AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: たら本37 「犬にかまけて」

たら本37 「犬にかまけて」

written by overQ
September 1, 2007
たら本37回「犬にかまけて」

たら本37は、「本を読む女。改訂版」のざれこさん主催。
お題は、「犬にかまけて」です▼・ェ・▼

最初は、ステープルドン「シリウス」クーンツ「ウォッチャーズ」など、SFで犬の内面を描く感動作も思ったのですが、結局いつもの世界になってしまった。。

犬のいる辻

で今回は(も?)、犬にまつわる迷信をたどっていきながら、本を紹介していこかと思います。
かなりフシギ入ってるので、話半分で読んで下さいませ(;・∀・)

またしても柳田国男ネタ。申し訳ないです。今は柳田に夢中なので(゚ー゚*)

ともあれ、この偉大な民俗学者は、少年時代の犬の思い出を、何度も何度も書いた。
兵庫県神崎郡福崎町の辻川が、故郷。
家のそばにある小さなお堂の床下に、犬を飼っていたそうです。
ふるさとのことを思うとき、最初に思い出すのは、飼っていた犬の匂いだ、と。

考えてみると子供の役目も多かった。乞食も巣食わぬような乱雑な堂の牀下へ、真先に潜り込むのがいつでも我々であった。そうすると一種の臭気、あのにおいという以上に名前の付けようもない特別な香が、あたかも香炉の煙の如く、子供の心を専念ならしめたのである。
私の家では近頃、赤い仔犬を貰って来て育てている。こやつが行水が嫌いで怒るから洗わずに置くと、時々かの五十年前の、有井堂の光景を髣髴たらしめる何物かを発散する。そうすると簡単にこれは犬の臭いということになるのだが、まだ私にはそれだけでは無かったような気がする。

柳田国男『「黒」を憶ふ』(昭和五年。新全集28所収)

柳田国男全集〈28〉昭和4年~昭和7年柳田国男全集〈28〉昭和4年~昭和7年
柳田 国男
¥ 7,980 / 筑摩書房
( 2001-07 )
通常3~5週間以内に発送

by AMAZ君(改)

個人の飼い犬ではなく、辻川の村全体で飼っているような犬。
国男少年はその世話をしていました。
先日、柳田の故郷を見に行ったのですが、薬師様を祀るお堂は本当に小さかった。

犬を飼っていた床下。といってもほんの20センチほどの隙間。
ここに豪傑のメス犬「熊」が入り込んで、仔を生むのが、辻川の春の儀式。それを見守るのは、子供たちの役目。
国男少年は、まだ十歳にもなってなかったでしょう。幼い子供しか入れない空間だった。
この狭く小さな暗がりで、仔犬はちいちい泣いた。その時のこと、その時の匂いが忘れられない、と柳田は何度も書く。
よほど嬉しかったらしい。初めて見る命の誕生、だったか。
回想する柳田翁は八十歳。ここが柳田民俗学の原点とさえ言いたげなご様子なのです。

犬を飼ってたお堂

辻川は、交通の要所。
生野銀山へと北に伸びる道と、播州を東西につらぬく道の交差する地点。
「辻」は十字路の意味。
すぐ西には、市川という一級河川が流れ、昔から交易(「市」の川)が盛んだった。
江戸時代の旅行記にもよく登場し、旅芸人がキャンプする場所もあった。


辻に立つ神

さて、イヌという生き物。
人類の古い友だちで、石器時代からヒトとともに生きてきた。
オオカミの血族で、群れや縄張りには、きっちりした性格。
テリトリーの要所要所にはオシッコをまくし、
主人には従順、仲間同士の序列にうるさく、敵には牙をむく。
…まあ、必ずしもそうでなくて、見境なく尻尾を振ったり、見境なく噛むワンちゃんも、実際には多いですがw

ともあれ、群れや縄張りに敏感であるのが、イヌの本性。
外にはツンツン、内にはデレデレした性格。

この性格が、道祖神…道を守る神さまと同じなんです。
道祖神はサイの神とも呼ばれ、どうやら人類にとって一番古い神さま。
チマタと呼ばれる道のサカイに置かれ、村への来客・侵入者をフィルタリングする、ファイアーウォール。
幸をもたらすものは通し、厄を運ぶものはさえぎるのが役目。
多くは石神であらわされ、およそヒトが暮らしてきた場所ならどこにでもある。皆さんの近所にもきっと転がってるはずです。

で、道のチマタ=辻に立つ道祖神。
犬は古くから、この神の使い、あるいは同一視される。
辻川のお堂の床下、犬はムラの犬、辻川の犬として、もう何世代も何世代も飼われてきた。
村の辻を守る、守護神として。

柳田国男全集〈21〉故郷七十年・海上の道柳田国男全集〈21〉故郷七十年・海上の道
柳田 国男
¥ 6,825 / 筑摩書房
( 1997-11 )
通常24時間以内に発送

by AMAZ君(改)

柳田はそう書いているわけではないのですが、この犬たち、生きたサイの神のように思えてなりません。
長く村と村の子供たちを守ってきた。

柳田の民俗学は、「石神問答」というサイの神の研究から始まります。
道のチマタに置かれ、サイ、シャグジ、サカイ、シュクジン…など、S+Kの音で呼ばれる、石神たち。
そして、八十を迎えた柳田翁は、はるか七十年の故郷をふりかえり、辻川の犬が自分の学問の始まりだという。

柳田は貧しい家に生まれますが、いろんな偶然から、たいへん成功した人生を歩みます。
当人の能力の高さもあるとはいえ、かなり無謀な道行きで、冷静に考えると、こんな人生、成功するはずがない(笑)
民俗学を起こすのは40過ぎてから。存在しない学問のために、エリート官僚の地位を捨てる。
そして、この小さな日本、自分たちの足元に、ほとんど新大陸発見のような、広大な未知の領域を見出した。
質量ともに、屈指の大学者。

あのお堂の下の犬たちが、あるいは柳田を守っていたのではないか。
犬たちは、人生の道行きを照らす道祖神だった…そう思えてならないのです。


犬神博士

夢野久作の傑作中の傑作「犬神博士」
「ドグラマグラ」から入ると、わけわからない夢野作品ですが、最初に読むとしたら、おすすめはダンゼン「犬神博士」。
(青空文庫に、もうすぐ登場しそう。現在作業中らしい。)

夢野久作全集〈5〉 (ちくま文庫)夢野久作全集〈5〉 (ちくま文庫)
夢野 久作
¥ 998 / 筑摩書房
( 1991-12 )


by AMAZ君(改)

犬神博士という奇人が、幼少の頃を回想する…という仕立てで、お話の大半は少年の頃の出来事。
本筋は遊行の踊り子少年チイちゃんの、ハチャメチャな冒険にあるのですが、それは読んでいただくこととして、犬神博士の「犬神」という名前。
その説明が最初のほうで出てきます。

犬神の呪術
四国を中心に、中国・九州(インガメという)、また沖縄にまで分布。外道、外法ともいわれる。
犬を首だけ出して土に埋め、目の前に食べ物を置いて、空腹で狂気に達したところで、その首をちょん切る…という残酷極まりないもの。
その首はミイラ化され、呪術師の呪いをかなえる呪物となる。ポータブルな怨霊。
ずいぶん盛んになった時期もあるらしく、戦国時代終り、四国の大名が大規模な弾圧をおこなった記録も残っています。
犬神 - Wikipedia
AZ::Blog : 賊猿幻行・漆 「犬の頭も信心から((;゚Д゚)」

「犬神博士」は、そんなおどろおどろしい話から始まるのですが、すぐ幼少年期の回想に入る。
犬神とは何の関係もなく、遊行の歌舞音曲者の路上の物語が進んでいきます。

呪術となった犬神は恐ろしげですが、もとは道と交通の神さまで、路上で客死したものを丁重に祭る風習があったらしい。
それが旅人の神ともなり、旅の芸能の神ともなっていきます。
犬神でも、犬の髑髏はまず路上に埋めて、通行人の霊気を吸わせてから使うらしい。本来の伝統がかすかに残っているようです。
犬神、もともとは、そんな残酷なものではなかったかもしれないのです。
(→犬神をめぐる話は、まだ続きがあるんですが、長くなるので、次回の記事に。犬神だけで日本史を解く、ミョーなこころみw)

ブードゥーでも似たような神があり、やはり犬や猫の歯や骨を使う。願いを叶えるウィッシュボーン。
十字路の神としては、ロア、あるいはパパ・レグバ。儀式の最初に呼び出される。
伝説的ブルースギタリスト、ロバート・ジョンソンは、ハイウェイ61の十字路で悪魔に魂を売って、ギターの腕前を手に入れたと言われています。
この悪魔が、歌舞音曲の神でもあるロア。辻に立つ神。
たぶん、その瞬間、犬の臭いがしてたはずです。

The Complete RecordingsThe Complete Recordings
Artist:Robert Johnson
Label:Columbia
ReleaseDate:1999/02/05
Price:¥ 1,344

ここまでわかると、なぜ踊り子チイちゃんの物語が、「犬神博士」という題名なのかが、ほのかに推測できます。
犬神は呪いの神である前に、辻の神、交通の神。そして歌舞音曲の遊行者の神だった。
謡い踊る者を鼓舞する、才能異能の神だったのです。

夢野久作は埋もれた作家だった。70年代以降、陽の目を見たけれど、まだ真芯をとらえた読者は少ないのかもしれない。
文学じゃなく、音楽芸能を励起する何かをはらむ、犬神博士。
日本の多くの古典がそうであるように、「小説読み」をすることでは、とらえられない、文字の外部をはらんでいるようです。


神を助けた話

また柳田のことに戻るのですが。
「神を助けた話」。

役人をしてた頃、柳田は九州の山村を視察するうち、こんな話を見つけた。
山で猟師が神様に出会う。
山の神さまはお産で、血まみれになって苦しんでいる。
猟師は、山でケガレに触れてはならないという教えを守り、神様を助けない。
次に、べつな猟師がやって来る。
お産で苦しむ神様をこの猟師は助け、やがてご利益があって、長者になる。

村を護る山の王

この類話が、日本中に広く分布することに気づいて、若い役人だった柳田は興味をおぼえる。(→例えば、こちら。)
これが最初のワラシベとなって、民俗学の胎動が始まります。

この話は、柳田の最初の民俗学的手柄話。
講演やインタビューでよく話しています。天子さま(天皇)とお話する折も、このネタを真先に持って行ったと言います。
(のちには類話を大量に集め、もっと広い観点から、「神を助けた話」という論考をまとめています。)

柳田国男全集〈3〉赤子塚の話柳田国男全集〈3〉赤子塚の話
柳田 国男
¥ 7,560 / 筑摩書房
( 1997-12 )
通常3~5週間以内に発送

by AMAZ君(改)

でも、この「神を助けた話」、よく考えてみると、犬のお産を見守る国男少年の思い出にどこか似ている。
なんとも不思議なのですが、柳田の学問の大成には、なにか特別な力が働いているのかもしれません。
柳田自身はそうは書かないけれど、お堂の床下の犬のお産の臭いを思うとき、「神を助ける話」のことを考えていなかっただろうか。

お堂は有井堂と呼ばれ、井戸があって、近世以前の書物にも出てきます。
国男少年の父が、生活のトラブルから心を病んだとき、その井戸の横にあった石室にうずくまっていたそうです。
お堂の床下のほの暗い空間。子供だけが入れるすき間。
心を病んだ父が、一時の休息を求めた場所。
胎内回帰のよう。死と再生。

サイの神は、道のサカイに立つことから、生と死のサカイを守るともされ、お地蔵さんとも習合しました。
死出の道行きを照らし、地獄行きから罪人を救って浄土に送る。
同時に、道祖神はお産の神であり、闇から光に出るものをみちびく。お地蔵さんは、死者の行き来するお盆にまつられる、子供たちの神様。
そういえば、冥界の番をするケルベロスは犬だし、エジプトで死者をみちびくアヌビス神は犬頭。

柳田民俗学が生まれる辻々で、犬の匂いがしたのは、偶然ではないようです。
人の子らを見守り、足蹴にされてもなおお伴の伴走をつづける、キビダンゴの大好きな永遠の名脇役。
虐待された犬神は、一時は人を富ませても、やがて没落させるそうですが、可愛がられた犬の恩はもっと深くあったかいものらしい。
(犬を飼った経験のある方はみなさん、どちらも思い当たるのではないでしょうか? 愛ってやつでしょうか?)
柳田の学問はまだまだ未来に、大きな富をもたらつづけるようです。


★犬の思い出話は、自叙伝「故郷七十年」に出てきますが、全集(28巻)に入ってる短い文章、『「黒」を憶ふ』が秀逸でした。
少年期を振り返る官能的とすらいえる文章が、最後に少年からの苦い離脱を告げる。
それが五十をむかえる大学者の心のうちで、特別な場所となっていた…。
すごい名文です。
全集のそろってる大きな図書館にお立ち寄りの折にでも、お読みいただければ。五分もあれば読める短い文章です。



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たらいまわし・本のTB企画 第37回「犬にかまけて」
概要 たらいまわしでお題が決められ、本を紹介していく「たらいまわし・本のTB企画」略して「たら本」。 今回のお題は、「本を読む女。改訂版」のざれこさんからの出...
ウェブログ: Site icon 時々、読書感想文。
時刻: September 2, 2007 10:51 AM
たらいまわし本のTB企画第37回「犬にかまけて」
概要 たらいまわし本のトラックバック企画、略してたら本。 今回の主催者は不肖ざれこが担当します。よろしくお願いします。 overQさん、ステキなバナーをあり...
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たらいまわし企画・第37回「犬にかまけて」
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たら本37回「犬にかまけて」
概要  本のたらいまわし企画、略して「たら本」  今回の主催は、「本を読む女。改訂版」のざれこさんです。 町田康は猫にかまけておりますが、私は犬...
ウェブログ: 読書記録
時刻: September 7, 2007 3:44 PM
コメント

こんにちは。
>夢野久作の傑作中の傑作「犬神博士」
うわー、なんですかこの
横溝「犬神家の一族」を一瞬思い出す、面白そうな本は。
「ドグラマグラ」のイッチャッテルっぷりが
なんともヤバい夢野久作。
彼の作品ならば読んでみなくちゃ。

そういえば。
桃太郎が鬼退治に連れて行く動物にもイヌが入っていますよね。
イヌ・サル・キジ、ってどういう意味があるのだろう。
突然気になってきた。むずむず。

Posted by: Site icon 菊花 : September 2, 2007 11:04 AM

★菊花さん。

「犬神博士」はすごく面白いです!
あまり中身は紹介できませんでしたが、
題名から連想されるおどろおどろしいものではなくて、
どっちかいうと「踊り踊り」しい(笑)
主人公の少年がすさまじく魅力的です。
八犬士の最後に登場する親兵衛みたいな、異能の子供。

夢野は謡いの先生で、日本の古典には、能や狂言のような、身体と声のあるところから入ってるんです。
だから、文字から来たほかの近代小説家とは、どっかズレている。
「犬神博士」もそれがよく出てる作品です。

桃太郎のイヌ・サル・キジは、十二支の「申・酉・戌」。
方角でいうと南西をあらわし、鬼門である北東の反対側。
だから、イヌ・サル・キジなんだそうです。

桃は、ヨモツヒラサ坂で、イザナギがイザナミの放った黄泉の鬼軍団を追い払う時、投げた、仙界の果実。
どんぶらこと流れてくるのは、「うつほ舟」の伝説のバリエーション。
ほんとは、黄泉(というより常世)の妣イザナミが使わした、異能の子供=スサノオ。

前回のたら本のとき、常世虫のことをコメントしましたが、サナギから蝶になる虫のトランスフォームも、「うつほ舟」信仰の一種。
あれは、逆に、この世から常世へ、うつほ舟=サナギに乗って帰り、羽化登仙するのです。

だいぶ、この手のことに、詳しくなってきましたヽ(´ー`)ノ

Posted by: Site icon overQ : September 2, 2007 12:53 PM

ひええええ
犬神ってそういう起源なんですか!あーもうなんてかわいそうな。最近中国ものを読んで、犬の首をちょんぎっては魔よけにしてるので「中国人嫌い!!」と思ってましたが・・・。ぬー日本もそう変わらん・・・。
人の近くにいつもいたせいで、かわいがられもしたけれどえらい目にも遭わされて、でも結局主導権は人間にある、犬ってかわいそうですね。かく言う私も犬飼ってて溺愛してますけど、うちにいて幸せか?と時々聞きたくなります・・・・。やなんだろうな、きっと・・・

あ、すいません湿っぽくなりまして(笑)ご参加ありがとうございます。バナーも超かわいいのんありがとうございました。
夢野久作、青空文庫に入ったら是非読んでみたいですねー。

Posted by: ざれこ : September 2, 2007 10:09 PM

えっと、すいません。イヌ・サル・キジですけど、
なんだかつじつまが合わないような。
>桃太郎のイヌ・サル・キジは、十二支の「申・酉・戌」。
>方角でいうと南西をあらわし、鬼門である北東の反対側。
>だから、イヌ・サル・キジなんだそうです。
ウシの角に、トラのパンツで鬼はウシトラ
ウシトラ(北東)=鬼門 なのはわかるんですけど、
鬼門の反対側である裏鬼門(南西)は
ヒツジサル、ですよね。
ヒツジサルだとイヌ・キジ(トリ)があぶれちゃう?

Posted by: Site icon 菊花 : September 2, 2007 10:51 PM

★ざれこさん。

主催者さま、ご苦労様です!

犬神…めちゃめちゃ残酷な仕打ち。
最初は「恐怖」を商品にするための作り話なのかとも思ったんですが、
調べてみるとやっぱり実話のようです。
ひどい話だと思いながら、一度聞いてしまうと、なぜか人に話したくなってしまう、困ったネタでもあります(´ヘ`;)

犬は、虐待するつもりはなくても、人にケナゲにまとわりつく性格なので、
知らず知らずのうちに、かわいそうなことをしてしまってること、あるかもしれませんね。
それでも、犬はうれしそうな時もあって、犬にとって幸せって何なんだろうと思ったり。。

夢野久作「犬神博士」は、犬神のことは、そういうものがあるよと話すだけで、本編はぜんぜんちがうお話。
他に類がないようなフシギな躍動感をもつ作品です。
あと、最初にちょこっとあげた、ステープルドンの「シリウス」、クーンツ「ウォッチャーズ」は、犬好きの方にはハイパーリコメンド☆
特に、クーンツは、ホラー作家として有名なのに、こんな作品も書くんだと驚き。
犬に深い思い入れがあるんだと思います!

Posted by: Site icon overQ : September 3, 2007 6:32 PM

★菊花さん、ふたたび。

ほんとだ、サル・トリ・イヌだと、真西になって、鬼門のウシトラとはちょっとズレますね!
ネットで検索してみても、そのことは問題になっているみたい。
この「ズレ」を解消するような諸説もあるようなんですが。

どう考えればいいか。
まず、サル・トリ・イヌと十二支の関わりは、やっぱり想定したいところ。キレイに三つ巴そろってますから。
すると、「鬼門のウシトラに対抗する」というところに、誤りがある可能性が。

ひとつには、鬼門=ウシトラというのがあやしいし、
さらに、そもそも「鬼門に対抗」するものではないのかもしれません。

鬼門は陰陽道の説。
江戸時代の職業陰陽師が、北東を鬼門に単純化し定着させたんじゃないかなあと。(大安吉日とかも)
晴明の頃はもっとややこしくて、
「どこに鬼門が出現するか」を計算するのが陰陽師の特殊技能だったようです。
占星術の、星座の宮に入る惑星の動きに似て、非常に惑乱した難しい計算が必要だったみたい。
しょっちゅう間違えてて、道長が自分の計算した方違えのほうが正しかったとか、日記に書いてたり(;・∀・)

すると、「鬼門に対抗」ということ自体が、疑われてきます。
むしろ、サル・トリ・イヌの「真西」が何か意味があったのでは、と。
一説では、五行説で、西が、「金」をあらわすことと関連するとか。

  +(休憩w)

桃太郎は、川をどんぶらこ流れる桃の子。
これは水神と関連するとされています
(これは、たくさんの資料から、柳田国男らが論証しています)。

あと、鬼と川というと、金太郎の説話の元になる、大江山絵巻。
川で鬼のパンツを洗濯する、数百歳の婆さまが出てきます。
これは、三途の川の奪衣婆と関連するといわれるんですが、
むしろ桃太郎のおばあさんと関係させるべきかも。
あるいは、金太郎を育てる山姥も、この並びに。

金太郎は、赤い裸体、ざんばら髪、熊と相撲という、鬼の属性をすべて備えている子供。
でも、鬼であるはずの金太郎は、鬼退治の側に回る。

桃太郎も同じで、ほんとは黄泉=常世から流れ着いた「小さ子」の英雄。
スクナヒコナ(記紀)、スガル(霊異記)、一寸法師、金太郎、親兵衛(八犬伝)…などにつながる、神話の元型。
ヤマトタケルも浦島太郎も、ほんとはここにつながっているようなんです。

その方角が、西だということ。
サル・トリ・イヌが示してるのは、そういうことかもしれません。
鬼に対抗するというより、鬼が島も西にあるはず。
西。そこに「何か」があって、すべてはそこからやって来る…そういう思想があると、結論したい気がします。
(西の正体について、わかったら、また書いていますね☆)

Posted by: Site icon overQ : September 3, 2007 7:06 PM

確かに夢野久作は「ドグラマグラ」から入ると、もう。(笑)
一応最後まで読み通したものの、ツラかったです…
他の作品は、あれほどいっちゃってないんですか?
もう、ちゃかぽこちゃかぽこ、うなされそうだったんですよぅ。
石堂藍さんのファンタジーガイドブックに「白髪小僧」が紹介されてたので
「犬神博士」と合わせて、探してみようかな。

蠱術ってほんとすごい残酷ですね。
犬神のこれもそうだし、共食いさせて最後に生き残ったやつを使うようなのも
よくそんな残酷なことを思いつくよなあってびっくりします。
それだけのパワーがあるんだったら
もっと建設的なことをしようよって言いたくなっちゃう。(笑)

でもその犬神が歌舞音曲の遊行者の神だったとは…
まるで違う面が見えてきてびっくりです。
これは、小説読みだけでは、絶対に分からない部分なんですね。

ああ、クーンツ「ウォッチャーズ」もありましたね。
アウトサイダー、哀しかったです。

Posted by: Site icon 四季 : September 4, 2007 8:27 AM

★四季さん。

夢Q。
と夢野久作を呼んでみるのですが、そう呼ぶとなぜか遠い親戚のような気がしますw

夢Qは、能の謡いの先生。
日本の歌舞音曲に直接通じています。
小説は、活字・大量印刷、識字階級(=近代都市の市民)の文芸なのですが、
夢Qは、それより以前のところと通じてる。

ドグラマグラの「ちゃかぽこ」は、祭文と呼ばれるもののパロディ。
祭文は、寺社に伝わる秘密文書で、漢字や書き言葉があまり得意でない人の手になることが多く、
フシギな日本語で「奥義」が語られています。

夢Qはそんな「文盲文芸」といっていい場所に通じてた人で、近代小説の観点から評価すると、どうしてもわけがわからなくなる。
でも、日本の古典はすべて、夢Qと同じ系列にあって、むしろ夢野こそ、本当は伝統のメインストリームにあるのかもしれません。
こういう読み方は、従来とはまったくちがう夢Qの読み方かもしれないのですが。。

さっき「星空から来た犬」を借りてきたので、読んだらまたお伺いしますね☆
りつこさんが紹介されてたアリステア・マクラウド「冬の犬」をさっき読んだんですが、とても面白かったです。
見かけよりだいぶ難しいし、神秘的な内容を表面上はそうと描かないで、「小説」の枠組みに留めたような作品。
舞台となるケープ・ブレトン島は、プリンス・エドワード島のとなりで、呪術めいています(笑)

Posted by: Site icon overQ : September 5, 2007 7:19 PM
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