鵺=秦河勝
前の記事「魔所めぐり #02」で取り上げた、鵺神社。
能の「鵺」で、ヌエの屍骸がうつほ舟で流されること。
そして、その作者・世阿弥は、「風姿花伝」において、うつほ舟で流されるのが、能の始祖・秦河勝としていること。
さらに、鵺神社のある場所は、平安京以前から祀られていたという「園神・韓神」の社のあった場所だということ。
そして、平安京以前、河勝の邸があったという伝承があること。
これらをつないで、「秦河勝=鵺」という仮説を立ててみました。
そして、思い切った推論として、鵺の正体である園神韓神とは、蘇民将来の神「婆梨采女・牛頭天王・王子」の聖家族ではないか、とも。
こっそりお知らせしておけば、千年以上にわたって封印されていた京都の謎が、今ここに解かれつつあります。内緒です。
(梅原猛さんは、能の「鵺」が世阿弥の最高傑作であるといい、ほとんど「鵺=河勝」一歩手前の見解を述べておられます。→第6回 哲学者 梅原猛氏 : 日本文化の源流を求めて : 大学新時代 : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞))
瓜生石、キュウリ、牛頭天王
瓜生石(うりゅういし)。
知恩院前の道路のど真ん中に、ご鎮座まします神の石。
知恩院より古い由来を持つ。
貞観2年(860年)6月14日の深夜のこと。
この石に一夜にして瓜(キュウリ)が生り、
牛頭天王が宿った、というもの。
その後、牛頭天王の新霊は今の粟田神社に移られた。
「牛頭天王」の文字が表面に浮かんだとか、異説もあるけれど、
これは桃太郎やかぐや姫・瓜子姫と同様、
「うつほ」に神が宿りつくことなので、
実のうちに宿ったとみるのが正統。*1
素盞嗚尊こと牛頭天王を祀る八坂神社の紋は、
輪切りにしたキュウリの断面をかたどったもの。
粟田神社では、神輿を瓜生石の上に置いて、神を宿らせる行事が、
明治まではおこなわれていたそうです。
ちょうど、少将井の井桁の上に神輿を置いて、
神を宿らせるのと、ペアになってる感じです。
¶ Footnotes:
- 一夜にして実がなるのも、
「一夜で子を孕む」タイプの神話のパターン。
ペンタメロンのペルオントと同系。 [ ↵ ]
王子さまの魅力に感染…したい?
いづれの王子さまから始まったのだったか
…ハンカチ王子とか、「王子さま」ブーム。
テレビ映えのする美形男子には、
この呼び名を与える風習がしばらくつづいてます。
しかしながら、日本で伝統的に「王子」と呼ばれるものは、
じつは全然ちがうものでした。
いわゆる「疫病神」
…比喩ではなく、文字通り、
伝染病を運んでくる目に見えない鬼の魂魄。
それを「王子」と呼んで、お祭することが多かった。
コレラとか、鳥インフルエンザとか、O157とか、
プリオンとか、メタミドホスとか、
そういうのが、ほんとの王子さまです(-_-;)
日本各地に、「王子」の名を持つ地名が名残りをとどめる。
東京の八王子、神戸の王子動物園。
京都だと、岡崎の王子町、
下京の悪王子・元悪王子、左京の若王子、北区に福王子など。*1
みなさんのお近くにも、きっと「王子様」がおられるはず。
疫病がはやると、お祭りをして、荒神をしずめた、その痕跡。
「若宮」とか「今宮」と呼ばれることも。
「将軍」っていうのも、じつはこの系統だし、
ほんとに全国津々浦々、たくさんいらっしゃる王子さま。
¶ Footnotes:
- 若王子は少し系統がちがって、
熊野権現・十二所権現の流れにあって、
仏教と習合しながら、整備され、
天照大神、その子ニニギ尊をお奉りします。
でも、大元の由来は、同じかもしれない。
八幡さんも、じつは母子神として、根っこがつながる。
御霊として祀られるのも、八柱。
また福王子は、桓武帝の孫で、宇多天皇の母・班子皇后を祀り、
平安時代でも母子神としての王子信仰が生きていた。
天皇が天王であった平安京のはじめ。
斑子女王の「斑」は、班女に通じること。 [ ↵ ]
井戸の中の女神さま
井戸の底から
リングの貞子さんを思い出すことから始めたいのです。
平成に出現した、いちばん有名なお化けといっていい、貞子。
以前書いたことがありますが、
貞子は戦前の千里眼事件からヒントを得たもの。
東京帝大の福来博士がおこなった念写実験。
大騒ぎになって、博士はついに大学から出て行くハメに。
「念写」を写真じゃなくて、ビデオに収録したのが、
リングの貞子さんのアイデア。
今はDVDになり、コピーが難しくて、きっと困っておられるはず。
その上、ブルーレイとかどんどん新しくなるし、
「もうほんま、アナログ怨霊で、困ってますわ」
…というぼやきが、井戸の底から聞こえてきそう。
そう。
貞子サンといえば、井戸。
じつは、「井戸にすむ女」というのは、
日本古来の重要な伝説につながるもの。
貞子さんの怖さの持つ、深みとポピュラリティは、
この元型に根を張っていることから生じる。
今回は、この貞子の系譜を追ってみます。
お菊さんの井戸
井戸の女の怨霊というと、姫路城のお菊井戸。
皿屋敷のお菊さんです。
井戸の底から「一枚…二枚…」と恨めしげな声がする。
家宝の皿をなくした、という濡れ衣を着せられ、
殺されたお菊の怨霊。
姫路城には、お菊の井戸とされるものもあります。
お菊さんは今は、十二所神社の中に、
「お菊神社」として祀られています。






