ソール・バスのクールなオープニング・タイトル

written by overQ

ヒッチコックの「北北西に進路をとれ」のオープニング・タイトル。
かっこいいです。
(雑踏にまぎれ、最後にバスに乗り遅れる男が、ヒッチコックです。これはこの映画を象徴していて、じつはけっこう深いw)

1950年代の終りごろ。
ヒッチコックは後半のピークを迎え、ものすごい作品を立て続けに発表していました。*1

めまい」(Vertigo 1958)
北北西に進路をとれ」(North By Northwest 1959)
サイコ」(Psyco 1960)

毎年、映画史に残る作品を繰り出していたのですが、タイトル・デザインを手掛けたのは、Saul Bass

ソール・バス。
この時代、一世を風靡したスタイリッシュな映像。
オットー・プレミンジャー監督作品をはじめ、多くのタイトル・シークエンスを手掛けています。

●「黄金の腕」(The Man With The Golden Arm 1955)
プレミンジャー監督、フランク・シナトラ主演。

●「オーシャンズと十一人の仲間」(Ocean’s Eleven 1960)
「オーシャンズ11」は、これのリメイク。ジョージ・クルーニーの役どころは、フランク・シナトラ。

●「或る殺人」(Anatomy Of A Murder 1959)
音楽はデューク・エリントン。私はひそかに、これがエリントンの最高傑作ではないかと、思ってるんですが。ソール・バスとジャズは同じ根から生えだした花。

●「おかしな、おかしな、おかしな世界」(IT’S A MAD MAD MAD MAD WORLD 1963)

真似してみたくなる作風です(笑)
実際、YouTubeには、スターウォーズのタイトルをソール・バス風に仕立てたものが、アップされてました。なかなか上出来。
(わりとかんたんに作れますから\(^▽^)/)

1960年前後の日本作品(市川崑とか)を見てても、こういう感じのタイトルがよくあった気がします。
(意外とオープニング・タイトルは覚えてないもので、繰り返し見た作品でないと、記憶に残ってませんが。)

ソール・バス風のスタイルは、今もよく使われています。
かっこいいし、デジタルとの相性も良くて、むしろ今のほうが作りやすいくらい。

これは、「キスキス、バンバン-L.A.的殺人事件」(Kiss Kiss Bang Bang 2005)という作品のタイトル・シークエンス。
Kyle Cooperという、今をときめくデザイナーが手掛けています。スパイダーマンもかっこよかった。
ソール・バスが見たら激しく嫉妬しそうw

スピルバーグ監督の「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のオープニングも、ソウル・バス風でした。
この映画は、ここが見せ場ですね(゚ー゚;
KUNTZEL + DEYGAS(クンゼル+デガ)という、フランスのアーチストデュオが作ったそうです。

【参考】
30 Unforgettable Movie Opening Sequences | Inspiration | Smashing Magazine
The Art of the Title Sequence
YouTube – 25 of the best title sequences part 1

¶ Footnotes:
  1. こんなふうに大作を立て続けに撮るのは、今ではとても難しい。出資者のご機嫌を伺い、保険をかけたり、契約書を山ほど作らないといけないから。 []

COMMENTS

COMMENTS

  1. これはかっこいいですね!
    クールで懐かしい感じ。
    映画は未見ですが、『北北西』の斜め構図はいいなぁと思いました。
    (それにしても、『スターウォーズ』でのデススターが可愛すぎです-笑)

    クラフトワークのライヴでの、バック映像がこんな感じなような。
    カクカクした動きがドイツ好みなのでしょうか。

    市川昆監督というと、でかい字のイメージですね。エヴァンゲリオンもマネしたと聞きます。

  2. ★shosenさん。

    50年代は、こういう幾何学模様を組み合わせたデザインが流行ってたんでしょうね。
    ポスターや百貨店の包装紙もこんな感じ。
    映画の場合は、動くので、より印象が鮮明です。
    たぶん、われわれのよく知っているものだと、
    ウルトラマン・ウルトラセブンのオープニング映像が、この名残なんですよ。
    「スターウォーズ」は、なんとなくウルトラマンシリーズ風(笑)

    市川崑は、私たちの世代だと横溝正史シリーズの監督。
    でも、ほんとはそれ以前、東京オリンピックまでに、
    映画監督としての第一のピークがあるようです。
    金田一ものの頃は、もう完全にテレビの時代になっていて、
    そこに何とか一矢報いた、という形。
    新しいビジネススタイルの映画(角川映画)を作って、
    市川崑の第二のピークがやってきて、
    私たちはそれ以降を知ってるんです。
    でも、50年代、日本映画の最後の光芒を担う若い俊英が、市川崑。
    ものすごくスタイリッシュな映像を作っていました。

    ヒッチコックの「北北西」は、すごく面白い映画で、おすすめです☆
    息をもつかせぬ展開、謎が謎を呼び、
    どんどん転がっていく展開は、今のハリウッド映画のお手本。
    終わり方も、ものすごくかっこいいです。
    ヒッチコックはこの時期がピークですね
    …というより、黒澤明だって50年代が絶頂期。
    テレビが現れる直前、戦後の復興の時代、
    映画が社会の気分を牽引していた時代です。