ホラーがそんなに好きだとは思ってないにもかかわらず、
レンタル屋さんで目当ての作品が貸し出し中のとき、かわりに借りるのは、いつもホラー。
意識のレベルでは否定していても、なにか体が求めてしまうらしい、隠れホラーファン体質な私。
でも、ホラー映画を見て怖いと思うことは、じつはそんなになくて、
むしろ「火垂るの墓」なんかのほうが怖かったりします。
「火垂るの墓」を何十回も見るリピータもおられるとかで、意外とそんな人が、ふつうのホラーは怖かったりして。
…怖いといっても、そのさまはいろいろあって、人それぞれらしい。
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アルバトロス社とか、いわゆるB級ホラーをどしどし配給してる会社。
上映館数が少なくて、低予算・短期で撮られたもの。新人のスタッフ・キャストが使われ、アメリカ映画の基礎体力を養成する面もあるらしい。
デジタル化が進んだせいもあって、B級といえど、最近はそれなりにちゃんとしています。
最後まで見終わると「もーひとつだった」な感想になることが多いけど(汗)、最初の30分くらいは、なかなかいい雰囲気のものが多いです。
Bに限ったことではないですが、ホラー、最初の30分くらいが、命なのかもしれません。
何かが起こりそうで、まだ何も起こらないまま、あやしい空気で推移する時間帯。ここがまず、ホラーの醍醐味。
じゃあ、最初の30分の雰囲気を、2時間持続させればいいんじゃないのか、と。
でも、それをやると、ホラーじゃなくなる。何より眠くなる。
起承転結の起だけで持続する映像。
謎を提示するだけ。
答えを用意しないのはもちろん、そもそもはっきりした問いすらない。謎の別な側面をフォローするわけでもなく。
「難解」と呼ばれる映画が、わりとこうした「起」だけでできた作品であったりします。マリエンバートとか。
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映画を見るお客さんは、まずはやっぱりお話の起承転結を追ってるんですね。
初めて見る映画ならなおさら、ストーリーをまず追うもの。
ところが、スタッフはそうでもない。
とりわけ編集作業に携わると、同じシーンを何百回も繰り返し見る。
ストーリーには飽き飽きしてくる。話の流れに興味を持続するのが難しいそうです。
ストーリーどころか、メインで映っているものに対しても、興味がすっかり薄れてくる。
逆に、背後にちらっと映りこんだものとか、マイクが拾った雑音とか、そういう端っこ隅っこばかりに目が行くようになるんだそうです。
いわば、地と柄の反転現象。
じつは、ホラー映画、この反転に秘密がある。
また、ホラーが怖い人とそうでない人がいるのも、このことと関わりがあるらしい。
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「ほんとにあった呪いのビデオ」
もう20作以上も作られてる人気シリーズです。
心霊写真ならぬ、心霊動画集のようなもの。
ものすごく低予算で作られてると思うのですが、逆にそのチープさがリアリティを与えていて、そこが魅力。
失笑させたり、みくびらせたりしつつ、思わぬところから恐怖が攻め込んできます。
「呪い映像」も、ものすごく作り物くさいやつ、あからさまに錯覚だよななものと、
これはちょっとどういうことよと思わせるものが混在。
そのランダムさ、デタラメさが、妙に恐怖を盛り上げます。
フェイク・ドキュメントと呼ぶんだそうです。
たぶん作り物なんだろうけど、「これはホンモノ」というタテマエ。
撮影した人にインタヴューしたり、撮影状況を再現したり、スタッフがまったりと検証していく。
心霊写真の動画版なので、撮ろうとしたものは、旅行の映像だったり、運動会だったり、自主制作映画だったり。
ところが、よく見返してみると、ヘンな場所にヘンなものが映っている、というパターン。
つまり、柄(=本来写そうとしていた対象)と地(=意図せず映りこんだもの)が逆転する、という現象。
これが、怖い。
見慣れた日常の「柄」の背後に、非日常の「地」がひそんでいる。
それがじわじわと、壁の染みのようににじみ出て、やがて逆転してしまう恐怖。
ホラーの映像的な原理そのもの。
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清水崇監督の「呪怨」。
ハリウッド版の第2弾も、たいへん好調らしいです。
日本のふつうの家の中が映るのが、特徴。そこが、アメリカ人の興味を惹くのでしょうか。
ちょっと古い家。昭和40年代くらいに建てられたような。
でも、住んでる家族は21世紀の家族。
21世紀の服を着て、21世紀の会話をし、21世紀的にふるまうのに、なぜが背景となる家の中の様子だけが、どんより暗い。
木目の壁だったり、柱がはっきりと見えてたり、天井は板を並べたものだったり、押入れは障子の引き戸だったり。
だから、ふつうの女子高校生が、親と朝食をとるような、ありふれたシーンでも、なんとなく変な感じがただよう。
「柄」として進行している21世紀の家族、その背景が、なぜかどんよりと、執拗に過去のままにとどまった「地」。
そして、背後にあった何か薄暗いモノが、じょじょに表の「柄」を侵食していく。
「呪怨」は最初はビデオで出た低予算作品で、クチコミで「最恐」神話がじょじょに広まり、ついにハリウッドに進出した出世魚。
派手な音楽とかなくて、わりと静かに淡々と話は進んでいくので、環境ビデオふうに漫然と、目に心地よかったりさえします(笑)
そして、見終わったあと、古い家の中を見渡すと、「呪怨」っぽく見える((;゚Д゚)
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「呪怨」のハリウッド版・第一弾のDVDには、副音声に監督たちのコメントと、アメリカ俳優たちのコメントが、二種類入っています。
ホラーが苦手の方は、そっちの音声で見るといいかもしれません。楽しいですヽ(´ー`)ノ
監督たちがいかに細かい、見ててもなかなかわからんようなところに、気を使っているかが、よくわかります。
観客と作り手は、同じ作品を見ていても、ほとんど別なものを見てるようなもの。
地と柄が反転してる。
編集で何百回も繰り返し見ると、柄と地がすっかり反転してしまう。
監督たちは、テスト試写会でモニターの観客の反応をしっかり観察して、「地」のほうに行き過ぎてた編集をチェックして、作品に仕上げるんだとか。
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Gyaoで、「アメリカン・ナイトメア」という、ホラー映画についてのドキュメンタリーをやってます。
わりと有名な作品。
ロメロ、クレイヴン、フーパー、カーペンター、クローネンバーグ、ランディスら、ホラー映画の巨匠たちへのインタビュー、映画研究者の意見などが収録されています。
(11/16(木)正午まで。ホラー苦手な方は、見ないほうがいいと思いますw)
なんといっても、冒頭が印象的。
ベトナム戦争での惨状、公民権運動での騒乱など、アメリカのニュース映像と、ホラーの残虐シーンが交互に並べてあり、強烈にアピールします。
この映像のインパクトによって、「そうか、ホラーは、現代アメリカの残酷さを象徴的に描いたものなんだ」という主張が、視聴者の脳内に形成されます(笑)
これはなかなか巧みなホラーの社会化で、ものを論じたりするのが好きな人たちに対して、ホラーを擁護するべく作られたドキュメンタリーなのかもしれません。
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それにしても監督さんたち、みなさん嬉々としてホラーについて話しまくることな☆
例えば、トム・サヴィーニは、ベトナム戦争での体験がどのようにホラーの仕事に結びついたかを語ります。
最初は深甚な恐怖の実体験から始まった深刻な話が、いつの間にか楽しくて仕方ないホラーの死体作りにすりかわります(;・∀・)
しかも、その変化には、境目が見つけられない。。
すると、冒頭の社会派っぽい、現代史とホラーの並行性が、また別なニュアンスを持ってくる。
ホラーは、社会批判ではなくて、地と柄を反転させれば、同時に肯定や礼讃も混じっているもの。
ゾンビを撃ちまくる残虐シーンに、ナチスのユダヤ人虐殺を重ねれば、社会的な視点が得られそうですが、
実際には、ゾンビに追われる恐怖シーンが続いたあとに、その撃ちまくりシーンがやってきてて、
観客はそのときは、恐怖から解放される快楽を感じているのかもしれない。
頭が吹っ飛んだり、首がちょん切れたり、内臓が噴出したりするシーンは、最初は恐かったはずなのに、
逃げる側の立場から追う側の立場に解放された瞬間には、残虐行為はむしろ自由や解放を意味してて、快楽に変わっている。
そして、快楽にふける自分が邪悪なものに変わってしまったことに気づいた時は、あとの祭り。
最初に逃げていた時は、「何も悪いことをしていないのに、迫害される」という弁明の立つ立場で逃げてたのに、
もはや「殺されても仕方ない」という立場になって追われている。
物語的には、ゼッタイ、死ぬ。
恐怖はいや増しに増すのです。
しかも、生き残れば、「悪がのうのうと生き残った」ということで、これはこれで不快感と、コントラバーシャルな気分にさいなまれます。。
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ホラーの愉しみ。
それは、恐怖と快楽が、地と柄の関係にあって、たやすく逆転することと関係している。
恐怖と快楽、追う側と追われる側、迫害と追放、純粋と腐敗、正義と悪
…そんな地と柄が、映画の推移を通じて、巧みに入れ替わり立ち代わり、観客はもてあそばれる。
いじめが悪いと、その原因を追究していたら、その糾弾の目つきがたちまち、いじめするものと同じに変わる恐怖。
ホラー映画は、カメラの視点を通じて、地と柄の転換を巧妙に実現していくもの。
その転換のリズムや間合い、緩急や上昇下降が、ホラーの味わいを決める。
そのさじ加減で、社会批判風にも扇情的にもなるけれど、
ほんとにすぐれたホラー作品は、そんなに理性的に作られてなくて、
もう何が何ともいいようがない、いろんな方向からのまなざしを一緒くたにしてしまった、異様なもののような気がします。
◆アンデッド…Gyaoで見られるホラーでは、この作品がなかなかのシロモノ。ピーター&マイケル・スピエリッグ兄弟というオーストラリアの新人監督。
この作品が認められて、ハリウッド進出が決まってるそうです。
同じオーストラリアのピーター・ウィアーがホラーっぽいサスペンス「ザ・プラマー」で注目されたことや、ニュージーランドのピーター・ジャクソン(ロード・オブ・ザ・リング)の「ブレインデッド」なんかを、ちょっと髣髴とさせるものが。今後が楽しみです。(ホラー苦手な人は見ないように。すぐに頭を叩き割ったり、体がちょん切れたりします☆)
ひええええええ。怖いですぅぅぅ。
「呪怨」のDVD発売のチラシを見て、そこに載ってる数枚の写真だけで鳥肌が立ってしまいました。
そんな私ですから、観ない方がいいとは思うんですけど、
「やっぱり怖いのかなぁ、気になるなぁ」
と観たい気持ちもちょっとだけあります。
いつかビデオ屋さんで借りちゃいそうで…。あああ怖いー。
「どんなのを怖いと思うか」も、人によって違いますよね。
私の友人で、「血がどばーっと出るようなのが怖い」という女性がいて、「リングなんて、全然怖くなかった」って言ってました。理解不能だ。
★きみ駒さん
じつは、私も「リング」シリーズは怖くない口です(笑)
「呪怨」は、白塗りにした8歳くらいの男の子が、「オバケ」役を演じてるんですが、
彼自身も映画が怖くて、試写会には来れないそうです…かわいいw
でも、ご両親は、息子を祖父母にあずけて、ちゃっかり試写会にきて、清水監督にサインを求めるらしいですが(;・∀・)
「呪怨」が怖い方は、副音声のディレクターズ・コメントから見るとよいかも。
怖いシーンになると、副音声に逃避すると、いきなり笑い声とかで、ある意味、逆にショックを受けたりします(笑)