名曲をたずねて #001 「A Change Is Gonna Come」
It’s been a long time coming; but tonight, because of what we did on this day, in this election, at this defining moment, change has come to America.
バラク・オバマが大統領選勝利の夜語った歴史的演説。
そのchangeという言葉が、もっとも強く結んでいるのは、たぶんサム・クックの A Change Is Gonna Come.
1963年、サム・クックはボブ・ディランの「風に吹かれて」を聴いた衝撃から、この曲を作ったと言われています。
その後、公民権運動における愛唱歌となり、オーティス・レディングをはじめ、たくさんのカヴァーを生んだ。
マーヴィン・ゲイ「What’s Goin On」も、この曲の存在なしには考えられないはず。
オバマの引用するChangeという語は、幾多の血と汗と涙で鍛え上げられた、本物の土の匂い
…レトリックによってではなく、生きられた歴史によって心揺さぶる。
サム・クックは、changeについて、こう歌い始める。
I was born by the river in a little tent oh
And just like the river I’ve been running ever since
It’s been a long, a long time coming
But I know
A change gonna come, oh yes it will僕は川のそばで生まれた…川のそばのちっちゃなテントでね。
ああ、それからまるでその川の流れのように、
僕はずうっと走り続けてきた、ずうっと。
ほんとに、長い…長いあいだ。
でも、知ってたんだよ。changeがやって来るって。
そうさ、いつか…いつか、きっとね。
オバマの演説は、「A Change Is Gonna Come」のこの部分と、力強く結んでいます…アンサーソングとなっている。
でも、クックが、changeの到来を、「yes it will」と自然現象のように他力本願に予言のようにつぶやくしかなかったのに対して、オバマは「yes we can」と主体的に今ここに起きている出来事としてアクチュアルに読み替えた。
このchangeは小さくない。
オバマはリーダーではない。私たちが、自分たちの未来を導かねばならない。彼はそのことを呼びかけている。
私たちひとりひとりが、あの演説への「アンサーソング」を歌うということ。
歴史的瞬間に生きているということ、今ここに。
ずうっとそのことを思わざるを得ないのです。
(2005年のRolling Stone誌による「500 Greatest Songs of All Time」では、12位にランクする、A Change Is Gonna Come.
オーティスのみならず、アル・グリーン、アレサ・フランクリン、テレンス・トレント・ダービー、そしてボブ・ディランまでも、たくさんのアーティストが取り上げています。
バラク・オバマという人は、きっとサム・クックの転生なんだと思う。すごく似てる。)