うしろの京都 – 京都魔所めぐり #02 「鵺神社」
魔所めぐりの二回目は鵺神社。
夜に鳥と書いて、鵺(ぬえ)。
夜闇にまぎれて、ひょーひょーとトラツグミに似た声で鳴くものあり。
平安末、清涼殿のあたりで、しきりとこの声が聞こえ、ために天皇は病に。
怪異をしずめんと、弓の名手・源頼政が山鳥の尾で作った尖り矢で、夜闇を射る。
射たれた怪物が落ちた場所が、ここ鵺神社あたり。
平家物語や能に出てくる鵺の伝説。
今はNHK京都放送局の南、二条城の北。
公園が整備され、鵺を射た矢を洗ったという池も再現されています。
休日になると家族連れでにぎわい、NHKの催し物もときどきあります。
写真のように、ぬいぐるみも出没して、全然、「魔所」らしくないですが。
まあ、「ぬいぐるみ」と「ぬえ」…音は似ているw
中に何が入っているか…「うさじい」の背中のジッパーの隙間から、何かおどろおどろしいものがはみ出ている…とか(⌒_⌒;)
平安末期には鵺が出没するようになっていますが、もともとはこのあたりは平安京の中心部。
神泉苑の北、大内裏の中で、すぐ北西、今の千本丸太町が、太極殿のあった場所。
また、ここの南東、今の二条城のあたりに、百鬼夜行のメッカ「あははの辻」がありました。
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内裏のあった場所は、平安京以前、秦河勝の邸であった、という記述が古い本(拾芥抄)にあります。
また、平安京を造営した際にまつられた「園神韓神」という神様。
この神様は、もとからその地にあり、「京を守護するので、この地にとどめて祀れ」との神託があって、平安京最初から内裏に祀られた社。
古い貴族の日記を見てると、かなり頻繁に韓神園神の祭があったというのが出てきます。平安京の始まりの頃は、とてもよく祀られていた。
そして、鵺神社のあるこのあたりが、「園神韓神」のあった場所(宮内省のあったところ)。
これらのことから、渡来人・秦河勝が祀っていた神、という仮説を立ててみると、面白い展開が続きます。*1
■その神の名は(園神韓神と蘇民将来、そして鵺) | AZ::Blog
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平家物語や能の「鵺」の後半。
その亡骸は、鴨川からうつほ舟で流され、芦屋の浜に流れ着き、かの地で塚が作られ、荒神として鵺は祀られます。
ところが、これが秦河勝の伝説とよく似ている。
河勝もまた、その亡骸は「うつほ舟」に封じられて流され、赤穂の坂越(さこし)に漂着して、そこで荒神となって祀られる。
その荒神=河勝は、能の始祖であり、この伝説は世阿弥や今春禅竹たちが伝えるもの。
能「鵺」は、うつほ舟が何であるかをもっとも理解している、まさに当人が書いたというわけですから、「鵺=河勝」という線は強く意識されているはず。*2
かの河勝、欽明・敏達・用明・祟峻・推古・上宮太子につかへたてまつる。
この芸をば子孫に伝へて、化人跡を止めぬによりて、摂津国難波の浦より、うつぼ船に乗りて、風にまかせて西海に出づ。
播磨の国坂越(しゃくし)の浦に着く。浦人舟をあげて見れば、形人間に変れり。
諸人につきたたりて奇瑞をなす。すなはち神と崇めて国豊かなり。
大きに荒るると書きて、大荒大明神と名附く。今の代に霊験あらたなり。−世阿弥「花伝書」
さて、「園神」が、「蘇の神」つまり蘇民将来の神…というのが、次の仮説。
何度も書いてきたように、蘇民将来の神は、牛頭天王と、その妻で水の女神・婆梨采女、そして新生する荒神の子(再生した牛頭天王でもある)という聖家族。「父神-聖母-子」、という形。
なぜか、「父なる神−マリア−イエス」というキリスト教と同形。この「なぜか」はほんとは大きい意味を持ってるのかもしれない。
「園神一坐 韓神社二坐」と延喜式にあって、天王と女神とその子のはず。
「園神」は、たぶん女神さまのほう。婆梨采女。井戸や泉や水脈や池など、水の女神。いわば、竜宮の乙姫さま。
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平安京が造営される直前、このあたりは秦河勝邸があり、その南には、のちの神泉苑となる灌漑池が整備されつつあった。
堀川は、秦氏の土木によって、河川工事されたもの。
水脈を制御するにあたっては、巨大な石が用いられる。水口石とか亀石とか。
この大岩は、水脈ともども神格化されて、祀られることが多いようです。
滋賀の高島に、大井子という怪力女と、彼女がぶん投げた岩(水口石)の伝説があります。
それは秦グループと同じタイプの開拓方法が、高島でも用いられていたからじゃないか。
大井子という、井戸と泉と水脈の女神は、水口石と同値です。
そして、京のこの地にもかつて確かに、水の女神である「水口石」があったのです。
その石は、平安京以前の古い勢力にとっては、たいへん神聖なものであり、細々とながら、その記憶は伝承されていきます。
そのせいで、この「岩神さま」は、たいへん不思議な来歴を経ていくことになる…like a rolling stone。
次回は、その岩神さまの話。

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