文豪怪談
NHKBShiで放送中の「妖しき文豪怪談」。面白いです。
近代作家の名篇を、気鋭の監督が映像化するシリーズ。
ラインナップは以下のごとし。
・2010年8月23日 「片腕」 川端康成×落合正幸監督
・2010年8月24日 「葉桜と魔笛」 太宰治×塚本晋也監督
・2010年8月25日 「鼻」 芥川龍之介×李相日監督
・2010年8月26日 「後の日」 室生犀星×是枝裕和監督
ちくま文庫の文藝怪談傑作選とゆるやかに連動する(そこはNHK)、これらのドラマシリーズ。
傑作選の編者・東雅夫監修による、かなり長めの解説のドキュメンタリーも付いていて、見ごたえたっぷりです。
今のところ二話まで放送済みで、今夜は「鼻」。
見逃した方は29日からまた再放送もあるし、そのうち総合でもやると思うので、まだまだ何回もチャンスがあるでしょう。
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「片腕」はどう考えても映像化するとマヌケになりそうなのですが(笑)、落合監督はおそるべきことに真っ向勝負。つまり、片腕を片腕としてちゃんと写して、なかなか成果をあげています。
それにしても、「片腕」という作品は、じつに不気味だと再確認。
川端がおそらく意識しないまま、渡辺綱の斬り落とした鬼の片腕や、ヨーロッパにありながらそれとまったく同系の説話であるベーオウルフのグランデル鬼の古譚と、あい通う神秘があると、私は考えているのですが。
「葉桜と魔笛」はカメラが非常にきれていて、傑作に仕上がっています。塚本監督はちょっと前の「悪夢探偵2」もよかった。姉妹の戯れ遊ぶ姿をAVのように接写するのが、物語結末の仕掛けとうまく結びます。
太宰の作品のいくつかは現在の評価軸とよくマッチするものがあり、「葉桜と魔笛」もそのひとつ。若い人が見ても楽しめるのではないかと思えます。しかし、それは太宰の場合、長所ではなく、問題点(人生の道行と関わるような)かもしれないのですが。
残るはあとふたつ。是枝監督が手掛ける、室生犀星の作品(「童子」)は、東雅夫さんが発掘してくるまではあまり知られていなかったレアなものです。
◇室生犀星集 童子
◇週刊文豪怪談 連載第7回 幸運なるシリーズ
来夏もこのシリーズが続くといいなあ。
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さて、このドラマシリーズと連動する、東雅夫編、ちくま文庫の文豪怪談傑作選。
このシリーズには番外編も何冊かあって、そのひとつに「文藝怪談実話」というのがある。
創作じゃなくて、作家のエッセイなんかに綴られた「実話」怪談のアンソロジー。
例えば遠藤周作さんがお化けを信じるようになったきっかけの話などが収められています。
読み進めていくと、真ん中辺りに徳川夢声の一連のエッセイが出てきます。
じつはこれがたいへん怖い。
書くと祟られそうなので、あまり詳しくは紹介しないのですが、「語ると死ぬ話」にまつわる実話。
泉鏡花ら有名人がたわむれに開いた怪談の会に、飛び込みで見知らぬ男が参入し、「話」の途中で死んでしまうのが、発端。
「話」は幕末に深く恨みを残して死んだ人にまつわるもので、本当にあった出来事。掘り下げればまだまだいろいろ出てくるかと。
発端の、「怪談の会に見知らぬ男がやって来て死ぬ」というエピソードがなんとも秀逸で、ホラー映画の始まりに使えそう(しかし、使うと祟られそう)。
大正初期のちょっと景気のいい時代で、黒澤明「まあだだよ」みたいなほのぼのした会合だったはずなのに、ひとりの異人の登場で一変してしまう。
鏡花はのちのちまでかなり怖がっていたみたいですが、細かいところも気味が悪く、決着のついてなさが残ります。
おすすめ…というか、おすすめしません、というべきか。。












