たら本。まずは、ちょいとお知らせから。
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さて、さっそく、たら本47です。
今回は、「慧の本箱」の慧さん主催、お題は、
「この作品をこの人の声で聴きたい」
このお題と似たようなことを、かつて記事にしたことがあります。
□AZ::Blog はんなりと、あずき色☆: 「アニメ声に出して読みたい日本語」
この記事はかなり強烈なんで、ふたたび取り上げてみたい。
あまり気づかれてないかもしれませんが、うちの過去ログは非常に充実してるんですよ(笑)
というわけで、いくつか再度ご紹介してみると。。
磯野波平(永井一郎)が読む、川端康成「眠れる美女」


たちの悪いいたずらはなさらないで下さいませよ、眠っている女の子の口に指を入れようとなさったりすることもいけませんよ、と宿の女は江口老人に念を押した。
…
「娘は眠り通しで、始めから終りまでわからないんでございますからね。どなたとおやすみいたしましたかもね…。それはおきがねありませんわ。」
江口老人はいろんな疑いがきざすのを、口に出さなかった。
「きれいな娘でございますよ。こちらも安心の出来るお客さまばかりにいらしていただいてますし」
川端康成「眠れる美女」
エロい。
磯野波平は戦後の川端作品を愛読しているはずです。「山の音」って、なんとなくサゞ江さん。谷崎より川端が好みなんです、あのハゲオヤジ。
たら本47、開催中!
今回は「慧の本箱」の慧さんが主催者さん。お題は、
「この作品をこの人の声で聴きたい」
日本ではさほどでもありませんが、欧米では、有名な俳優や作家自身が読み上げる朗読会というものが、よくあるらしいです。(かの有名なオーソン・ウェルズの英語教材もこの延長にあるもの。)
そもそもは小説家の興行の手段で、ディケンズなんかは朗読会のやりすぎで体を壊して亡くなったんだとか。
印刷が普及する以前は、物語は書物ではなく、語り部がかたるものでした。
□YouTube - Stephen King reading at Radio City Music Hall
□Audio Interview: Haruki Murakami
□The Mercury Theatre on the Air
日本だと落語家がその末裔のはず。
今はお笑い系のものばかりだけど、落語家に小説を朗読してもらうと、きっとすごくうまいと思います。
だって日本の小説の文体を作った明治の文豪たちは、二葉亭も漱石も落語をすごく意識していたのだから。
今回の絵は新しい手法を開発して、CG風に描いてみました。遠近法がすごく変です。
なお、本の前にあるのはマイクです。昭和の頃のマイクだそうです。けっして電灯ではありません(-_-;)


「つい、うっかり」
…というのは、いたくフロイトの興味を惹くものだったようです。
錯誤行為、と精神分析では呼ばれます。
うっかり…偶発的におこなっているように見えて、
じつは無意識の意図がある。
そう勘ぐってみるのが、フロイトのやり口。
でも、古代から人は、何となくこのことに気づいていたらしい。
悪魔(=神)は最初、「つい、うっかり」の形で、囁きかける。
「魔がさす」という。
事件のあと、当事者から発せられる「つい、うっかり」は常套句。
それに運命もまた、
「つい、うっかり」の姿で来訪する。
神様は「つい、うっかり」な仕方で、世界を設計したのだから。
天網恢々,疏にして漏らさず。

エルンスト・テーオドール・アマデーウス ホフマン
¥ 1,260 / 筑摩書房
( 2006-04 )
通常2~5週間以内に発送
たら本46、開催中です。
主催者さまは、「時々、読書感想文。」の、おなじみ菊花さん。
お題は、「つい、うっかり」。
第46回「つい、うっかり」
本にまつわる貴方の「つい、うっかり」なエピソード
または、
「つい、うっかり」が描かれている本を教えてください。
例えば、
本を読んでいたら電車を乗り過ごした。表紙だけ見て本を大人買いした。アマゾンを見ているだけのつもりが購入ボタンをクリックしていた…。そんな「つい、うっかり」エピソード。
あるいは、
「裸足でかけてく、陽気な♪」彼女など、「つい、うっかり」なトボケた登場人物は、小説やマンガの物語を転がす重要なキャラクターとして人気者。そういった人物や事件が登場する本の紹介でもOKです。
「時々、読書感想文。」

私にはどうも、「老大家」の作品を
ありがたがる性癖があるようなのです。
(と、悩み相談風に始めてみる。)
今はそれほどでもないけれど、
十代二十代のころは、特にそうだった。
「最後の作品」とか、「未完に終わった遺稿」とか、
「作家が最後に到達した境地」とか。
そういうあざとい惹句が帯に踊ってたりすると、
ついつい手を出してみたくなる。
「老賢者」というファンタジーによく出てくるイメージ。
あれをどこかで信じてるんだと思う。
老いた人にだけ可能な「知恵」が存在していると。
自分が年をとるにつれ、
また自分の知ってた人が年寄りになっていくのを見るうち、
そうした「幻想」はだんだん幻滅に変わっていくわけですが(;・∀・)
…てなわけで、たら本45です。
今回は、「-scope」の時鳥さんが主催者さま。
お題は、
「ご老体本。」
本に出てくる魅力的なご老体、また、ご老体の書いた本、ご老体のための本、これからご老体になる人のための本、などなど、老人や老犬、老猫、老木、ほか、年老いたものに関する本をご紹介ください。
たら本45が、もうすぐ始まるらしいのです。
候補が乱立する中、水面下の調整がおこなわれ、ついに開催の運びとなりました。
美結さん、たいへんありがとうございます。
(じつは私はまったく働いていない…陳謝)
45回の主催者さまは、「-scope」の時鳥さん☆彡
敬老の日あたりに開催予定らしいです。
それが、お題のヒント(* ^ー゚)ノ
ある意味、今の日本でもっともホットな主題かもしれません。
私は、アニメ「RD 潜脳調査室」のファンなんで、このお題はけっこう萌えますね。(それと、「ぽっちゃり」w)
今回のバナーは、絵をルノワール画伯にお願いしました。
百年前でも、今回のお題にぴったりの絵を描いてくれました。さすが流石、貴家遉(いろんな変換候補があるもんだ)。

さて、たら本です。
44回は、GREENFIELDSの美結さん主催、お題は、「種子を蒔くもの、花と緑の物語」。
个个个个个 more trees 个个个个个
地球規模での環境変化が言われて久しいのですが、事態はどんどん進行しているようです。ごく身近なレベルまで、さまざまな形で影響が現れているこの頃。
環境問題は、「地球規模」であると同時に、路傍の草花のような小さな命のいとなみの話でもある。
巨視的な問題と微視的な問題がおたがいにかかわっていること。これがエコロジーの基本だそうです。
たとえば「雀の毛槍」などは、私らが描いてもてあそんだのは、もっと茎が長々として花の総が大きく、絵にある行列のお供の槍とよく似ていた。母子草もこちらのは、餅に入れるほどにもふっくりと伸びず、小さなうちにももう花が咲いてしまうのは風土のためであろう。すみればかりは関東の野のほうが種類も多く、色もずっとあざやかなように思われるが、蒲公英もまだ紫雲英も、花がやや少なくかつ色が寂しい。ただその埋め合わせに野木瓜とか山吹とか、故郷で覚えていないさまざまの花が、この野の春色を豊かにしているのである。昭和三年のはじめての春は楽しかった。もしも幸いにこの家に十年、何事もなくて住みつづけることができたら、草の話を小さな一巻に集めて、子供や古い老人に読んでもらおう…。
柳田國男「野草雑記・野鳥雑記」
昭和三年、民俗学という新しい学問の確立と発展を目指して、ばりばり仕事をしていた柳田。仕事場として、新居を喜多見(今の世田谷区成城)に得た。
ところが激務の一方で、上のように、庭や近所の路傍の雑草に目をやっては、事細かに思いをはせる。
少年の頃、故郷の播磨に見た草木の印象を呼び起こしながら、目前の小さな命の微細な表情を嬉々として描写しています。
いつも柳田國男で不思議なのは、こうした、誰も目を向けない小さな端っこへと心をさまよわせながら、一方でメインストリームの巨大な業績を打ち立てるという、二重性。いや、それとこれがつながっていること。
民俗学に専念する前、官僚として高い役職にあったそろそろ四十郎の柳田は、休日にはダイダラボッチの足跡をもとめて、東京郊外をさみしくさまよい歩いたりしています。
それはどういう心の動きなんだろう。
文字に書かれたり、遺物や伝承などの大きな痕跡を残したものよりも、跡形もなく消えてしまった名もなき小さき末梢的なもののほうが、ずっと多い、という真実。証拠が残ってないから、証明はできない。
ここが柳田の出発点。
ほとんどの人間は、たしかにこの世に生きていたにもかかわらず、ほとんど何の痕跡も残すことなく、歴史の向こうへ消えていく。
柳田がいつも思っていたのは、そうしたあり方であり、それが少年・柳田の、「日本一小さい家」での生だったのでしょう。
个个个个个个 more trees 个个个个个个
さて、今回のお題でとりあげたいのは、ダーウィンの「ミミズと土」。
ダーウィン最晩年の研究で、ミミズの話です。
チャールズ ダーウィン
¥ 1,223 / 平凡社
( 1994-06 )
通常24時間以内に発送
新妻 昭夫
¥ 1,365 / 福音館書店
( 2000-06 )
通常24時間以内に発送
花と緑を支えるのは土。そして、その腐葉土はミミズの糞便が正体。
偉大なダーウィンには、もちろん植物の素晴らしい研究もあるのですが、入手しやすくて読みやすいこと、すべての命はつながっていることから、このミミズ本を取り上げてみます。
ミミズは、最初にほとんどの人々が考えるよりも、世界の歴史において、より重要な役割を果たしている。
チャールズ・ダーウィン
ミミズの微細な生命活動が、地球環境に絶大な影響を与えていることを論じたもの。
ダーウィンの多くの論文同様、現在の生物学の水準でも、十分に先端といえる、きわめて綿密で独創的な研究。
微細なものが、時間をかけて積み重なり、巨大なものを動かす。
これがダーウィンの考え方の基本。まさにエコロジーの元祖。
ダーウィンの初期の研究は、珊瑚礁がどうやって出来るかというものでした。
ラグーンとかバリアリーフとか、南の海の、珊瑚礁が輪っかになって島を取り囲んでいる地形。
サンゴ虫という非常に微細な生命が、長い年月をかけて、巨大地形を生み出す。
島の沈降と、珊瑚の形成によって、あのリングの地形が生じることを、ダーウィンが論じ、これが実際に起きている現象であると証明されたのは、はるかのち。皮肉にもビキニの核実験跡を掘削調査した時のこと。
天才ダーウィン。
个个个个个个个个 more trees 个个个个个个个个
そして、ダーウィンといえば、進化論。
これも、微細な個体の変化が、長い長い時間をかけて、種の隔たりを生み出す、というもの。
「種の起源」は細かいところまですごく丁寧に、しかも大胆に考え抜かれていて、まさに「ミミズ的」天才の偉業。微細な知性の躍動が巨大な成果を生む。
ひとつひとつのことがらは難しいわけではないけど、あまりに事細かすぎて、学者でない読者には煩雑でもあり、まあ全部を全部読む必要もないんですが(笑)、この周到さ、考え抜かれていることは、驚き。
パトリック トール
¥ 1,470 / 創元社
( 2001-10 )
通常24時間以内に発送
もともとダーウィンは、生物の分類方法に、新発想をもたらそうとしていたそうです。
世界をかけめぐるようになった近代ヨーロッパ。地球上のありとあらゆる珍奇な生物の情報が蓄積される。
これを分類しようとするわけですが、まあふつうはまず、特徴的な形や機能で類似するものを「仲間」とみなす。
だけど、これだと、例えばシャチとサメは、同じ仲間になってしまう。コウモリと鳥なんかもそう。
ちがう方法がある。
クジラの骨をよく調べると、まるで「特徴的」でもなく、「機能」もしていないけれど、後ろ足がある。
これはかつて「足」があった証拠で、泳ぐのには役に立たないので、だんだん目立たなくなってしまったものだ、と。
ヘビにも「足の痕跡」があるし、ヒトには尻尾の痕跡がある。
コウモリの翼は、よく見ると指になっている。
このように、またしても、誰もが目を向けない、微細で脇役の「痕跡」に目をむける。
むしろそれが重要なんだという逆転の発想で、さまざまな生物の形をトポロジカルにつないでいく。*
隅っこにあって、誰の注目も浴びず、何の役にも立ってない、ほとんど存在していないほどの小さな営み。
ところが、それらが、長い長い時間をかけて積み重なり、地球全体や宇宙といった、いちばん大きな動きに決定的影響を与えている。
このアイデアが結局、正論だった。
真ん中にあって、みんなの目を引き、価値そのものであって、決定的な役割を果たしているように見えるものが、じつはそれほどでもない、という考え。ゲーテなんかとは対極にある。
人間の作った大神殿の遺跡が、ミミズの作用によって、だんだん地中深く埋もれて、見えなくなってしまう。
…奇妙に寓意的にひびく、ダーウィンの最後の研究、「ミミズと土」。
「種の起源」は読むのが煩瑣ですが、この本は小さくて、いっけんどうでもよいようなことが発見的に、うれしそうに描写されていてます。ちょっと小説みたいな印象を残す。この人は明らかにミミズが好き。
いろいろなものを食べる動物は、味覚を持っていると推測していいだろうし、このことは、ミミズについても確実にあてはまる。ミミズはキャベツの葉を非常に好んで食べる。ミミズはまたキャベツの品種も識別できるようである。しかしながら、このことは多分、キャベツの膚ざわりのちがいによるものだろう。
ダーウィン「ミミズと土」(p35)
「キャベツの膚ざわり」って…ミミズの食生活に感情移入しとる。。
个个个个个个个个个个 more trees 个个个个个个个个个个
チャールズ・R. ダーウィン
¥ 3,990 / 文一総合出版
( 1999-09 )
通常3~5週間以内に発送
ダーウィンの著作は、今、新しい日本語訳が進行しています。( ダーウィン著作集〈別巻1〉現代によみがえるダーウィン)
翻訳に当たってる研究者は、ダーウィンの新しさ、その研究の多くが、今でも現役で通用することに驚いている。何度も「乗り越えられ」「ダーウィンは死んだ」はずなのにw
「ミミズと土」では、「ミミズの知性」ということをしきりと解くダーウィン。
なぜ性が存在するのか、道徳や利他性はどのように獲得されてきたのか、感情の表現は生物にとって何を意味しているのか…といった、生物学から出発しながらも、はるかな地平をもつ、いくつもの先駆的研究が、ダーウィンにはあるそうです。どれも、現在の研究者にとっても、非常に刺激的らしい。
大きいことの原因を、小さなみすぼらしいものに見出していく方法が、そこでも採られているはず。
環境問題は「正義」という価値と結びつきやすく、権力やマネーとからんで今後多くの「大きな」問題をはらむことになるでしょうが、そんなとき、いつもダーウィンの発想に戻って、ミミズの様子を観察してみることが、突破口になるにちがいありません。
¶ Footnotes:

たら本44回が、カミング・スーン。
44回はGREENFIELDSの美結さんが主催者さまです。
今回のバナー、上の絵に決まる前にプランAがありました。今回のお題のヒント。
何か分からんのでボツになったのですが( ;∀;)、元ネタはこれです。
プランBが上図ですが(じつは製作時間が5分だったりする…プランAは90分くらいかかってるというのにw)、
彩度が低すぎて、線香の箱の絵みたいになったので(;・∀・)、実際のバナーはもうちょっとカラフルにしてみました。