とくに速い球を投げるわけでもないのに、のらりくらりと打者のタイミングをはずし、いつの間にかアウトの山を築いている…。
老練な技巧をもち、うまいと呼ばれる投手たち。
豪腕の速球投手なら、調子のいいときは、自分のリズムでずばずば投げきり、そのリズムが小気味いいのですが、
技巧派の場合は、逆に、気負いこんだ相手のバッターの一本調子なリズムを、ほいほいとはずしていく面白さがある。
豪腕投手がワン力で投げるなら、
軟投派はニャン力で投げるのだ(≡゚∀゚≡)
ジム・ジャームッシュ監督「コーヒー & シガレッツ」を観て、そんなニャン力、感じました。
コーヒーとタバコをめぐる、短いエピソードが11個。86年から撮りためたそうです。
白黒作品で、基本的に二人の人物、四角形、チェックの模様、左右対称の画面…「2」というのが、大きい枠組みになっています。(サイコロを振れば、2のゾロ。)

その中で、三人目が出たり、こうなったりああなったりして、対称性が崩れたり、スクエアがゆがんだり、不思議ともとに戻ったり。
野球で言うところの「球の出し入れ」で勝負する感じ。
コーヒーはアラビア、タバコはアメリカ大陸に起源があるんだそうですが、本来てんでバラバラの出自を持つものどうしが、組み合わさると、妙にはまる。
この映画、配役が壮絶です。ウータン・クランからロベルト・ベニーニ、ニコラ・テスラからリー・マーヴィンまで出てくる滅裂ぶり。奇奇怪怪の配役。
*1
対称性が破壊される一方では、ぜったい組み合わされないものどうし(同一人物も!)がツインやカズンになるという仕掛けになっています。
剛速球があるわけでも、誰も打てない魔球があるわけでもないですが、四角いはずのストライクゾーン(スクリーンゾーン)が、ゆたかなまろみを帯びてきます。
バットを振っても、けっして芯には当たらず、手の痺れがジンと残る。のらりくらりと不思議な感触の映画でした。
+
この映画について、みらくるさんが「まずいコーヒーが飲みたくなる」と書かれていましたヽ(´ー`)ノ
まさにそんな映画ですね!
まずいコーヒーが飲みたくなる映画。
じつは、こないだ、激烈にまずいコーヒーを見つけたんです。
輸入食品のやまやで、500グラム198円で売ってた激安レギュラーコーヒー、カフェペレ(ブラジル産)。
袋を開いた時点から、すでに「あれ?」と、不信が芽生え始めます。
粉が異様に細かい。あらびきとかじゃないのです。吹けば飛ぶよな、パウダー状。インスタントを買ってしまったかな、と思って、表示をみると、確かにレギュラーコーヒーと書いてある。
とりあえず、お湯を沸かして、注ぎます。
最初の香りがすさまじいすばらしい…なんというか、化学工場の廃液のような(;・∀・)
お部屋に立ちこめる薬物臭。ちょっとツンときます。
飲めるのか、これは。
勇気を出して、一口。…まずヒッ!(ヒのところが裏返る)
そもそもこれはコーヒーなのだろうか、コーヒィィィィッ(ヒ以下が裏返る)ではないだろうか、という疑惑と憤りが、お口の中に広がります。ほのかなかび臭さの中に、冷淡な水臭さの芯が残る( ; ゚Д゚)
そして、正露丸を飲み込むような、すばやい嚥下。その瞬間のため息。ほのかな解放感。
飲んでしばらくしてから、少し手足にしびれのようなものを感じるのは、気のせいでしょうか。。
飲んだ途端、ぜひほかの人にも味あわせてあげたいなと、やさしい悪意が生まれます。
怖い話とおんなじで、まずい食べ物というのも、人に教えたくなりますね☆
カフェペレ。いけます。ちがいがわかるアナタに、ぜひおすすめしたい逸品。ここまで道を極めると、逆に売れる可能性すら、幻視いたしました。人は一度は、この味覚の極北を味わうべきではないだろうか。
現在京都市内を戒厳令下に置いている、御所に遊びに来た首脳会談のため来日したブッシュ大統領にも、味わってもらいたいなあ。
味覚のテロリズム。でも、案外「こりゃ、うまい!」とか言わてしまったりして。
コーヒー&シガレッツ 製作: 2004年 米 監督: ジム・ジャームッシュ 出演: ロベルト・ベニーニ/ジョイ・リー/イギー・ポップ/トム・ウェイツ/ジョー・リガーノ/ルネ・フレンチ/E.J.ロドリゲス/アレックス・デスカス/イザック・デ・バンコレ/ケイト・ブランシェット/メグ・ホワイト/ジャック・ホワイト/アルフレッド・モリーナ/スティーブ・クーガン/GZA/RZA/ビル・マーレー/ビル・ライス/テイラー・ミード
TBありがとうございます〜
ワンカとニャンカ!
この場合、ニャンカの勝ち〜ですにゃ。
あ〜また観たくなりました。
ブッシュさん、まずいコーヒーお好きな感じしますね。笑
ラブアクチュアリーの中にも、確かそんな描写がでてきました。
まずいネタといえば。
中国のお土産チョコレート、激まずです。
思わず、吐きだすほどのまずさです。
パンダの形をした悪意の塊です。
チョコレートでまずいのって、そうそうあり得ないじゃないですか。
あれには、本当にびっくりしました。
食べたことありますか?
overQさん、こんばんは!
この映画を観てるとまずいコーヒーを「うーん、まずいっ」(青汁みたく)と思いながら飲むのが素敵に思えるんです(*´Д`)
カフェペレ、ものすごーくまずそうですね♪
まさに私が探し求めていた(?)まずコーヒーではないですかっヽ(´▽`)ノ
しかし、「コーヒィィィィッ」ですか★
ちょっぴり勇気が必要ですね!
リンク貼ってあったやまやさんのホームページで紹介されている「レディフィンガーエスプレッソ」は美味しそうなのに(;´Д`)
Posted by: みらくる : November 17, 2005 12:05 AMジム・ジャームッシュ!いいですねえ。大好き(^o^)丿
言われてみると、彼はホントにニャン力の監督さんです。
これはまだ観てないのですが、処女作「ストレンジャー・ザン・パラデイス」
以降、どの作品もゆるゆるパワーでひきつけますね。
「ダウン・バイ・ロー」では、イタリアのお笑い芸人
(というと語弊ありですが)ロベルト・ベニーニが
母国では見せないいい味出してて、ジャームッシュ
だからこそ投げられる変化球でしょうか。
picoさんの中国産チョコ、聞くだけで不味そうですね!
中国のチーズは不味そうだという記事を書いたまま
まだ投稿してないことを思い出しました(笑)。
★picoさん。
ブッシュさんが来てる間、京都はえらいことになってました!
御所周辺は、路地の一本一本に警察がバリケード付きで立ってて、一般の人より警察のほうが多いという、すごい状況でした。
中国のパンダチョコ。
まわりの人に聞いてみると、被害者の方、おられました(笑)
定番らしいですね!
中国のお土産としても、まずさの点でも。
さすが中国三千年。漢方かもしれません。
そうそう、台風の朝、側溝で流れをふさいでいた「かわうそ君」とは、これです。
http://artstorm.co.jp/kawausokao.htm
★みらくるさん。
カフェペレ、いいですよ〜 まずいですよ〜('∀`)
トム・ウェイツに嫌そうな顔で飲んでもらうと、かっこいいいにちがいないです。
やまやは、おいしいまずいではなく、とにかく安いものは入荷しとけという方針ではないかとも思われ、
リーズナブルでおいしいものもあれば、途方もない味のものもあり、面白いです。
おいしいのは、350円ワイン。これは、3000円台のとけっこう勝負できます(笑)
ときどき入荷するシリアルも、おいしいのと劇まずいのが混在していて、なかなか冒険を味わえます☆
★ねるさん。
ジャームッシュの映画は、俳優(とくに男優)の顔が、面白いですね。
また、ほかの映画に出てくる時とは、ちがうように見えるのも、すごく不思議です。
この映画では、当人自身の役なんで、役者も役作りして演じる必要がないせいでしょうか。
演技じゃなくて、その人が生まれつき持ってる、素の顔の面白さが浮かび上がるように思えます!
デッドマンで、ジョニー・デップが、死と生のあわいみたいな役をやってますが、
あれも「演じてはダメ」という微妙な役でしたヽ(´ー`)ノ
表情も、ずっと戸惑ったような顔のまま、前にも後ろにもすすんじゃダメで、すごいものになってました。
死んだ後、生まれ変わるまでの49日、というのが、仏教ではあるそうですが、ちょうどそんな感じがしました☆