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小さな京都の見つけかた・陸 「カミサマの行方」

written by overQ
November 21, 2006

クラノスケの腰掛け石

忠臣蔵の大石内蔵助くらのすけが、京の町に入る前、峠で一服したとされる、腰掛け石。
今はもうこれを目当てに訪れる人はほとんどいません。

滑石街道という、山越えの道の峠にあります。
自動車がなかった時代、山科から京の町に入るメインの道のひとつ。醍醐道。
山科から、後白河院の今熊野神社(あるいは秀吉の大仏があった豊国神社)のあたりにつながる、重要な交通路でした。

クラノスケ石があるあたりには、昔には茶屋なんかもあったみたいな気がします。
小さな石垣みたいなのがあり、またもっと新しい喫茶店の痕跡みたいなのもある。
それで、この石も、ちょっとした「名所」だったんじゃないでしょうか。

クルマだとわからないけど、歩くと、とてつもなくハードな峠越えの道なので、頂きあたりのここいらで一服するのは、徒歩時代には当然のことだったと思われます。

峠の向こう、山科側には、ふもとに大石神社もあって、クラノスケ伝説の地。 *1

クラノスケ石。
山の峠、つまりサカイにある石
これまで調べてきた流れからすると、ほとんど間違いなく、これは「サイの神」と言えそうです。はらたいらに3000点レベルで確実(合掌!)と言っていい。

それが江戸後期の忠臣蔵ブームに読み替えられたもの。
こんなふうに伝承は、変遷していくもののようです。


ブログに貼る地図『お散歩マニア』

面白いのは、イシクラ。
つまり、この石は、もとは「岩倉=イシクラ」とか「オオイシ」とか「オオイシクラ」とか呼ばれていた可能性がある。
それが、オオイシクラノスケと結び付けられる。
昔の日本人は語呂合わせがメチャメチャ好きなので、この結びつきの可能性は小さくないと思います。

滑石越えと呼ばれるこの峠道。
クラノスケが滑って転んだから滑石…というあまりに牽強付会な説もあるのですが、すべり石とは、いわゆるロウ石のことかと思います。
徒歩でたどるとわかるのですが、この道筋には西野山古墓や中尾陵などがあり、古墳のある墓所で、太古にはおそらく聖なるサカイだった。

また、剣神社があって、そこにも謎の大石があり、その下には宝物が埋まっているという伝説がある。
そして、そのあたりは宝蔵町という地名が。
さらに、この近辺で表札をながめて歩くと、「石束」という苗字がたくさん出てきます。イシヅカと読むんだそうです。
滑石という名も、あるいは、石器時代の石神信仰の名残りなのか??

あと、当たり前のように、クラノスケ石の隣には、お地蔵さん群があって、「みまもり地蔵」なんて名が表記されいます。道祖神らしい道祖神。
峠の石の上には、旅人が小石を積んで、サカイの標を明確にし、旅の安全を祈った。それがサイの河原。積んだ石がいっぱいになって、河原のようになるから。
今でも、石の鳥居の上に小石を投げて乗せたり、カワラケ(薄焼きの土器)を山頂から投げたりするのは、その名残りの風習かとも思い始めています。
大石の岩神さまのまわりに、地蔵を置くのも、この流れにある可能性がある。

かくして、石神の信仰は、変遷しながらも、続いていくのでした。
かの神は、生きている。。

山科区ホームページ---山科区のプロフィール---大石内蔵助ゆかりの史跡…腰掛石、大石神社はじめ、クラノスケ伝説関連の史跡。
クラノスケが隠棲したのが「岩屋」神社であるのをはじめ、石にまつわる史跡が多数。
偶然なのか? それとも、石神信仰のある人々が、クラノスケを伝説化するのに、暗躍したのか。
…考えすぎなのでしょうか。ただ、歌舞伎という芸能の出自を考えると、可能性はあるのです…不思議すぎる。

サイの神たちを、意図的にクラノスケ伝説に再編成する人々がいたとしたら…それはありえないけど、すごい空想…ヒの一族みたいだもの☆
御霊伝説のバリエーションだと考えられる忠臣蔵を、サイの神の祭礼に付け加えること…それは幕府転覆の呪いとなって維新をみちびく…われわれはこの神についていかねばならない。。

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*1 : 以前は大石神社が腰掛石もお祭りしてたようなことをどこかで読みましたが、今はどうなってるんだろう。


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