AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: 夜歩く15 「日蝕のシャリヴァリ」

夜歩く15 「日蝕のシャリヴァリ」

written by overQ
July 27, 2007

五十五の鬼「チャン族の雨乞い、田楽」

日曜日の夜にやってる「世界の果てまでイッテQ」という番組。
前々回の放送(7月15日)は、「雨乞いで本当に雨は降らせられるの?」
ということで、中国・四川省の山岳に住むチャン族の、雨乞いの儀式を訪ねていました。
世界の果てまでイッテQ!

チャン族が住むのは、そうとう奥地の村なんですが、
ナウシカの風の谷のような、なつかしい風景が広がる場所。
同じ中国でも奥地はあまり汚染されてないようです(嗤…やはり風の谷か!)
男たちが、鳴り物をもって、山上の湖へと向かいます。
そして、山頂で大田楽…鳴り物を鳴らしまくると、やがて青天掻き曇り、
にわかに雨が降ってくる…という内容。

音の振動が刺激となって、水蒸気を結晶し、雲を呼ぶ
…なんて、疑似科学的な説明もしてました。
ともあれ、田楽のシャリヴァリ。
天と地を結婚させて、
雨を降らす
のが、雨乞い。
銅拍子という名で、田楽の文献に登場する、でっかい銅製の
シンバルというかドラのようなやつも登場してました。
四川の山岳民族、基本的に同じ文化圏にありそうです。

ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」
宮崎 駿
¥ 2,780 / 徳間書店
( 2003-10-31 )
通常24時間以内に発送

by AMAZ君(改)

チャン族。
殷王朝末期、都城のサカイに人柱を埋め、
禍のやって来る方角を守る守護将軍…つまりサイの神とすることを繰り返した。
人柱には周辺に住む異民族が用いられ、莫大な人数に及んだことが、発掘される人骨からわかるそうです。
その結果、殷の周辺民族は逃散。
そのうち、山岳地帯に逃げ延びた末裔が、チャン族といわれています。
今でも、高い見張りの塔を立て、殷からの追っ手が来るのを見張っている、風の谷。

弥生時代、日本列島にやって来た人たち
…水田稲作と鉄器をもたらした人たちのうちにも、
殷からの逃亡者が含まれてたんじゃないでしょうか。
道の民であり、サイの神や式神犬神の風習を持つもの。
また、鉄と米の民であり、
雷と稲の結婚=雨乞いのシャリヴァリの風習を持つ。

その様が、田楽を髣髴させるのは、当然といえば当然のことなのかもしれません。
番組を見ながら、雨乞いの儀式とともに、
結婚式(というか乱交)もやってたりしないのかな…と期待してしまいましたが(;・∀・)
歌垣の風習も、このあたりには残っていそうです(憬


五十六の鬼「高足、田楽、ケンケンパ」

dengakuhousi.jpg

田楽は、雷と稲の結婚をたたえるもの。
カミナリとイナリの「ナリ」がキーワードで、
鳴り物を天地にとどろかすもの。

田楽では、高足と呼ばれる技芸が重要。
ナスの田楽とか、味噌田楽いう食べ物に、「田楽」の名が残っています。
それは、串を一本刺しにしたさまが、「高足」に似てたから、と言われます。

ケンケンパという遊びがありますが、あれも高足の名残りだろうか。
カカシに似た絵を地面に書いて、
片足×2、両足…と大地を踏みつけていく。
もちろん、案山子(かかし)がそもそも田の神・久延毘古、山田のソホド(古事記)。
雨をもたらす雷神は、蛇、竜、剣であるとともに、鍛治の神さまでもある。
そして、なぜか鍛治の神は、世界中で、片足片目というフシギ。
タタラを踏むさま、
大地を鎮めるかフルかする、呪術のステップ、
…などいろいろいわれます。
そして、相撲とカミナリ様の必殺技が蹴り(踏み)だったこと。

(上の絵は「北斎漫画」九巻、「田楽法師」。江戸後半まで来ると、田楽の技もかなり複雑になっております。)


五十七の鬼「田楽と日蝕」

田楽というと、永長元年七月。
平安京は大田楽に占拠されました。
大江匡房の洛陽田楽記をはじめ、多くの文献に書き記されています。
老若男女貴賎を問わず、都をあげて踊り狂った夏。
世にいう、永長の大田楽

中右記という、中御門右大臣藤原宗忠の日記にも永長大田楽は出てきます。
この日記を見ていると、七月一日の条にこんな一節が。

是依可有日蝕也、暦道所奏今日申刻(さるのこく)十五分之二分者…
七月のはじめ、日蝕があったようです。
(皆既日食でしょうか…まだ調べてませんが。陰陽師は優秀で、その時刻がわかるらしい)。

日食の時、シャリヴァリ(鳴り物で大騒ぎ)をおこなう。
これは、世界中で見られる風習。
いまでも、皆既日食があると、けっこう大騒ぎしています。
人類の本能なんでしょうかw
永長大田楽も、七月はじめの日食影響なのか、どうか。

猿楽田楽は日食の際おこなうものだったというのは、例えば、「風姿花伝」でこう。

申楽(さるがく)、神代の初まりといふは、天照大神、天の岩戸にこもりたまひし時、天下とこやみになりしに、八百万の神たち、天香具山に集り、大神の御心をとらんとて、神楽を奏し、細男(せいのう)をはじめたまふ。
なかにも、アメノウズメのみこ、すすみ出でたまひて、榊の枝に幣(しで)をつけて、声をあげ、火処焼踏みとどろかし、神がかりすと、うたひ舞ひかなでたまふ。

風姿花伝 (岩波文庫)風姿花伝 (岩波文庫)
世阿弥
¥ 483 / 岩波書店
( 1958-01 )
通常24時間以内に発送

by AMAZ君(改)

細男は、折口信夫のいうもどき
モノマネであり、パロディであり、クリティークであり、ダイアローグ。
神さまのボケ(日食)に対して、ツッコミ(田楽・シャリヴァリ…重ねボケ)を入れる。
あーいえば、こーいう。
弁証法であり、助産術で対位法であり、サンバでアドリブ合奏の原理。

負けん気の強いこの神は、本来の神さまの巨体にくらべ、
細身で小さ子でスクナヒコナな、
ヤサオトコの姿で相撲を取る一寸法師
雷神のデカいイカヅチにたいして、
打出の小槌で頑張りますから。
うつほ舟ならぬ、お椀に乗って、どんぶらこどんぶらこ。

次回は、この小さい神様のお話の予定。
(じつは書きあぐねており、今回はちょいと小ネタの、そのスピンアウト。
なお、中右記によると、七月十六日には、また皆既月食…シャリヴァリでむしろ蝕を読んでるような気が(;・∀・)
しかし、あまり鬼の話になってないな。。



トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.overcube.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/906

このリストは、次のエントリーを参照しています: '夜歩く15 「日蝕のシャリヴァリ」' , AZ::Blog はんなりと、あずき色☆.

関連エントリー