AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: ご近所仙人・白幽子

ご近所仙人・白幽子

written by overQ
February 12, 2006

特捜戦隊デカレンジャーみたいな題名になりましたが、むかし、ご近所に仙人が住んでいたらしいのです。

昔というのは、江戸時代なかば。
仙人の名は、白幽子
禅の世界ではとても有名なお方です。
なぜなら白幽仙人は、禅の中興の祖、白隠禅師に「内観の法」「軟酥の法」という秘術を授けたから。 *1

夜船閑話 白隠禅師法語全集 4この話は、白隠和尚の「夜船閑話」に語られています。

若い頃、白隠は禅の修業に明け暮れるうち、すっかり体の調子をこわしてしまう。
禅病とも言われ、修業に励みすぎると、ときおりこのようになるものらしい。
頭に血がのぼせ、内臓が弱り、耳鳴り、幻覚、疲れやすい、両脇にいつも汗、涙目、手足が冷たい…というような、健康チェックで全部×をつけねばならないような状態に。
自律神経失調症でしょうか。

白幽子松風窟跡

白隠は、ある人から、京都の山中に野人のような仙人がいると聞く。
仙人は240歳
人に会うのが嫌いで、人を見れば走って逃げる。賢者か愚者か知れない。石川丈山の師だという。
天文・医学に通じ、礼を尽くしてお願いすれば、教えを授けてくれることもある。。

氷雪を踏み、山中深く分け入る白隠。
やがて仙人の洞窟が見えてくる。

白髪が膝まで伸びた仙人。
生活道具は一切なく、ただ「中庸」「老子」「金剛般若経」が置かれている。

白隠が心身の不調を訴えると、白幽仙人はおもむろに語り出す。
「内観の法」なる瞑想術。

…こんな調子で語られていきます。
そんなに長いものではないです。
荘子や易など中国古典を引用し、身体と社会をミクロ・マクロコスモス的に照応させながら語るあたり、読み物としても神秘的でたいへんおもしろいです。
真丹という不老不死の物質、錬金術でいう金や賢者の石のようなもの、これをかまどを用いず、体内で錬成する(聞いたか、アル!)秘術です。

実際やってみると、案外、効能がありそうです。
「丹田に気をこめて」なんて、子供の頃よく年寄りが言うのを聞きましたが、これが元ネタなのかな。

まあ、白幽子240歳、たぶん白隠和尚のホラ話だろうと。ふつうはそう思う。
そもそも「夜船閑話」という題名は、白河夜船から来てる。
白河夜船というのは、京都に行ったこともないのに、京都通ぶっている人が、京都の白川のことを訪ねられて、「そこを船で通った時は、あいにく寝ていてね」とごまかしたことに基づく慣用句(白川は一晩船で行くような大河川じゃないんです)。
いわば、嘘だと告白してるような題名。

白幽子の墓

ところがどっこい、白幽子のお墓が見つかる。見つかってしまう。ヽ(´ー`)ノ
うひょー!と喜んだのは、富岡鉄斎画伯。仙人になりたかったんでしょう。
白幽子岩窟跡に石碑も立てます。
石碑壊されたり、お墓盗まれたり、戻ってきたり、今は上京区の法輪寺(だるま寺)にあったり…といろいろあったらしい。
ともかく現在、吉田山に鉄斎の建てた墓があり、写真のような様子になっております。
いっけん下手に見える文字は、鉄斎筆。
HGのあまりに早い腰つきが止まって見えるように、あまりに達筆な鉄斎は、時にへたくそに見えるのだった( ´,_ゝ`)

白幽子の墓、裏側

白川乗願院の過去帳に白幽子仙人の死亡記事があって、これが白隠が白川を訪ねるより前だったりするそうなんですが、気にしないでいいです。
実際、私は今日、岩居跡をたずねて、「白川史跡と自然の道」を散策したところ、仙人らしき老人に会いました(この老人には秋にも、比叡山登山道で出会っている)。
サンダル履きでした。草履とかじゃなくて、このクソ寒いのに、ビーチサンダル。
内観の法をやると、下半身に気が集まって、足がポカポカしてくるはずなので、その効果が出て、寒くないものと思われます。

瓜生山登山口

この道は、瓜生山の登山道で、比叡山にも通じているようです。
江戸時代は、石切り場があったところ。いい花崗岩(御影石)が採れます。
採掘場跡もあり、むしろそれが白幽子巌居跡とみなされている場所でもあります(;・∀・)

山道だけど、道が広い。
牛馬を使って、石を運んだため。
猫車、という荷車にのせて、運んだ、と立て札に書いてありました。
猫車。技の名前みたいです。上村愛子の3Dがたぶん猫車でしょう。
あと、山道は水が出てて、道の横をちょろちょろ流れています。これが白川という地名の起源みたいです。

放置された台座

なぜか切り出したまま放置された状態の石がゴロゴロ。
それを組み合わせると、なんと巨大な灯篭になるようです。
なぜだ、なぜ途中で放置プレイ?
イースター島のモアイみたいです。白幽子は宇宙人だったのだろうか。。


*1 : こんにち、フツーに禅や禅的としてイメージされるものの多くは、白隠に由来すると考えてもいいようです。


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コメント

overQさん、こんばんは。
北白川の辺りは、お洒落な街並みですが、少し入るとこういうこの世のものとは思えない場所が無造作にあってびっくりしますね。
overQさんの撮られた写真の美しい事!(ためいき)
暖かくなったら是非、私も行きたいです。
お墓まである白幽子仙人。不思議ですね。
「白河夜船」の出典、教えてもらってありがとうございます。
>上村愛子の3Dがたぶん猫車!
面白すぎます。それで思い出したのですが、
叶匠寿庵の「車石」という名のお菓子。(叶匠寿庵は私にはちょっと甘いので実は苦手なんですが。)
きんつば風です。
むかし逢坂山を越えて京都に入る荷車が通った後、石が敷き詰めてあった道が削れてへこんだのがお菓子になったのだとか。猫車もなんかありそう。(笑)
叶匠寿庵のHP  http://www.kanou.com/

Posted by: Site icon ワルツ : February 13, 2006 12:39 AM

この道、北白川のバプテスト病院の裏手から入っていく道なんですが、
ハイキングコースとして、なかなかいいです。
道が広くて上りやすいし、比叡山登山に比べれば、はるかにラクです(;・∀・)

かなり大規模な石切り場だったみたいで、白幽子はひょっとすると、
石子たちの守り神みたいな存在で、空想されてたのかもしれないです。

京大の東にある北白川子安観音というでっかい石仏、
あれもここの石で出来てるそうです。

http://www.flickr.com/photos/overq/98616934/

道は、ずっと水が湧いてて、ちょろちょろ流れてます。
これは「地竜」と呼ばれてて、入口のところにある大山祇神社で祭られてて、
瓜生山の山頂まで行くと、そこでも祭られてます。
竜の頭と尻尾に当たってるみたい。

じつは、瓜生山山頂まで来て、すごい発見をしました。
山頂は、狸谷不動尊のほうからも登れるんですが、
そっちの登り道には、36童子というものの石像が、順番に祭られてます。
これが、かなりかっこいいんですよ。でっかいし。
一体一体、ぜんぶちがった姿です。変わった名前もついてます。

次回は、修学院のほうから登って、36童子全部をコレクションしようと思っています。

「車石」ってはじめて聞きました、
検索してみると、有名なものなんですね。
お菓子も、その元になったものも。

「猫車」は検索すると、どうやら一輪車のことらしいです。はじめて知ったです。。

Posted by: Site icon overQ : February 14, 2006 9:57 AM
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