマは、Music For Sunset

秋の夕暮れはとても印象的、澄み渡った空が深紅に染まり、そしてあっと言う間に暮れてしまう短い時間。そんなひとときは儚くもあり、寂しげであり、でも優しくもあります。
Music For Sunset.
音楽と黄昏のあいだに置かれた前置詞は、for
日本語には訳せない微妙なニュアンス(向かう、ずうっとむこう、さしのべる、為に、せい…)があって、詩的。
夕暮れの空の下、畑の中にずうっと続いている道。その向こうには家があり、家族が待っている。黄昏は家路に向かう時間でもあります。
Home という英語はどこか夕焼けの感じがある。
あっという間に暮れてしまう、黄昏の短い時間。
音楽も、いまでこそ録音があるけど、本来は奏でられたその瞬間、消えてしまうもの。
Coming Home.
家路。急がねばそれは、消えてしまうものなのかもしれません。

Just Another Diamond Day

Vashti Bunyan
不思議な響きの名前を持つこの女性は、三十五年前、たった一枚のアルバムを出した。
Just Another Diamond Day
ブリティッシュ・トラッドの伝説の一枚。
そのアルバムは数年前まで、オークションで1000ドルを越えるという、究極のレアアイテムでした。
ブリット・トラッドの聖杯とまで呼ばれ、幾多のものが探究の途上で力尽き、ほんとうに存在するのかあやぶまれたのです。

CDが出て、その実在が今では確認されています。
まるで、コーンウォールの森の中で、妖精の音楽を隠し撮りしたかのよう。繊細。刹那い。
聴いてる最中でさえ、あまりに儚くて、これは存在するのだろうかと思えてくるほど。

奏でられた瞬間、どんどん消えていく音。CDなのに、もうこれ一回きりしか聴けないんじゃないかと、心細くなるほどです。
ささやく、というよりは、つぶやくような歌声。自分のためだけに奏でる音楽。とつとつと、指の動きが感じられるようなギター。そしてリコーダの音が重なる。
イギリスの丘陵に落ちる夕陽、黄昏の中を家路に着く。やがて森にさしかかり、闇が優勢になる。家族の顔を思い浮かべる。キャンドルに照らされて、夕餉の食卓につく家族のことを…。

Lookaftering

驚くべきことに、ほんの5日ほど前、Vashti Bunyan が、35年ぶりの第2作目をリリースしました。
衝撃です。夢の中の出来事のようです。
試聴してみると、声がまったく同じまま。やっぱり妖精だったのかもしれません。録音の際、Vashti の声があまりに儚くて、録音技師はマイクの調整で苦労したそうです。
不思議すぎ。ありえん、現実とは思えないです。

ファイヴ・リーヴス・レフトピンク・ムーン

そして、偉大なNick Drake
今でこそ、「もっとも影響を与えたミュージシャン」の第九位に選ばれさえするけれど、
当時(70年代初め)はほとんど評価されず、やがてうつ病を患い、命を絶った人。享年27歳。
70年前後というと、ディランに代表されるような、社会性の強いフォークが主流。
しかし、Drake は、はるかに内省的。指先がはじく弦の、ひとつひとつの震えが意味するもの。

ちょっと話が飛びますが、短歌とか俳句を作る人って、プロの歌人・俳人はほとんどいなくて(歌や句ではではメシが食えないですから)、じつはすごい歌人・俳人は、すぐそこらへんにいたりする。
ふつうに、ふつうの人として、ふつうに生きてて、働いてて、テレビを見て、なんか売ったりしてて、馬券を買って、歯医者に行って、子どもを保育所に迎えに行ってて。かばんの中に秘めれた釈迢空、ポケットの手帖には言の葉のつづれ織り。

ミュージシャンも、録音ができる前、レコードが大量生産される前は、そんなだったはず。スーパースターという現象は存在しない。
音は、それが奏でられるその場にいなければ、聴けないですから。
音楽家だって、調子のいい時もあれば悪いときもあるから、ほんとにいい音楽は、ほんとに儚い刹那しか存在しない。
それをその場にいて聞いた人だって、もう他の人にその思い、そのすごさを伝えることなんてできない。演奏した当人だって、再現できない。それは本当に実在したのだろうか。
一瞬一瞬を過ぎ行くとき、現実こそ、すべて夢のようなのです。黄昏の道をゆくもの。

Nick Drake を聴くと、そんな、音があるがままにあるときの形を、思わずにいられない。
これは、まちがって、録音されているのかもしれない。これは、本来、それが奏でられた一瞬しか存在していないはずの音だから。
黄昏が日々、その日一度きりのように。

歌詞も素晴らしいです。
語彙が少ない。千語に満たないかしれない、子どものような語彙で語られる、事の深遠。生きることの思い。よろこび、かなしみ。放心と歌と。
むしろ、そのようなことは、そのように少ない言葉でしか語れないもののようなのです。弦をはじくひとつひとつの指がつぶやく思い。黄昏に耳をすませば。
Music For Sunset



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コメント

overQさん、こんばんは。
お忙しいのに、たら本のバナー作ってくださって、今回もステキすぎます。

そして、こちらのエントリー!
>ヴァスティ・ブニヤン!って・・
勿論、初めて聴く方なのですが、懐かしいのは何故?
フォーク・ダンス踊った(踊らされた。笑)子供の頃があったから?(笑)
今、雷に打たれたように(ホントにそんな感じなんですもん。)思い出したのですが、昔リバイバルでヒットした時に聴いた、フランソワーズ・アルディーの「もう森へなんか行かない」のイメージがしました。
フランス語と英語で全く違うのですが、彼女たちの声の質や時代に同じものを感じました。

Posted by: Site icon ワルツ : November 2, 2005 11:24 PM

overQさん、いつもありがとうございます。
いろいろなことを想起させる素晴しい文章に、
自分はいつもお手軽な事しか書いてないなーなんて自省しちゃいました:P
儚く過ぎ行く瞬間、その時の音、Simpleに語られる言葉、
そんなことを感じ取れる感性を大切にしたいと思います。
これからもよろしく:)

Posted by: Site icon JM : November 3, 2005 12:03 AM

★ワルツさん。

こんばんは。
今週はちょっと余裕があるので、ちょうどうまくバナー作れました。

Vashti は、かなりおすすめです。
もしワルツさんところに、オリジナルのアナログ版があれば、十数万円の価値がw
CDが出て、いろんな人に聞いてもらったけど、どのタイプの人にも非常に好評で、
音楽の趣味の傾向にかかわらず、アピールするものがあるようです。
音楽をあまり聴かない人にも訴えるものがあるようで、プレゼントには最適かも。

この人の何がすごいかといって、ありふれていることw
こういう人って、百人いれば一人くらいいるはずなんです。
そして、そんな人が奏でる音楽が、いちばん、ふつうに人の耳が欲している音楽。
それは、そこらじゅうで、何の気なしに奏でられているのに、ちゃんと耳に留められることがない。
妖精の音楽。
本当に、音楽と呼ばれるべき、音楽。音の楽しみ。音の楽。

たままた、偶然、彼女の音は、録音された。

ヨーロッパでは、若い人に、すごく人気があるみたいで、それを受けて、リバイバルしてるそうです。

ワルツさんも、そんな妖精の音、日々、奏でられてるんじゃないかなぁ☆

Posted by: Site icon overQ : November 4, 2005 9:11 PM

★JMさん。

50回、おめでとうございます!
もう、50回。すごいです!
JMさんの企画にインスパイアされて始めた「たら本」は、ようやく19回。
たら本は、みんなで分散してやってるのを思うと、
JMさんの50回達成は、ほんと偉業ですよねえ(シミジミ

今回は、Nick Drake と、Vashiti Bunyan。
数年前、若い友人から教えてもらって、以来、愛聴しています。
音楽を、レコード出現より前の状態に戻す…というようなことが、もしありえるとして、
非常に重要な意味を持つもので、ヨーロッパでの再評価はそれを捉えているもののように思われます。

Posted by: Site icon overQ : November 4, 2005 9:32 PM

たら本のアイデア素晴しいですよね。
持ち回り制が参加者のモチベーションになるしね。
さっきたら本DBに気付いて掲示板にコメント入れさせて貰いました。
素晴しいなー。
このBlogもデザインとか、機能がすごくいいですね。
実現できるスキルが羨ましいなー。

Posted by: Site icon JM : November 10, 2005 11:51 PM

たら本のデータベース、Love BooksのIzumiさんに作っていただいたんです。
http://lovebooks.oops.jp

データベースがあったら、便利だろうなあ、という話を書いたら、Izumiさんが、すばらしいのを作ってくださって、感謝感激でした。

まあ、はやりの言葉で言えば、アウトソーシング(笑)
どこががアウトかインか分かりませんが。
たらいまわしが、そもそも、アウトソーシングのスタイルなんでしょうね。他力本願とも言いますw

JMさんとこも、DBあると、きっと便利ですよね。
50回あるんで、さすがにひとりで作るのは物理的に無理があるけど、
puki-wikiとか使って、10人くらいでわーっとやるとできるかも、と思います。

Posted by: Site icon overQ : November 13, 2005 8:48 PM
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