AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: 謎 アーカイブ

今昔物語集に現われたるニンゲンの事

written by overQ
March 26, 2004

ニンゲン(職人さんの作った想像図)


以前、2ちゃんねるのオカルト板で盛り上がった「ニンゲン」 *1

ニンゲン
南極周辺水域で時折目撃される、巨大人型物体。全身が真っ白、全長数十メートル。
調査捕鯨関係者の間で「人型物体」と名付けられている。タイプがいくつかあり、人間の形(五体あり)とか、人間の上半身が二つ連結された形とか、数タイプあり、鯨と同じように水中から現れるらしい。
これとよく似たものを、『今昔物語集』の中に発見しました。 *2
ひょっとすると既出かもしれませぬが、「ニンゲン」関連文書多すぎてチェックしきれず、とりあえず報告しときます。
今昔物語集 巻三十一 本朝 第十七 常陸国××郡に寄りたる大きなる死人の語

[要約]
藤原信通朝臣という人が、常陸の守の任にあったときの話。
嵐の翌朝、東西の浜というところに、巨大な死人が打ち上げられた。全長15メートルあまり。横になって、半身砂に埋もれているのに、向こう側で馬に乗った人の、手に持った弓の先っちょしか見えないくらいの高さがある。
首と右手、左足が、ない。サメに食いちぎられたのだろう。うつ伏せなので、男か女かわからないが、身なりや肌の様子が、女のように見える。
大勢の野次馬が集まり、海辺はちょっとお祭り騒ぎ。
また、常陸国の海道というところで、国司が、巨大な人の死体が流れ着いたと聞き、部下を検分にやらせた。砂に埋もれ、男女の区別はつかないが、おそらく女ではないかと思われた。
「こんな巨大なものは、この世界のものではあるまい。阿修羅の国の女だろう」という僧もいた。
さて国司は朝廷に報告しようと思ったが、知らせを聞いて朝廷の使者がやって来ると、接待などが面倒なので、結局うやむやにしてしまった。
見物に来た武者は、「こんなやつらが攻めてきたら大変だ」と、矢を取り出し、巨人の死体に突き刺さるか試したら、見事に突き刺さり、周りの者たちを感心させた。
死体は、日がたつうちに腐り始め、あまりに臭くて、一キロメートル四方の町は、人が住めなくなった。
常陸の守が京に上ったとき、この話が漏れて、世間に広まった。

J.G.バラードの傑作短編「溺れた巨人」にもそっくり。バラードが今昔を読んでいた可能性は低そうなんで、なんだかちょっと気味が悪いです。

今昔物語集

今昔物語集 本朝部〈下〉岩波文庫

原文。

今昔物語集 巻第三十一 本朝 第十七 常陸国××郡に寄りたる大きなる死人の語

今は昔、藤原信通朝臣と云ひける人、常陸守にてその国にありけるに、任果ての年四月ばかりのころ、風いとおどろおどろしく吹きていみじく荒れける夜、××郡の東西の浜と云ふ所に死人打ち寄せられたりけり。その死人の長五丈あまりなりけり。臥丈、砂に半ば埋もれたりけるに、人高き馬に乗りて打ち寄せたりけるに、弓を持ちたる末ばかりぞこなたに見えける。さてはそのほどに押し量るべし。その死人、頭より切れて頭なかりけり。また右の手、左の足もなかりけり。これは鰐などの喰ひ切りたるにこそは。本のごとくにしてあらましかばいみじからまし。またうつふしにて砂に隠れたれば、男女いづれと云ふ事を知らず。ただし身なり・肌つきは女にてなむ見えける。国の者どもこれを見て、あさましがりつ合ひて、見ののしりける事限りなし。
また陸奥国に海道と云ふ所にて、国司××と云ひける人も、「かかる大人寄りたり」と聞きて、人をやりて見せけり。砂に埋もれたりければ、男女をば知り難し。「女にこそあるめれ」とぞ見けるを、智ある僧なんどの云ひけるは、「この一世界にかかる大人ある所ありと仏の説き給はず。これを思ふに、阿修羅女などにやあらむ、身なりなどのいと清気なるはもしさにや」とぞ疑ひける。さて国の司、「かかる稀有の事なれば、いかでか国解申さではあらむ」とて、申し上げむとすでにしけるを、国の者ども、「申し上げられなば、必ず官使下りて見むとす。その官使の下らむに、扱い大事なりなむ。ただ隠してこの事はあるべきなり」と云ひければ、守申し上げて隠して止みにけり。
しかる間、その国に××と云う兵ありけり。この大人を見て、「もしかかる大人寄せ来たらば、いかがせむとする。もし矢は立ちなむや、試みむ」と云ひて射たりければ、矢いと深く立ちにけり。さればこれを聞く人、「めでたく試みたり」とぞ讃め感じける。さてその死人、日ごろを経けるほどに乱れにければ、十二町がほどには人え住まで逃げなむしける。臭さに堪へ難ければなむ。この事隠したりけれども、守、京に上りにければ、おのづから聞えて、かく語り伝えたるとや。


平安末期の世相をよく現した、今昔物語集の典型的なお話の形になってます。
まず、巨人が流れ着くとという怪異な現象が主題。
僧侶が現れ、「仏様はこんなものの存在について語ってないから、人外魔境のもの」と、仏教説話っぽくしようとしますが、仏教では捕らえられない出来事だとあきらめ気味。
一方で、地方を治める国司が、中央に知らせなきゃならないのに、中央から人が来たら、接待が大変と知らせずにおく、ぞんざいさ。

中央から地方に役人を派遣、中央集権制を確立した平安時代。でも末期になると、地方の生産性が上がり、中央から独立した動きを画策し始め、これが武士の台頭となる。
地方の生産性をあげたのは、おそらく大陸から伝播した農業工業さまざまなテクノロジー。これが、「海から流れ着く巨人」という不気味な、未知なものに象徴されてると、深読みできます。
それは、仏教の外側の出来事(ここで言う仏教は、古い平安仏教のこと)。
地方と中央の駆け引きの始まりも記述され、地方が、巨人の周りでお祭り騒ぎを始めるくらい、豊かさと力を備え始めていることも、注目に値します。
監察として中央から送られた藤原信通、この人の名前がわざわざ冒頭に置かれ、締めくくりにも登場することから、何か意味があるようなのですが、この人物について詳らかにせず、です。藤原信通の女、という名前は、百人一首に出てきます。


*1 : 「ニンゲン」については、小鳥さん渉雲堂別館さんの記事をご参照ください。
*2 : 『今昔物語集』は、平安時代の説話を1000話あまり集めた、日本の古典文学。陰陽師安部晴明のエピソードもここが元ネタ。芥川龍之介も今昔を元に「鼻」「藪の中」などの小説を書いてます。不思議や神秘の話の宝庫。



うちの包丁は切れない

written by overQ
March 11, 2004

2nd brainさんで「究極の包丁」が紹介されていました。
それにひきかえ、うちの包丁、てんで切れません。
テレビの料理番組で、材料をすぱすぱ切っているのを見ると、CGじゃないかと疑います。
包丁で人を刺す痛ましい事件を知ると、うちの包丁を使えばゼッタイ殺せなかったのになぁと思ったり。

包丁、半年に一回くらいしか研ぎません。ごめんなさい。誰に謝ってるのか。包丁さん?しかも、簡易研ぎ器です。ほんとにごめんなさい。
テフロン加工してあって、横に穴とか開いてる、邪道なやつなんです。だから、本格的な砥石は使用できませんです。はい。(牧師さんに懺悔する口調で)

切れない包丁を使うとかえって危ないとか言うらしいですが、私はもう切れない包丁にすっかり適応しているので、切れる包丁、怖いです。
肉や魚は、のこぎり式。切断面よれよれ。かぼちゃ切るとき、体重かけます。いいんです。へっちゃらです。満足してます(ふてくされ)。

  +

包丁。なぜ、丁を包むと書くのか。
調べてみました。
包丁は、もともとはあの器具の名前ではなく、人の名前。
荘子に出てきます。家田荘子ではありません。老荘思想の荘子です。中国の古典中の古典です。

むかし、包丁という名前の料理の名人がいました。

荘子 第1冊 内篇 (1)岩波文庫 青 206-1

正しくは、庖丁と書きます。文字化けしちゃいそうなヤバい漢字です。
その庖丁さんが、皇帝のために牛を切りました。その様子はまるで音楽を奏でてるよう。
皇帝が誉めると、庖丁は答えて言いました。
「牛を切り始めた頃は、牛の姿ばかり見てましたが、三年たつ頃、牛の姿を眼で見ることを止めました。心で牛を見て、眼では見ません。牛の体にはじめからある、眼には見えない切れ目を感じ取り、そこに刃を通してやるだけ。
ふつうの料理人は、どんなに腕のいい人でも、年に一度は刃を取り替えますが、私はもう十九年間、同じ刃を使って、研ぎもせず、刃こぼれひとつなく、研ぎたてのようです」
これを聞いて、皇帝は、眼には見えない政治の善悪の切れ目を悟ったとか。

やっぱり研がなくていいんですね!(名人は)。そういう結論ということで。


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イカの泳ぐ方向

written by overQ
February 16, 2004

烏賊
イカって、どっち向きに泳ぐんですかね。
頭というかあの三角ズキンみたいなやつのあるほうが、前になって泳ぐ…という気はする。
でも、餌を獲る時は、足のほうを前にして泳がなきゃダメでしょう。
どうなんですかね、どちらにも泳げるんですか(福田官房長官口調で)。

普段は頭方向に泳いでて、餌を獲る時だけ、足を前に泳ぐとか。
でも、そんなんで、エサとれますか。もっとすばやく泳がなきゃダメなんじゃないですか(福田)。
そもそも何が推進力なのか。水を噴出してるんでしょうか。タコはなんか噴射口的な、ぶろろーとしたやつがありますけど。イカは三角ズキンから水を噴射するのかなあ。

飛びイカというのもいるらしい。そういう余分な知識はあるんです。トビウオならぬ飛びイカです。水面にぴょんぴょんはねてる映像を見たことがあります。でも、頭から飛んでたかどうか記憶はない。たくさんいて、一匹一匹が小さかったからかなあ。
ともあれ、飛びは、相当速い速度で泳いでなきゃできない芸当です。
どう泳ぐのか。どちら向き? 推進機関は?

何年か前、日本海で、イカが泳いでるのを見たことがあります。防波堤の上から。
透き通ってました。優雅でした。夜でした。少し光ってたような気もします。
でも、どちらの方向に泳いでたか、記憶にないんですよね、これが。ということは、この記憶自体、実に曖昧なもので、なんだか本当にイカを見たのか、日本海に行ったのかさえ、不安になってきました。

イカ。烏賊って書きます。カラスゾクです。カラスゾクといえば、ある時はねぶた祭りで問題を起こす黒装束の集団、ある時は大阪や名古屋の地下街で深夜女性を狙う黒スーツの男たち、ある時は八十年代ハウスマヌカンから始まった黒一色のファッション…そして、イカ。なんでイカもカラスゾクなんだろう。

すべての謎は解かれないまま、眠れぬ夜をあなたに…。

薩摩烏賊餌木考 16000円…何の本だ?

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声の高いほうの人の霊

written by overQ
February 5, 2004

声高の霊さま
上の AZ::Blog のバナーなんですけど、霊が見えませんか。
そもそもこの写真は、あずきご飯…というか赤飯(紫だけど)なんですが、これの下辺の中央あたりに、髪の長い男の顔が見えますでしょう(強要)。

誰かに似てるよなーと思ってたのですが、あの人ですわ。
「大都会」とか歌ってたクリスタルキングの声の高いほうの人(アフロヘア)。
ああー、果てしないーの人です。You are shock!! の人です。 *1

声の高いほうの人の霊。名前はわからない。
声高さん生身「クリスタルキング、声の高いほう」で検索すると、かなりヒットするのですが、みなさん名前が分からないようです。 *2 まだ、ご存命です。まだっていうな。いやあ、では、生霊ですかね。ご本人のあずかり知らぬところで話を進めております。

なんか縁起いい気がするので、このままこのブログを見守ってもらうことに。
お願いしますね、声の高いほうの人さま。

クリスタルキング・THE BEST

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