日曜日の夜にやってる「世界の果てまでイッテQ」という番組。
前々回の放送(7月15日)は、「雨乞いで本当に雨は降らせられるの?」
ということで、中国・四川省の山岳に住むチャン族の、雨乞いの儀式を訪ねていました。
◆世界の果てまでイッテQ!
チャン族が住むのは、そうとう奥地の村なんですが、
ナウシカの風の谷のような、なつかしい風景が広がる場所。
同じ中国でも奥地はあまり汚染されてないようです(嗤…やはり風の谷か!)
男たちが、鳴り物をもって、山上の湖へと向かいます。
そして、山頂で大田楽…鳴り物を鳴らしまくると、やがて青天掻き曇り、
にわかに雨が降ってくる…という内容。
音の振動が刺激となって、水蒸気を結晶し、雲を呼ぶ
…なんて、疑似科学的な説明もしてました。
ともあれ、田楽のシャリヴァリ。
天と地を結婚させて、
雨を降らすのが、雨乞い。
銅拍子という名で、田楽の文献に登場する、でっかい銅製の
シンバルというかドラのようなやつも登場してました。
四川の山岳民族、基本的に同じ文化圏にありそうです。
ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」
宮崎 駿
¥ 2,780 / 徳間書店
( 2003-10-31 )
通常24時間以内に発送
by AMAZ君(改)
チャン族。
殷王朝末期、都城のサカイに人柱を埋め、
禍のやって来る方角を守る守護将軍…つまりサイの神とすることを繰り返した。
人柱には周辺に住む異民族が用いられ、莫大な人数に及んだことが、発掘される人骨からわかるそうです。
その結果、殷の周辺民族は逃散。
そのうち、山岳地帯に逃げ延びた末裔が、チャン族といわれています。
今でも、高い見張りの塔を立て、殷からの追っ手が来るのを見張っている、風の谷。
弥生時代、日本列島にやって来た人たち
…水田稲作と鉄器をもたらした人たちのうちにも、
殷からの逃亡者が含まれてたんじゃないでしょうか。
道の民であり、サイの神や式神犬神の風習を持つもの。
また、鉄と米の民であり、
雷と稲の結婚=雨乞いのシャリヴァリの風習を持つ。
その様が、田楽を髣髴させるのは、当然といえば当然のことなのかもしれません。
番組を見ながら、雨乞いの儀式とともに、
結婚式(というか乱交)もやってたりしないのかな…と期待してしまいましたが(;・∀・)
歌垣の風習も、このあたりには残っていそうです(憬

田楽は、雷と稲の結婚をたたえるもの。
カミナリとイナリの「ナリ」がキーワードで、
鳴り物を天地にとどろかすもの。
田楽では、高足と呼ばれる技芸が重要。
ナスの田楽とか、味噌田楽いう食べ物に、「田楽」の名が残っています。
それは、串を一本刺しにしたさまが、「高足」に似てたから、と言われます。
ケンケンパという遊びがありますが、あれも高足の名残りだろうか。
カカシに似た絵を地面に書いて、
片足×2、両足…と大地を踏みつけていく。
もちろん、案山子(かかし)がそもそも田の神・久延毘古、山田のソホド(古事記)。
雨をもたらす雷神は、蛇、竜、剣であるとともに、鍛治の神さまでもある。
そして、なぜか鍛治の神は、世界中で、片足片目というフシギ。
タタラを踏むさま、
大地を鎮めるかフルかする、呪術のステップ、
…などいろいろいわれます。
そして、相撲とカミナリ様の必殺技が蹴り(踏み)だったこと。
(上の絵は「北斎漫画」九巻、「田楽法師」。江戸後半まで来ると、田楽の技もかなり複雑になっております。)
田楽というと、永長元年七月。
平安京は大田楽に占拠されました。
大江匡房の洛陽田楽記をはじめ、多くの文献に書き記されています。
老若男女貴賎を問わず、都をあげて踊り狂った夏。
世にいう、永長の大田楽。
中右記という、中御門右大臣藤原宗忠の日記にも永長大田楽は出てきます。
この日記を見ていると、七月一日の条にこんな一節が。
是依可有日蝕也、暦道所奏今日申刻(さるのこく)十五分之二分者…七月のはじめ、日蝕があったようです。
日食の時、シャリヴァリ(鳴り物で大騒ぎ)をおこなう。
これは、世界中で見られる風習。
いまでも、皆既日食があると、けっこう大騒ぎしています。
人類の本能なんでしょうかw
永長大田楽も、七月はじめの日食影響なのか、どうか。
猿楽田楽は日食の際おこなうものだったというのは、例えば、「風姿花伝」でこう。
申楽(さるがく)、神代の初まりといふは、天照大神、天の岩戸にこもりたまひし時、天下とこやみになりしに、八百万の神たち、天香具山に集り、大神の御心をとらんとて、神楽を奏し、細男(せいのう)をはじめたまふ。
なかにも、アメノウズメのみこ、すすみ出でたまひて、榊の枝に幣(しで)をつけて、声をあげ、火処焼踏みとどろかし、神がかりすと、うたひ舞ひかなでたまふ。
風姿花伝 (岩波文庫)
世阿弥
¥ 483 / 岩波書店
( 1958-01 )
通常24時間以内に発送
by AMAZ君(改)
細男は、折口信夫のいうもどき。
モノマネであり、パロディであり、クリティークであり、ダイアローグ。
神さまのボケ(日食)に対して、ツッコミ(田楽・シャリヴァリ…重ねボケ)を入れる。
あーいえば、こーいう。
弁証法であり、助産術で対位法であり、サンバでアドリブ合奏の原理。
負けん気の強いこの神は、本来の神さまの巨体にくらべ、
細身で小さ子でスクナヒコナな、
ヤサオトコの姿で相撲を取る一寸法師。
雷神のデカいイカヅチにたいして、
打出の小槌で頑張りますから。
うつほ舟ならぬ、お椀に乗って、どんぶらこどんぶらこ。
次回は、この小さい神様のお話の予定。
(じつは書きあぐねており、今回はちょいと小ネタの、そのスピンアウト。
なお、中右記によると、七月十六日には、また皆既月食…シャリヴァリでむしろ蝕を読んでるような気が(;・∀・)
しかし、あまり鬼の話になってないな。。