AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: 賊猿幻行・娯 「サイって何? その壱」

賊猿幻行・娯 「サイって何? その壱」

written by overQ
March 17, 2007

次々見つかるサイの神

みなさんからお寄せいただいた、ご近所のサイの神。
日本中どこでも見つかるはず…とは予想していたものの、思ったよりはるかに、「サイの神」度の高い地域が次々見つかり、かなり衝撃を受けています。
「サイの神ではないか」と疑われる…なんてレベルではなく、まったく疑う余地なく、いちじるしくサイの神なところばかり。
おそらく、このような場所がまだ何百、何千とあるにちがいないく、サイの神はおどろくほど普遍的で、しかもなぜか見逃されがちな神様であったにちがいない。

サイの神ゾーンの特徴は、次のようなもの。

S+K(またはY)音の地名。「小夜」「曽谷」「宿」「須久久」「佐木」
・橋のたもとや峠の始まり、国境(くにざかい)、街道の宿場など、サカイの地。
・社寺が異常に密集。
・古墳や遺跡が多く、石の文化があり、石神がまつられる。
・古くからの商店街や宿場町。

これらの条件を備える地域が、日本中にたくさんある。
これはいったい何を意味しているのか。
サイの神とは何なのか。そもそも、いつ、誰がそれをまつるのか。

デスノートでは殺せない

地名が、さまざまな表記をもつこと。
「S+K(Y)」という音としてもっぱら、この神が流通していたことがわかります。
つまり、文字としては、その名前を持たなかった。文字で表記するのは、仮の名前。デスノートでは、この神は殺せないのだよ、夜神月。

また、どんな漢語を当てるのかわからないのは、サイという音が何を意味しているかも、わかってなかったということ。
関連する言葉の網目として、はっきり思いつくものが、ほとんどなかった。
岡山市内で「さい」とひらがな表記しているのは、とても正直なやり方なのかもしれません。

サイは、音しかない。
字はみんな当て字でバラバラな表記だし、意味もわからない。
文字のない時代から、この神がまつられていた可能性がある。 *1

もうひとつ指摘できるのは、日本中にやけに広く分布しているということ。
また、さまざまな「当て字」を見てみると、漢字の使い方が万葉風のもの(須久久、など)から、徳川時代(宿、など)に及ぶもののように思える。
地理だけでなく、時代的にも広範に伝えられている。
すごく古い神様であり、その名は絶えることなく長く伝承されてきた。

そのわりには、非常に地味で、低い位置におかれた神。
貴族や僧侶といった文字をあつかう人々からは、注目されることが薄かった神様。
にもかかわらず、滅びてしまうことなく、広く静かに浸透している。

謎めいています。

「その2」では、文字の国・中国で、サイがどんな姿をしているか、見ていこうと思います。

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*1 : 折口信夫はこの神を、たいてい「さへの神」と表記した。さへ=塞。「さえぎる」の塞。語源を示すためではなく、意味を示すための表記か・ 「さへのかみ」と書いた例は、15世紀の文献くらいから見つかるけど、いろいろ見ていくと「さいのかみ」という表記のほうがやや優勢にも思えます。でも、二十例ほどの文献から判断を下すことは難しいかなあ。


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