奇書の旅#002 「ユングの赤の書」
ユングの「赤の書」が来月出版されるということで、話題になっています。
NYタイムズに、ものすごく長文の記事が出ています。
◇Carl Jung and the Holy Grail of the Unconscious – NYTimes.com
「赤の書」(The Red Book)は、ユングが1914年から1930年にかけて、手書きで描いた革装の本。
入念なカリグラフィと、恐ろしく美麗なイラストからなる、まさに奇書と呼ぶにふさわしい書物。
出版を意図して書かれたものではなく、ユングの私的な所有物として、スイスの銀行の金庫にしまわれており、内容は一部しか紹介されてこなかった。
◇Red Book (Jung) – Wikipedia, the free encyclopedia
第一次大戦の始まる時期、三十代の終りをむかえていたユングは、狂気とまがうばかりの、イメージの奔流にさらされます。
「無意識との対決」とユング自身が呼んだ人生の危機の始まり…それはまた、彼の人生でもっとも重要な時間の開始でもありました。
私が自分の内的なイメージを追求していたころは、私の生涯において最も大切なときであった──つまり、そのときに、すべての本質的なことは決定された。すべてがそれから始まったのだ。その後の細部はすべて、無意識から突然に現われ出て先ず私を圧倒してしまった素材の補足であり、説明なのである。それは生涯の仕事としての第一の素材であった。
「ユング自伝」
「ユング自伝」の一巻目の最後の章が、この時期の様子を語ったもの。
異様な夢と幻覚、その奔流に圧倒されながらも、メールシュトレームの大渦に呑み込まれるポーの主人公のように、果敢かつ冷静に事態に対処していくユング。
その過程で生まれたものの一つが、この「赤の書」。
結局、未完に終わるこの本には、「Liber Novus」(新しい書物)という題名がつけられていました。
このころに私が経験し書きとめたことがらを、私の科学的な研究という容器の中で蒸留してゆくのに、実際上四十五年間を要した。若いころの私のゴールは、科学上の何らかの仕事を成就することであった。しかし、私はこの溶岩の流れにふとあたってしまい、その火の熱は私の人生をつくりかえてしまった。
出版される本は、解説・脚注・英語訳がつくもののようです。
見本は、こちらに。
◇C.G. Jung’s Red Book (promotional piece)
◇Philemon Foundation
かなりのお値段なので、レプリカ風の仕上がりでしょうか。けっこうでかいもののはず。(特別版が存在するらしいんだけど、予約段階ですでに売り切れです。どないなしろものだったのか)。
NYタイムズの記事によると、出版にこぎつけるまでは、遺族との話し合いなど、たいへんだった様子です。
創元社より、日本版も到来!(2010/06/26)








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