AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: 賊猿幻行・無 「サイって何? その弐」

賊猿幻行・無 「サイって何? その弐」

written by overQ
March 17, 2007

口はクチではない、サイである。

サイ

と、京都では呼ぶ、市街に入るサカイの場所。
鞍馬口、丹波口、粟田口、荒神口…など。
いわゆる、京の七口。実際には、七つよりももっとあるそうですが。

白川静によれば、「」という字は、そもそもは目鼻口のクチではなかった。
サイ、と読む。
神の言葉を受け、神に言葉をささげる器。あるいは、イケニエの血を受ける器である。

この「口=サイ」の発見が、白川漢字学の出発点。

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サイの憑く漢字
告

という文字は、木の枝にサイを結んだ形であり、神のお告げという意味になる。
」は、大きな竿にサイをつけて、これをかかげたもので、家の中の神をまつった場所でおこなう内祭を意味した。
さらに、竿の上部に旗や吹流しをつけ、家の外にまつったのが、「」。まつり、と読むこともあるこの字、大きな祭りを意味し、それを大事という。さらに、外地でおこなう祭りを執行するべく、派遣された使者は、「事」から派生する「吏」「使」。(「字統の編集について」白川静)

木の枝に結んだ「告」は、今でもおみくじを枝に結ぶ風習がある。
竿にサイをつけてかかげる「史」は、いわゆる御幣
竿先に旗や吹流しをつけた「事」は、たとえば祇園祭の鉾のようなものがその名残り…とみていいのでしょうか。

という字は、手に「口=サイ」という祝いの道具を持っている様子
また、「」は、手に「工」つまり呪いの道具を持った様子で、ともに神に祈る行為。人のために祈る行為が、「佐=たすける」。補佐の佐。
右手に剣、左手にコーラン、というのは、逆かもしれませんね。右手に神の言葉であるコーランを持ち、左手には呪具である鉾を持つべきかも(誰に向けて書いている、オサマ?)。

器

という字は、四つの「口=サイ」を犬のまわりに並べ置いた形。
犬はイケニエであり、この血を受けとめ、清めた祭器を「器」と呼ぶ。
「哭」という字は、同じくイケニエの犬に、二つのサイ。葬送の儀礼のことであり、哭泣・哭踊という語が、荘子や礼記に出てきます。

犬を首だけ出して土に埋め、届かない近傍に食べ物を置いて犬を餓え狂わせる。そして、狂気の絶頂で、その首をはねる。
この首は、犬神と呼ばれ、きわめてつよい呪力を発揮すると信じられた。
…犬神の風習は、この犬牲と関わりのあるものと思えます。

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才の神、塞ノ神
才

という字は、十字架にサイをつけたもの。
静翁によれば、「標木として樹てた木に、横木をつけた十字形のもの…その縦横の交わるところに…「サイ」をつける。…いわば、お札をつけた形…神聖なところの表示として、このしるしを立てる。…この標識を樹てることによって、その地は祓い清められ、神の支配するところとなり、場所的にも時間的にも、清められたものとして在ることを意味する。」

これって、何かに似てると思いません?
十字架に、サイをつけたもの。サイは、神の言葉を受け、またイケニエの血を受ける器。
…すなわち、磔にされたキリストと、その血を受ける聖杯。ホーリー・グレイル。

聖杯伝説がヨーロッパで盛り上がるのは、12,3世紀ころかららしい。
ちょうど東西の交通があたらしいステージに達する時代で、モンゴルがやって来るのもこの頃。
キリスト教には、実在のイエスという男の言動を伝える以上に、はるかに多くの、古代的・石器時代的な風習の名残りがある。
たいへんトンデモな説ですが、十字架のキリストは、才(サイ)の神だ、と。こっそりアナタだけに耳打ちしておきます(* ^ー゚)
イエス=キリストが、SとK(ch, x)とY(j, i)の音からできてるのは、まったくの偶然のはずですが。

塞

は、「ふさぐ」「さえぎる」という意味の字。
もとは、家の屋根をあらわすウ冠の下に、「工」という呪具を四つ並べ、その下に「土」をつけた形。
これは、建物の内部で、呪具である「工」を用い、邪霊を封じ込めたもの。「土」は土地神。
これを交通の要衝や、辺境の要塞の地に設けて、異族邪霊を呪禁する。
すなわち、日本でいう「サイの神」と同じものだ、と静翁は解説しています。
「工」という呪具が、邪を封じるのは、「左」「巫」「尋」などの字にも現われている。

「塞」や「才」、あるいは「口」が、サイの神の大元なのか?
そうかもしれないし、そうではないかもしれない。あるいは、こうも考えられる。
文字以前の中国にすでに、サイの音は神の名としてあり、その音を用いて表すものを、「神の言葉を受ける器」「神を降ろす木やホコ」「神を封じた土盛り」のようなものとした。
なんとなく、漢字の範囲をはるかに超えて、ヨーロッパとかインドとか、あるいはアフリカやアメリカ原住民にさえ、S+K(Y)の音があるような予感がします。

せっかく漢字の話になったので、次回もさらに「口=サイ」を追っていきます。

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